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人員計画

 プリセールスの組織の人員計画は、組織的にコストセンターの括りであるために、単独ではJustificationsが出しにくく、企業によっては計画を出しても結局営業の売り上げ計画の枠の中でしか考えられない場合もあります。計画を立てる際には、営業の体制、売上の規模を元にして考えるのが一般的でしょう。

必要リソースの計算

 プリセールス組織は会社の売上目標を達成して成り立つ組織です。その為に人員計画の際には売上目標は考慮すべき点として最も重要になります。その売上目標を達成するために、計画をブレークダウンしながら順を追ってプリセールスに必要な人員を計算します。
 スタートはその企業の平均の案件金額(Average deal size)を求め、営業がセルフクローズする案件やアップセルの比率、売上目標からそれを差し引いた後に、計画達成の為に新規案件を何件クローズすれば良いか、そのクローズ件数を勝率から逆算してプリセールスが対応する案件数は何件なるか、こうして計算上で出した年間対応件数から、四半期別の割合を計算して(季節変動がある場合)、各四半期に一人のプリセールスが担当するべき案件数を出します。合わせて、過去の実績から一人のプリセールスが同時に対応可能な案件数として、何件位が健全な件数となるかなどを考える必要があります。
(売上目標金額-セルフクローズ&アップセル金額)/ 平均案件金額=新規案件数
新規案件数 / 勝率=プリセールスの対応案件

複数製品の場合の考慮

 一つの案件対応が一人のプリセールスで完結する場合はこのロジックでベースラインを考える事が可能ですが、製品が複数になる場合は別の要素と合わせて検討する必要があります。製品が複数ある場合は製品別のマーケティング担当が立てる製品別の売上目標があります。プリセールス部隊がこの製品に合わせて分かれている場合は、同じロジックで製品別に見た適正人数も算出します。計算した結果を製品の複雑性や特殊性を考慮しながら、売り上げから見たものと付き合わせて調整を行います。
 デモエンジニアやセキュリティ担当など案件と直接紐づいた動きにならないチームは想定の対応件数と掛かる工数から適正人数の見積もりをします。これは確実な読みは難しいので、実績から負荷を見て増員すべきかの判断となるでしょう。

その他のリソース

 最後にマネージャーについてもカウントして全体の見積もりをし、商談軸、製品軸、売り上げ規模から見た適正人数を見比べながら最適な配分を決める事となります。マネージャー一人当たりのメンバースは各社でのガイドもあると思いますのでこれを参考にします。ここで重要なのは、どのレバーを改善すれば適正人数で対応できるようになるかを見ることで、経験的には案件の成約率の改善が重要な要素となる事が多いです。プリセールスでは案件対応だけでなく、この成約率の改善をするための投資的な活動も重要になります。ここを改善すると案件対応の件数を減らし、結果として品質の高い対応が可能となるので成約率が向上すると言う好循環を生む事ができるのです。営業と連携してどのような改善を行うかを決め、可能であれば投資的な工数も確保すべきです。

 ここまで人員人員計画について見て来ましたが、要望通りの人員を確保できることは少ないでしょう。その為にも営業からの依頼案件の正しいスクリーニングをして、製品の適合性の低い案件、顧客の検討状況の甘い案件、工数の浪費となるような案件支援を伴う案件を排除し、正しく工数を投下すべき案件を選別するアセスメントが非常に重要になります。繰り返しになりますが、プリセールスは営業の従属ではなく、会社の大事な資産なので、この資産効率を上げる事が会社全体への貢献となります。


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