TRPGプレイ中に行われる会話の種類

はじめに

本稿ではタイトル通り、TRPGプレイ中に行われる会話を種類分けして解説する。
併せて、それらの会話が混同され意図が伝わらない、という状況を防ぐ方法を考察する。

筆者はプレイ中の会話を下記4種類に大別している。
①ゲームとは直接関係ない会話
②プレイヤー(またはゲームマスター)としての宣言
③他参加者との相談
④キャラクターの台詞を代弁する会話
順に解説していく。

①ゲームとは直接関係ない会話

多くの場合、ただの雑談である。が、そうした雑談をプレイ中に完全に排除することは難しい。過剰でなければセッションの場を円滑に回す潤滑油となる。

また都合上、例えば「ちょっと休憩してコンビニ行きたいです」とか「終わったら飯行きますか?」といった会話も(ゲームとは直接関係ないかもしれないが)プレイ中にしなければならないタイミングはある。

なおゲームの舞台が現代日本の場合、上記の「コンビニ行きたいです」のような発言がプレイヤーではなくキャラクターの発言と間違えられる可能性がある。
後にも述べるが、発言の前後に「これはプレイヤーとしての発言です」と付け加えると良いだろう。
没入感は下がるかもしれないが、トラブルは減る。

②プレイヤー(またはゲームマスター)としての宣言

ゲームマスターが行う状況描写、ゲーム進行に関わる行動宣言、判定やデータ運用に関する会話など。
例えば「君達が洞窟を進むと開けた場所につきました」とか「物陰を調べたいので判定します」とか「ではダイスロールをお願いします」と言った、普段よく行なっている会話である。

TRPGは謂わば、コンピューターゲームにおけるコマンド入力を自然言語で行うゲームである。
(いや実際のコンピューターは言語でメソッドをランしてるじゃん、とかそういう話は遠慮させてください)
これらの会話だけでもゲームは進むし、これら無しではゲームはまず進行できない。

③他参加者との相談

②は主にプレイヤーとゲームマスターとの間で行われる会話だが、③はプレイヤー同士で行われることが多い。

マルチプレイ型の電源ゲームを遊んだ人なら分かるだろうが、他プレイヤーが操作権限を持つキャラクターの行動を『私』が決めることはできない。
つまり「私のキャラは回復魔法を使います」とは言えても「隣のキャラが回復魔法を使います」とは言えない。
「隣のキャラを担当している⚪︎⚪︎さん、回復魔法使ってくれますか?」と相談することになる。

問題は、プレイヤー同士の相談が行動宣言だと勘違いされるケースである。
昔は時折あったらしいが……例えばプレイヤー同士で「右に行きたい」「左に行きたい」と相談していたところゲームマスターが「では君達は別れて行動することになった」と裁定してしまう、といった具合である。

これを防ぐために、当時はプレイヤーの中から『コーラー』(宣言する者、の意)と呼ばれる役割の人物を決め、パーティーの行動宣言はコーラーの宣言を以て行うという運用を行なっていた(らしい。筆者のまた聞きであるが)
覚えておくと、いつか役に立つかもしれない。

④キャラクターの台詞を代弁する会話

つまりキャラの台詞を喋る行為であり、多くの人がロールプレイという単語から思い浮かべるモノである(筆者もこれこそがTRPGの醍醐味であると思っている)

『理論上は』ゲームマスターの状況描写と、各参加者のキャラクターとしての台詞回しだけでもゲームを進めることは出来る。
しかしそれが成立するのは、『プレイヤーの行動宣言や他プレイヤーとの相談内容』が、『キャラクターの発する台詞』と完全に一致する場合のみ。

つまりこういうことである。
⚪︎成立する場合
キャラA「俺が前に出るぜ!回復魔法は後ろの護衛対象に使ってくれよな!」
担当プレイヤー(このキャラは勇敢である。プレイヤーとしても援護は不要だと思っている)
⚪︎成立しない場合
キャラA「私が前に出ます。あなた方の援護など必要ありません。」
担当プレイヤー(このキャラは意地っ張りなだけ。プレイヤーとしては援護してほしいと思っている)

プレイヤーの意図とキャラクターの(表層上の)発言にズレがある場合は注意が必要だろう。
いささか古い表現をするなら、ツンデレは難しいということだ。

没入感を高めたい、という気持ちは筆者も痛いほど良く分かるが……。
トラブルを避けるためには、やはり発言の前後に「これはプレイヤーとしての発言ですが」と付け加えた上で、行動の意図や他プレイヤーへのお願いを自分自身の発言として行うのが良いだろう。

上記の例でいえば
「これはプレイヤーとしての発言ですが、今から私のキャラは冷たい態度を取りますが、それはそれとして援護をお願いします」とプレイヤーとして言ってから
「私が前に出ます。あなた方の援護など必要ありません。」
とキャラクターの台詞を言うことでトラブルが避けられるだろう。

追記・キャラクター台詞の代弁

キャラクターの台詞『を代弁する会話』と表現した理由の説明でもあるが。

例えば、勇猛果敢な戦士が邪神に戦いを挑む際の台詞を発するとして……。
例①「邪神め!やっつけてやる」
例②「僕のキャラは『邪神め!やっつけてやる!』と言います」
例③「僕のキャラは邪神に向かって勇ましい事を言います」

上記は全て、自然言語によるコマンド入力としては同価値である。
そりゃあ例①が最も没入感は高いだろうし、例③などは普段の生活ではまず行わない発言だが、ゲーム進行上は差異がない。

プレイヤーの意図とキャラクターの発言のズレを解消しやすくする為にも、例②や例③のような会話方法も覚えておいて損はない。
貴方自身がそのような会話方法を使わなかったとしても、同卓した誰かが「キャラクターのロールプレイは恥ずかしい」と思っている時に助けになるかもしれない。
(あくまでTRPGという遊びにおいてのみ成立する方法である。ナレーションや演技が求められる場面では成立しない)


終わりだよ〜



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