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Todd Rundgren / Hermit of Mink Hollow

偉大なるミュージシャン、トッド・ラングレン

自らプレイヤーとして「I Saw the Light」「Hello It's Me」等のヒット曲を創り出しているだけでなく、プロデューサーとしても、ニュー・ヨーク・ドールズのファーストやグランド・ファンク・レイルロードの『アメリカン・バンド』、そしてXTCの名盤『スカイラーキング』等に携わっています。あまりコメントされませんが、パティ・スミス『ウェイヴ』もトッドがプロデュースしています。

彼の数多くの作品の中から、今回取り上げるのは、1978年リリースの『ミンク・ホロウの世捨て人』です。

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トッドには「変人」の一面があって、例えば『A Wizard, a True Star』とかは、それがまともに表に出ている作品だと思います。曲自体もクセが強い(特にA面)ですが、そもそも1枚もののLPなのに収録時間が約56分と言うのも常識外れですし。(あ、でも大好きなアルバムです!)

一方で、類まれなメロディーメイカーとしての一面が出ているのが、『Something/Anything?』やこのアルバムになると思います。『Something/Anything?』のD面はちょっと変人テイストが入っているので、初めてトッドを聴く人にも『ミンク・ホロウ』の方がおすすめです。

オープニングの「All The Children Sing」から、キラキラしたポップ・ワールド全開です。

このアルバムから、シングルヒットしたのは、2曲目の「Can We Still Be Friends」

この曲に出てくる「friends」は、当時別れたモデルのBebe Buellであろうと言われています。「誰、それ?」という方も多いと思いますが、女優リヴ・タイラーの母親です。リヴの父親スティーブン・タイラーを交えたこの辺の物語は、ググれば出てくるので、興味のある方は調べてみてください。(ちなみに、リヴ・タイラーの本名はLiv Rundgren Tyler)

トッドのメロディーメイカーとしての才能が一番良く分かるのが、ピアノの弾き語りを基調とした曲。このアルバムだと「Lucky Guy」でしょう。

2分ちょっとの短い曲ですが、間奏も含めて、これ以上何も足す必要のない、完璧な構成だと思います。そういえば、2枚組アルバム『Todd』収録の「A Dream Goes On Forever」もそういう曲でした。

ちなみに、このアルバム、A面が「The Easy Side」B面が「The Difficult Side」と記載されているのですが、何が「簡単」で、何が「難しい」のか、今に至るまでさっぱり分かりません。この辺りは、「変人」トッドならではなのでしょう。

そして、このアルバムで一番特筆すべき点は、作曲・編曲、ボーカル、演奏、プロデュースの全てをトッドが行っている、正真正銘の「ソロ・アルバム」であるということ。これが出来るところが、私がトッドに憧れる最大の理由です。ぜひとも見習いたい。

ちなみに、彼は72歳の現在も現役のミュージシャンで、2019年5月には来日公演も行っています。この辺りも併せて見習いたいものです。



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