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for serendipity998「人はいかに生きるべきか」

水村美苗さんの『日本語が亡びるとき~英語の世紀の中で』(2008)より。

 科学の進歩などが広い意味での「文学の終わり」をもたらすことはあり(え)ない。科学が進歩するに従い、逆に、科学が答えを与えられない領域ーー文学が本領とする領域がはっきりとしてくるだけだからである。ほかならぬ、意味の領域である。科学は、「ヒトがいかに生まれてきたか」を解明しても、「人はいかに生きるべきか」という問いに答えを与えてはくれない。そもそもそのような問いを発するのを可能にするのが文学なのである。もし答えがないとすれば、答えの不在そのものを指し示すのも文学なのである。いくら科学が栄えようと、文学が終わることはない。(238p)

「人はいかに生きるべきか」というテーマ。あらためて、僕(塩見直紀)も意識していきます。


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