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for serendipity956「そこから何も生まれなかったんです」

向谷地生良さん、川村敏明さん、清水義晴による鼎談の小冊子『「べてるの家」に学ぶ』(博進堂文庫、1996)の川村敏明さん(地域に根ざした医療をおこなう精神科医)の台詞より。

早坂潔さんは退院して今の『べてるの家』に住み、はじめて教会に行き、『教会』というものに向かい合った。そこで彼は、はじめて劣等感を超えた「迎えられる存在」とされた、そういう世界と出会った。(中略)病院にいたときは単なる治療対象ですよ。いつも駄目なところを見つけてそれを直そうとする病院と、彼の劣等意識の塊とは、ある意味でマッチしていましたけれども、そこからは何も生まれなかったんです。(13p)

「そこからは何も生まれなかった」。そんな空間ではなく、「そこから何かが生まれていく」場所とか、本とか、文とか、moteとか、間柄とか、町とか、学校とか、職場とか、になっていけばと僕(塩見直紀)は思うのです。

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