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自身の情報を収集して周囲に知らせる:SNMPのデータベース「MIB」

「家系図かと思ったら、機器管理用のデータベースでした…。」

はい、こんにちは!松井真也です。シリーズ「ネットワーク障害管理の必須技術:SNMPとsyslog」第3回です!

前回は、SNMPマネジャとSNMPエージェントの間のメッセージ交換についてご紹介しました。平常時は、ポーリングといってマネジャからの要求に応じて、エージェントが状態を応答するのでしたね。他方、異常時は、エージェントが自ら「トラップ」を送信するのでした。納得の使い分けですね!

さて、今回は、エージェントに蓄積されるMIBについて深掘りします。MIBとは「Management Information Base」(管理情報ベース)の略です。このMIBを通じて、マネジャはルーターやスイッチなどのネットワーク機器の状態を監視し、管理することが可能になります。

でも、このMIB、ちょっと変わったIDの持ち方をするのです。いったいどんな仕組みでしょうか?

さっそく見ていきましょう!

MIBが管理する情報

まず、MIBは、SNMPエージェントが蓄積するデータで、エージェント自身の状態を周囲に知らせます。では、いったいどんな情報を管理するのでしょうか?具体的には次のような情報を保持します。

  • 機器名

  • インタフェースの稼働状態

  • トラフィック量

どんな情報をもっているか、これでだいたい分かりました!

標準MIBと拡張MIB

実は、MIBは2種類に分かれます。標準MIBと拡張MIBです。前回記事でも少し触れましたが、詳細を見ていきましょう!

1)標準MIB

まず、標準MIBは、業界標準として広く認められているMIBです。IETF(Internet Engineering Task Force)がRFCを発行して、その内容を定義しています。

また、標準MIBには、MIB-1(RFC1156で規定)MIB-2(RFC1213で規定)されるものがあります。現代では、MIB-2が主流です。

2)拡張MIB(プライベートMIB)

では、拡張MIBはどうでしょうか?拡張MIBは、特定のメーカー(シスコなど)が自社製品の詳細な監視や管理を可能にするために定義するMIBです。これにより、標準MIBではカバーできない詳細な情報を取得することができ、より細かいネットワーク管理を実現できます。

OIDの構造の秘密

さて、ここが本日のハイライトです!MIBの中核をなす「OID」について掘り下げてみましょう。

OIDは「Object Identifier」(オブジェクト識別子)の略で、それぞれのネットワーク機器や情報に割り当てられる一意のIDです。

OIDは、まるで大きな家系図のように、ツリー構造で組織されています。この構造により、特定の機器やサービスを正確に識別することができます。

よし、絵にしましょう!

MIBのツリー構造

例えば、図中に「system」というオブジェクトがありますね。これには、機器名などの情報が含まれています。これをMIBで指し示すと「1.3.6.1.2.1.1」となります。上からたどっていくわけですね!

ちなみに「interface」には、文字通り、インタフェースに関する情報が含まれています。

また「internet」で分岐していますが、左側が標準MIB、右側が拡張MIBのものです。

ふむふむ、MIBの情報の持ち方がだいぶ分かりました!

はい、本日はここまで!今回は、SNMPで蓄積されるデータベースMIBについてご紹介しました。データの持ち方がツリー状で面白かったですね。

次回は、syslogについてご紹介します。

では!


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