トーキョーN◎VAオリジナルシナリオ・プレイレポート REVERSE KNIGHT / REBIRTH NIGHT

本稿は2024年4月13日に行われたトーキョーN◎VAのセッションレポートである。

シナリオはこちら。筆者こと13ぷとうオリジナルの作である。

先立って、トーキョーN◎VAというTRPGと、本シナリオについて解説しておく。
Q:どんなゲーム?
A:なんか近未来でアクションする。共通の立場や共通の敵が存在しないので、好き勝手しやすい。
Q:どんなシナリオ?
A:ガチめに強い敵の陰謀を謀略と暴力で潰す。ぶっちゃけ昔あったリプレイのパクリ。

だいたいこのぐらいの理解でも、普段コンベンションなどで遊ぶ分には問題ない。
ないのだが……今回集まったプレイヤー陣はいずれもトーキョーN◎VAを長く遊んできた猛者ばかり。
シナリオも、いわゆる高経験点環境(サプリメント等に掲載されている"かなり強い敵"と互角の敵が出てくる)
はてさて、何故こんなことになったのか?

シナリオ執筆経緯

筆者は普段オープンコンベンションでGMをしているが、提供するのは初期作成キャラを想定したセッションがほとんどであった。

たまには経験点を大量に注ぎ込んだキャラを使ったセッションもしたい、との要望が寄せられた為(筆者もそう思います)、どうせならと事前にプレイヤーの要望を聞いてからシナリオを作成することになった。
そう、上記シナリオは『プレイヤーが考えた』オーダーメイドシナリオと言える。

各プレイヤーから寄せられた要望は下記の通り(一部意訳)
プレイヤー①:引退したガンマンが活躍する、ハリウッド映画みたいな話がやりたい。
プレイヤー②:超強い魔法戦士(闇属性)で活躍したい。
プレイヤー③:黒幕的ポジションで暗躍したい。あと関係ないけどブルアカやりたい。
プレイヤー④:なんでもいいぜぇ。暴れられたらヨォ。

一見してチグハグに見える要望であるが……。
『敵が陰謀を巡らし、その犠牲となった者がPCに助けを求める』→『根回しを行い敵の目論みを潰す』→『いよいよ後がなくなった敵が暴力に訴えてくるので返り討ちにする』
という……例えば時代劇のような……ストーリーならば上記の要望を満たす。つまり、
PC①:町娘を助ける昼行燈
PC②:敵と因縁のある凄腕
PC③:若者を助ける御老公
PC④:お助け役の客演浪人
こう考えれば良い。我ながら綺麗にまとめたものだと思う。

対して筆者がシナリオに入れたかった要素は下記の通り。
「あー。2023年12月9日(土)・10日(日)東京ドームにて開催された『異次元フェス アイドルマスター☆♥ラブライブ!歌合戦』最高だったなー。俺は普段はアイマスPだが、ラブライブ!の素晴らしさも伝えてぇーなぁ。アンバサダーやってくれたVチューバー2人も良かったなぁ。シナリオに活かしてぇー。」

どうでもいい。
どうでもいいので、登場する敵キャラクターの元ネタとして使う程度にした。
その上で、敵キャラクターは極論全員が賑やかし要員とし、出オチキャラとして消費することも厭わないと覚悟した。
主役はプレイヤーであり、PCである。其を称して『キャスト』と呼ぶ。

キャスト紹介

そういうわけでキャスト紹介である(一部ゲーム専用用語が出てくるが容赦願う)

キャスト① 
藤林 深雪(ふじばやし みゆき)  26歳・女性
コモン◎、カブトワリ⚫︎、クグツ
「愛を知ったからね。」「奴らの手口はよく知ってる。話しても無駄だってことも。」
元・軍事企業の実験体。銃の名手として多くの任務をこなしてきたが、一般人の女性を愛してしまい企業を抜ける。
公には殉職したものとされ、かつての名前も捨て、今は場末のコーヒーショップで働く。
シナリオヒロインとは企業時代からの知り合い。キャスト④とは任務中に命のやり取りをしたこともある。

能力の大半をパッシブスキル(つまり使用宣言が必要ないもの)に注ぎ込み、情報収集パートでは街の噂を頼りに何でも調べあげ、戦闘ではワンショットワンキルを信条に粛々と標的を始末する。
高経験点環境でありながら、シンプルに扱いやすい仕上がり。そのままサンプルキャラにしても良いぐらいの完成度であった。
なお恋人の設定はあるが(セッション本編には関わらない為)詳しく語らないものとしていた。この辺りのバランス感覚はベテラン故か。

キャスト②
"死神の翼"鴉(からす) 20代後半・男性
バサラ◎、カタナ⚫︎、カブト
「売られた喧嘩を買ったまでだ。」「光が強ければ、その分闇も強くなるが道理。」
とある傭兵部隊に所属していた東洋人(?)。
ある日部隊は裏切り者の内通により全滅、仲間を護ることは叶わなかった。
その日以来、仇を探して様々な戦場と街を渡り歩いている。
闇そのものを操る魔法使いであり、幾つかの組織から危険視されている。

プレイヤー②が長年使っている歴戦のキャラ。
平均を大きく上回る命中達成値から、一撃で人が2人ほど死ぬぐらいのダメージを叩き出す、トーキョーN◎VAの闇を体現したかのようなキャラである。
『仇を探している』とのキャラ設定から、他キャラとの合流や情報収集パートでは積極的に他のキャラを頼っていた。
出来ないことを敢えて強調し、翻って自キャラの役割を強調するテクニックは流石である。

キャスト③ 
"コモンの先生"標ルーコ(しるべ るーこ) 10代(?)女性
クロマク◎、ハイランダー⚫︎、コモン
「こういう時に助けてくれそうな人は〜っと。」「約束して。その手を離さないでって。」
ストリートで、行き場のなくなった者達を助けている謎の少女。
『いつか私に恩を返すこと』『あなた自身の大切な物を守ること』を条件に、あらゆる存在に其の人脈を以て力を貸す。
その正体は、アルファ(原点)にしてオメガ(頂点)たる超AIの分霊。
だかあくまで本人は、普通(コモン)の存在であることを望む。

今回唯一の純サポーター。
ゲームの設計上、ダメージを出す為に必要な能力を全て補助に回せる為、その効力は絶大。
(尤もサポート用スキルの管理は煩雑なので、恐らく設計者以外には使いこなせないだろうが)
ロールプレイ面では、敵の背後にいる大企業へ単身乗り込み、計画の急所をつく活躍をみせた。

キャスト④
"アザゼル"ウォルター・V 若い男(?)
カブト◎、アヤカシ⚫︎、カゲ
「素晴らしい、ご友人。」「我が主の魂は存在するのか?見届けたいのですよ。」
フリーランスのボディーガードを称する謎の男。今はキャスト③ を主と呼んでいる。
正体は、旧約聖書に名を残す堕天使。人間に『暴力』を教えた罪で天から追放された原初の悪。
その強さと暴力性は、妖が集うサロンからも危険視され追放されてしまう程。
キャスト③ の影として仕えているのは、AIに魂が存在するのか?を知りたいが故。
仮初とはいえ首輪がかけられた形だが、果たして人類にとっては吉か凶か。

自由枠であり、コンベンションならプレイヤー人数調整の為に設けられる枠。
それ故プレイヤーも大手を振って自由なキャラ設定を楽しんでいた。
しかしデータ面では、攻撃を受け流す防御役と、敵の弱点を的確に狙う(肉体ダメージチャートのデスナンバー狙い)攻撃役を兼ねた燻し銀。
吉か凶か、パーティーにとって無くてはならないキャラであった。
(なお敵キャラクターの中に人造の天使が居るが、このマッチアップは偶然であった)

セッションハイライト

全てのシーンがハイライト、といいたいところだが。
キリがなくなるため、特に印象に残った場面を3つご紹介する。
いずれも、筆者の思惑を超えられたシーンである。

① 藤林深雪のオープニング
シナリオ執筆段階では、キャスト① の過去などは確定していなかった。
だが、藤林深雪がヒロインと同じ企業出身ということで、助けを求めにくる理由づけが出来た。これはプレイヤーからの提案である。
またその際、ヒロインが深雪を呼ぶ場面で
プレイヤー①「ヒロインが私を昔の名で呼びそうになる、という演出が欲しい。とはいえ昔の名は設定してないので、どうしたものか」
筆者「では、『名前を呼ぶ時だけカメラがヒロインの口元にフォーカス、しかし音声が一瞬だけ聞こえなくなる』という映画的な演出はどうだろうか?」
このように演出についての相談があった。
『音声が一瞬聞こえなくなる』という演出は、その後も折に触れてシナリオ内で用いられた。

②ミドルフェイズの行方
キャストが合流してから2シーンほどで、重要情報の大半は出揃い、またそのことでイベントシーンの発生条件が複数同時に満たされた。
ここで筆者から、
「現在『敵が襲ってくるシーン(戦闘シーン)』『敵企業の直談判するシーン』『ヒロイン達の逃走ルートを確保するシーン』の3つが同時発生している。好きな順番で解決してよい。」
と伝えた。
するとプレイヤー③から
「直談判には私単独で行きたい。が、その前に『襲撃された事実』を交渉材料にしたいので先に戦闘シーンがやりたい。」
と提案された。なるほど、綺麗な理由付けが出来る演出プランである。

また、逃走ルートを確保するシーンは(魔術的要素を交えたシナリオであった為)キャスト②が怪物の巣窟へ赴き交渉する場面を想定していたが。
プレイヤー②から
「俺は怪物達から見れば天敵。交渉を行おうにも、あまりに戦歴を重ねすぎた。警戒されるだろう。」
との提言。重ねてプレイヤー④から
「どうせ警戒されるなら、追放者であり同じ怪物である自分が赴いた方が、興が乗りましょう。」
との甘言。
予定を変更することにした。

なおその間プレイヤー①は
「私はヒロイン達を護衛しなければならない。(もちろんプレイヤー目線では戦闘シーン以外で襲撃されないと分かっているが)、各所での交渉には同行できない。」
という名目で、他プレイヤーに出番を譲っていた。

こうしてシナリオ作者たる筆者の想定を超え、ミドルフェイズにて各位の魅せ場を十全以上に作ることが出来た。
代償として、各シーンのNPCのセリフは9割方アドリブとなった。
ククッ、実に困ったことである。


③エンディング
実際のやり取りを、そのまま抜粋する。

ヒロインA「あ、深雪さんに皆さん。良かった来てくれたんだね。改めてありがとう。おかげでご覧の通り、平和に暮らせてるよ。この国の女王様が目をかけてくれてるんだ。」
ヒロインB「先生、ワタシからもお礼を言わせてください。日の光の下を歩けないのは変わりませんが、日本に利用されるだけの運命とは決別できましたよ。」
ヒロインA「そうだ!再開できたら、ボク達からお願いしたいことがもう1つあるんだった。ごめん。我儘だけどどうしても……ね。その、ボク達の新しいファミリーネームをつけて欲しいんだ。」

プレイヤー①「はーん。これはそういう……。でも急に言われても思いつかないなー。あはは。」
プレイヤー②「だったらまた、『カメラが口元を映すけど、音声は聞こえない』演出でいいんじゃないかな?」

おお〜。おお〜。ここにきてオープニングから重ねてきた演出が身を結ぶとは!
狙ったわけでもないが、見事な伏線回収、一貫したテーマ性と合いなった。


おまけ・写真


キャラクター情報をまとめたり、リソース管理の為に使ったノート。
公式のセッション管理シートとは別に用いている。
必須ではないが、あると便利。
情報項目を可視化したもの。一種のハンドアウト(印刷物)
表面に、キーワード・使える技能・難易度を表示。
裏面に、成功すると判明する情報を記載してある。


これ楽しいね。
またやりたいです。おしまい。
(やっぱりラブライブ!じゃねーか)

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