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お前はアイツの代わりなんかじゃねーヨ

手に入れようとしたものが、手に入らない。それはなに?愛じゃない、そんなもんは最初からこの世に存在しないのさッ。

僕が先週から欲しいもの、某コンビニ様の「ご褒美スティックケーキ 濃厚モンブラン」だ。現時点でまだ食っちゃぁいねぇ。

発売日お昼12時!徒歩10分かけて行く

CMガンガン流れているので、家から歩いて10分の某コンビニ様へ!スイーツコーナーへ直行だ。おじさんがスポーツ新聞にも、競馬新聞にも、スルメ系おつまみにも、目もくれず一目散にだ。

俯瞰図の防犯カメラで観たら、相当不気味だろう。まっすぐ、淀みなく。一歩の無駄もなく、スイーツコーナーへ。もしも、同時にコンビニ強盗なんかが悪さして、カメラの動画が公開されたら、レジ前をスンと一瞬で横切り、スイーツコーナーへと向かう僕が映っているはずだ。モザイクがかかっていても、おじさんってことがわかるくらい、僕はフィフティだ。

まだ入荷してないって。15時に入荷だって。スゴスゴと、家路を目指した。だってコンビニ前で3時間待てないでしょ。いま50歳、3時間って大きいよ。人生のタイマーが、砂時計が減って行ってるんだから。タイムイズ重要なのだ。

アラウンドなフィフティだから

恒例の横道それそれ話だが、アラ●●ってなにさ。アラサーってなんか自虐的ででもまだイケる、選択の余地あり感があって余裕すら感じる。アラフォーっていやぁ、何かと時限タイマーがカッチカッチ刻み始めているのを感じる頃だろう。アラフィフってなると、このくくりはもうタイマーが鳴り終わって、カウントダウンが始まっている感すら醸し出される。どうでもいいけど、六十歳前後をアラカンというのは、突然省略ルール変更って感じで、頓智感を感じる。とにかく、カウントダウンなんだよ。

身体を壊してからは、節制しているつもりだが、スイーツは別問題。別腹以上の概念だ。別問題>別腹、ね。

話戻りまして、この「ご褒美スティックケーキ 濃厚モンブラン」は日曜日の午前10時に再リベンジすることとなった。5/6発売開始だったが、ちょうど一週間経っていた。

無いよ、どこにも無い

「食べるなら、お昼ご飯後のデザートにならいいよ」と胃腸弱しの妻より。日曜日なら息子もいるし、三人で分けて食べようと。我が家は家計が火の車ってほどじゃぁないけれど(火の手押し自転車ぐらい)、一人1つみたいな買い方をしないのだ。

で、お昼後の受けデザートとして、稟議が通ったので、いざコンビニへ。今度は歩かないよ。チャリだ。チャリ保険入っているもの。乗らなきゃ損した気分だ。チャリでコンビニまで、リベンジだ。1週間ぶりのリベンジ。

例のコンビニへチャリで5分。よし、トラブルなし。手動ドアを開き、いざスイーツコーナーへ直行。遠くからPOPも見える。ある、売っている。コーナーがある。おぉ、売り切れている。売り切れていた。時間の問題かもしれない、日曜日午前中にアラフィフがチャリ乗ってスイーツコーナー。もっとやることありそうだ、みんなゴルフとか行ってんじゃないかな。

売り切れていると、がぜん燃える

ドラクエって、予約せずに発売日に買うことを信条としていた。無計画というか、買うこと自体の決心がついていないのか。発売されたらその日に手に入れたいにもかかわらず、予約をしない。昔のことなので、ネットもない時代、予約のハードルは対面でなんか予約票に書かないといけなかった。

とにかく、手に入りにくいとわかり始めると、がぜん燃えてくるタチなのだ。ドラクエなんてほうぼう探しまくって、いつも泣きながら手に入れていた。三つ子の魂なんとやら、百までいかずに五十でも変わらずでして。

この「ご褒美スティックケーキ 濃厚モンブラン」は1店舗目では売り切れ。そこからチャリで5分の同系列コンビニへ。2店舗目ハイ、売り切れ。行くよ次。とどまることを知らない。これって、「諦めたくない」っていう、引っ込みのつかない何かが心の中で、発動しているってことなのではと思うのだ。チャリで15分隣町のコンビニへ。ハイ、売り切れ。で、そこから10分チャリで次のコンビニへ。4店舗回って、手に入らず。

欲しいのに、店員さんに聞けないシャイボーイ

どのコンビニでも共通して言えるのだが、私、ツラの皮は分厚い。だけども、ことスイーツになるとトゥシャイシャイボーイだ。聞けない。

脳内想定問答スタート

僕「これ売り切れですか?」
脳内店員「棚に無かったら、売り切れやな」
僕「いつごろ、入荷ですか?」
脳内店員「時間わかったら、また来るつもりで聞いてる?」
僕「いえ、そういうわけではないです」
脳内店員「今欲しいんやろ?そこのシュークリームでもええんちゃうん」
僕「あ、はい。じゃぁ、このエクレアにしておきます」
脳内店員「シュークリームちゃうんかい!」

ダメだ、これは詰んでしまう。せめて、おすすめしてくれるシュークリームを買わないと次に来店できない。(※これは僕の脳内妄想です。店員さんは聞いたら、きちんと教えてくれると思います)

売り切れても諦めきれないそこに一筋の光が

「俺じゃ、だめなのか!」「私じゃ、由美子の代わりにならないかな!」みたいな手垢しかついていないセリフ、そう代替品。代わりになるモノ。頭切り替えろよ、僕。その脳は50年も無事故・無違反で動いているんだろ。妄想で使い切るなってば。

もう家をでて50分経ってる。妻が心配しているかもしれない(心配してなかった)。そして、手ぶらでは帰れない。ってことで、スゴスゴ帰り道チャリで近くの激安スーパーへ漂着した僕。レジ前へ急ぐ。レジ前は、お宝スイーツで溢れかえっている。饅頭・どら焼き・羊羹、違う。違う。その伝統の技系じゃない。ポップでキャッチーなスイーツが欲しいのだ。アイツの代替品だからだ。

そこで見つけたのが、コレだ。ヤマザキのフルーツケーキ!最強のコスパ!最強の代打だ。某スーパーでは¥289だった。5個入りだぜ!

フルーツケーキと言えば、ヤマザキだ。
入荷しても売り切れが多かったから買ったのは初めて。

お前はアイツの代わりナンかじゃねーよ

「本当は、あの人のこと忘れられないんでしょ」
「そんなこと・・・」
「いいの、私、最初から分かってたし、覚悟もしてたもんね」
「ヨシコ!」
ぎゅっと抱き寄せるマサシ。
「いいの?」
「お前じゃなきゃ、ダメなんだ」
「信じていいの?」
「ああ、信じてほしい」
抱きしめ返す、ヨシコ。

という感じで、ヤマザキのフルーツケーキを抱きしめ帰宅。妻は、20数年間と、熟成しきった僕の性格をよく知っている。
「見つかるまで探してたのね?」
「あぁ、だが見つからなかった」
妻の目を見ることができない。あれほど意気揚々とコンビニへ向かい70分もの時間をかけた。もう11時を過ぎている。日曜日の午前中をおじさんが自転車に乗って、某コンビニをグランドスラムしただけ。
結局、家から近くのスーパーで代替品を買った。まさに、青い鳥はすぐ近くにいたのよね的な。

いざ、開封!

写真には撮ってないが、お昼ご飯のあと。白湯をいれて、夫婦二人で1つを半分に割って実食。外れドラフト1位ではない、これは最初から指名すべきうまさ。胃にもたれない、少しお酒が効いている。うまい。レーズンのアクセント、クランベリーの爽やかさ、レモンの抜ける酸味。よかった。
あっという間に食べ終わっていたのだった。

何の話だった?

そう、欲しいモノが手に入らない。性分として探しまくる。結果時間も無駄にする。だが、人生とはそういうものだ。無駄な時間を積み重ねていくと、そのあとの自分を肯定モードにスイッチングするのだ。効率よく生きること、それはノーブレーキでアクセル全開で生きるということだ。レースのような生き方だ。ただし、レースは同じ道を周回する(車とかね)。それは考えようによってはとても退屈で、どこにも到達できないものだ(たとえだよ。レース批判じゃないYO)。

そして、誰かが誰かの代わり、そんなことできっこないのさ。いつもみんなオンリーワンさ。いつか、あの「ご褒美スティックケーキ 濃厚モンブラン」を諦めたわけじゃぁないさ。いつか、手に入れるよ。次はお昼すぎに、行ってみるよ。平日の。だって、僕は自由の槍を天に掲げるフリーランスだから。

追伸)食べた人、感想おしえてね。

おわり

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