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夜明け前

雷鳴で目覚める午前3時

目覚まし時計の代わりをするかのように雷鳴が響いている。寝付きの悪かった事もあってか意識ははっきりとしていて、もう再び眠りに就こうとは思わなかった。
布団から上体を起こして時計を確認する。3時間後に鳴るはずの目覚まし時計は、起こす対象が目覚めた事にも気づかずに静かに時を刻んでいた。
カーテン越しに稲光が不規則に部屋を照らす。賑やかに何かを語っているようだった。
雷は何と言っているのだろうかと考えていると、雷鳴に合わせるようにして草木に落ちる雨滴の音も仲間に加わり、その音が銃爪になったのだろうか、やがてそれからが全て一つとなって頭の中に何かの映像を浮かび上がらせた。
はっきり見える訳ではないが、何かが動いている。よくよく見ればそれは波で、暫く寄せては返す波の映像を映していたが、やがて引くように遠のいて海を映しだした。
海全体を映していると真ん中に船が現れた。映像は船に寄っていく。船が不規則な光を点滅させていた。この船の光はどことなく稲光に似ている。もしかすると本当に空に船が浮かんでいるのではないかとさえ思った。
そんな事を考えて布団から起き上がり、窓越しに空を確認した。勿論、空に船はなかった。
そうこうしていると、映像は途切れ途切れになって消えていった。

窓の外を眺める午前4時前
いつの間にか雷雨は上がっていた


※2月23日の雷の話から妄想。その日は雷で起きました。
まだまだ下書きが残っている…