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うどん、九連荘で挑む!大腸カメラよ、静かに眠れ

謎のというほどでもなく、因果応報・自業自得・身から出た錆・自分で蒔いた種という「腸炎疑いからの即入院」、そしてその後について。人の病気など興味はないだろうが、ちょっとそこ、お静かに。

【これまでのお話】
全力で挑んだ暴飲暴食と独立開業のストレス、マイナスとマイナスのパワーでプラスになりそうなもんだが、もっとマイナスへと落ちて行った僕。胃の下からストマックブロー(胃へのアッパー)を喰らったごとく、正気を保てず病院へ。そして即入院、仕事のキャンセル、愉快な相部屋の仲間たち、地獄の絶食、天国の残渣メシ、高額支払いのセミトラブル、そして退院へ。怒涛の一週間のその後の話だ。

詳しくはコチラね↓

退院時に体重6kg減っていた

数々のダイエットを試してきたが、身長175cm・体重75kgをしっかりとキープしてきた中肉中背の見本の僕。痩せないし、これ以上太らない。そんなミラクルボディは退院時には6kg減の69kg!階級を下げなければというくらいのスッキリな身体。これだけ体重が減ってたら、なんかヤバい病気なの?と思うが、もうとっとと病院を出たいという想いが全面にあふれ出ていた主治医との最終面談。

医「うーん、大腸ね、カメラやんないとね」
僕「今ですか?」
医「えーとね、2週間後ぐらいかな」
僕「今じゃないんですよね」
医「下剤飲んであーだこーだ…しないといけないから、今じゃないよ」
僕「体重がかなり落ちたんですが」
医「うん、食事制限してたからね。これからも気をつけてね。大腸カメラ前は食事制限あるから、看護師さんのお話きいてくださいね」

ということで、大腸カメラ撮影会の予約を退院時にすることに。看護師さんに下剤の盛り合わせをいただき、これは前日に、これは当日に。でこれは水を入れて、夜の8時から…と細かな説明を受ける。食事についても二日前からこれはダメ、これはOKといった資料をひととおりいただく。

三日前からのデッドオアアライブ

病院にもよりけりだが、僕が今度大腸カメラを予約している病院では三日前から食事制限がビシッと決められていた。残渣食ざんさしょくという、食物繊維NO!うどん・おかゆ・食事を喰えということだった。

脂分が少ない魚(タイ・ヒラメ)や肉(鶏ささみ・牛豚モモ/ヒレ)、はたまたタマゴ・豆腐・熟したバナナなんかもOKだったが、めんどくせー。タイ・ヒラメって、亀を救出しないと食べさせてもらえないアレでしょうが。

なので、僕は朝昼晩少量の「うどん」で決まり!ネギも入れず、タマゴはOKだけどマサカの事態になっても怖いので食べない。うどん一択!

九食うどんを食べると、心が無になった

パソコンでこの原稿を書いているのだが、「きゅうしょく」の予測変換は以下の順で出てくる。そりゃぁ、「九食」って出てこないでしょ。この塊の食事設定は三連休の朝昼晩だけだよ。

【きゅうしょく】予測変換ランキング(早く出るモノ順)九食は六位!

  1. 給食:学校が懐かしいね

  2. 求職:いつでも追い求めてたね

  3. 休職:無理しないで、休む時は休まないとね

  4. 旧職:前職とは違うのよね・前の役職的なやつね

  5. 九色:赤・橙・黄・緑・青・紺・紫・桃・白 らしいよ

  6. 九食:うどんを9回食べることだよ

嗜好品とは何かを知らなかったあの日

話一回ぶっ飛びますが、27年前新卒で広告代理店に入社したときのこと。コピーライター職として、京都から東京に配属。で社員名簿みたいなのがあって、一人1ページ自己紹介付きので小さいハンドブックみたいなのがあった。好きなものを書く欄に、「うどん」と書いた僕。うどんは毎食食べても飽きないと自負していた。

で、人生初の大人の健康診断時、事前の問診票に「嗜好品について」という欄があった。あぁ、また俺の好きなモノ聞いてるなと。「うどん」と書き、回数・頻度の欄に、1日一食程度。と書いていた。

健康診断で聴診器当てられながら、お医者さんに
検診医「うどん、好きなんだ。香川県の人?」
23歳の僕「うどん好きですが、香川じゃなくて京都なんです」
検診医「そうなんだ、お出汁薄いんですか?」
23歳の僕「いやぁ、薄く見えて意外としっかりしてますよ」
検診医「で、タバコとかお酒ってします?」
23歳の僕「タバコは1日1箱で、お酒は週末にそれぞれビール1本ぐらいです」
検診医「ありがとう、まぁタバコは控えた方がいいよ」
23歳の僕「はい。うどんは大丈夫ですか?」
検診医「ええ、うどんは大丈夫だけど、野菜も食べた方がいいね」

というくだりだったことを、今でも覚えている。

嗜好品って「タバコ」「酒」のことだよって、知ったのはこの話を当時付き合っていた彼女(現妻)に話した時のこと。
「アンタ、本当にコピーライターなの?」と。

無知って、恐ろしいという話でございます。

うどん好きでも苦しんだ、うどんパーティ9連荘レンチャン

大腸カメラ撮影会が木曜日、残渣食ざんさしょくスタートは月曜日から。仕事もまぁまぁ渋滞中。退院してからは食事には気をつけていた。脂っこいものは制限していたが、食物繊維はお通じにいいと思いよく食べていた。ヨーグルト、ナッツもダメなのねぇ。

とにかく、うどんなら何も考えずに「かけうどん」で勝負!ちなみに「そば」はNG。いっぱいのかけうどんを食べ続ける月~水!朦朧とするうどんパーティ。嗜好品「うどん」の戦士も、さすがに七味とうがらしが欲しくなるほど。

全日夜から当日昼前までの、下剤ドーピング

ドーピング:スポーツにおいて意図的に自身が優位になるように禁止されている物質・方法を取り入れること

もう、これドーピングでいいんじゃない、ッテくらいに大腸を空っぽにする作業。前日は錠剤を。寝る前に腹が痛い。でも大丈夫。辛かったのは当日。朝から水と割って飲む、液体の下剤。飲んだら家のなか歩き回ってね、と病院からの「理由聞き漏れた謎の行動指示」。

【下剤のキホン動作:1~3の繰り返し】

  1. 下剤を水で割って、飲む

  2. 家の中を歩く

  3. トイレ

もう、何も残っていないと過信、マジで出かける5分前

病院へは午後13時に来てねと。病院までバスで10分程度。12時30分ぐらいに家を出ればいいかと。ちょい待てよ、今午前11時。あと90分。手元からは水で割るお手軽下剤ドリンクはもう飲み干したが、すべて出し切ったのか確信が持てない。

下剤を飲むと、腹が痛くなる。それがサインだ。このサインがなくなったら、もう何も残っていないってことだと。大腸閉店。大丈夫。歯磨きをして、服を着替えて、髪型整えて、財布に保険証に、えーと家の鍵、リュックと。時刻は午後12時。この1時間平穏な大腸タイムを過ごした。戦場のような蠕動運動ハライタは収まっていた。さぁあと30分。大丈夫。

出かける5分まえ、うっかり飴を口にせぬように最新の注意。ん?腹が…痛い。いかん、マジで出かける5分前に、出かけている!こんにちわのレベルじゃない。

ほぼ借金取りが玄関ノックしまくるアレ!督促に近い、取り立てのような厳しいアレ!大腸よ、この85分何をしていたんだ!ロスタイム5分で逆転されるんじゃねーか!という痛さでした。

バス少し遅らせよう、1本余裕持たせてたから。ってことで、お出かけ前の面白エピソードをなんとかクリアして、いざ病院へ。

懸念のバス内腹痛は起こらず、病院へ到着したのだった。

大腸カメラ、集合写真かっつーの

退院時に「今日、大腸カメラですか?」と聞いたこと、とても浅はかだったと病院で思い知った。そもそも、大腸内の便を出し切らないといけないから今日いきなりってことはない。でも思い知った理由は別にあった。

大腸カメラ:大腸内視鏡検査の待合室、野戦病院並みの混雑っぷり。並びに並ぶ、調子悪そうにしている人もいる。受付を済ませた僕は、待合室でこりゃぁ長丁場だなぁと。とにかく、人が多い。ざっと見渡すだけで15人ぐらいいたのだった。

追加オーダー入りまーす「飲む下剤!」

あんだけ食べたうどん、うどんでいいから食べたい、というくらいの空腹。そんななか、看護師さんに「これ飲んでねー」と、飲む下剤をいただいた。

とことんだ。家でさんざん飲んできたけれど、ここにきての徹底ぶり。それだけ、大腸カメラってやつは強敵ってことなのと、不安先行・緊張最高。時計を見るとあらもう、午後14時。そして、追加オーダーをラストオーダーとすべく飲み干した。トイレに行き「まだいたの!?」という驚きとともに、スタンバイOK状態に至ったのだった。

大腸カメラよ、静かに眠れ!

午後15時、待って2時間。ベンチで尻が平になる。立ち上がる気力がない。鎮静剤を点滴で注入したからだ。注射でチュッと打たれるのかなと思っていたけど、点滴形式だったのだ。ドラマの見過ぎか。

朦朧とし始める意識なのに、覚醒してしまった。順番待ち、検査着に着替ええた。下着を脱ぎ、下はノーガード状態。冷たい椅子で、前の人が検査を受けている隣の部屋へ。ドア1枚隔てた、ネクストバッターズサークルで自分の記念撮影を待つ。

長い。時計を見る。15分過ぎている。隣の部屋がバタバタしている。そんな時間かかるのか?で。20分、30分と待たされる。冷え切る下半身。緊張がピークに高まり、朦朧<覚醒へとなり始めた。再び自分の身体を自分の意志で動かせるようになってしまう、鎮静剤の意味がなくなるッ、その時看護師さんが「お待たせして申し訳ありません、あちら長引いているので、こちらで大腸内視鏡検査しますね」と連れていかれたのだった。

横たわる僕、無防備な僕、まな板の僕だった。先生が「リラックスしててねー」と。この時点で朦朧>覚醒にチェンジ。スゥ―ッと意識が遠のく、その瞬間にカメラがどんどん止まらずに入っていった。撮影会が進む、大腸の中でカメラが動くのがよくわかる。不思議な感覚だった。

「ちょっとコレ取っとくね」的な先生の声が聞こえた。「あぁ、ハイ」としか言えず、大腸撮影会終了。

自業自得の自分に、うどんを捧げる

胃カメラは何度も経験があったが、大腸カメラは初めて。勝手がわからないからこそ、恐怖心は強かった。三日前から食事制限していたことも、当日下剤にまみれたことも、緊張感が徐々に高まっていたのだろう。だが僕は克服した。上も下ももうどっちからカメラが来ても大丈夫だ。

2週間後、結果発表!結果は「問題なし」。定期的に大腸内視鏡検査はした方がいいですか?と質問したが、今の状態ならやらなくていいよ、とお墨をつけていただいた。

とはいえ、健康管理は大切だ。暴飲暴食から始まった「腸炎疑い+入院+大腸内視鏡検査」のトリプルコンボ。冒頭でもふれたが、因果応報・自業自得・身から出た錆・自分で蒔いた種だった。

僕はタバコはだいぶまえにやめた。お酒も量と飲む日を減らしている。そんな僕の嗜好品は、まだ「うどん」だ。9連荘は厳しかったけど、ピンチを乗り切るにはキミの力が必要だったよ。ありがとう。これからも、よろしくな。

おわり




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