共産党さんと公安警察さんは和解して下さい!

日本共産党に対しては、その組織が閉鎖的(民主集中制)だと批判されることがあるけど、公安警察に共産党が徹底的にマークされていることを考えると、共産党が閉鎖的な組織形態を取らざるを得ないのも仕方ないかな、と思う派である。

というのも、公安警察は絶対、共産党内部にスパイ(プロバカートルAgent provocateur)を潜入させて、党内を混乱させようとしていると考えられて(https://weblio.jp/content/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%90%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%AB…)、共産党は自衛のために閉鎖的組織形態を維持しないと、内部をメチャクチャにされてしまうと考えられるからである。

実は、今回の共産党の騒動をもたらした『シン・日本共産党宣言』を書いた松竹伸幸氏は、「もしかして公安警察のスパイだったのでは?」とさえ疑っている。ああいう形で、(共産党からしたら)極端な意見をいきなり本にして公表するというのは、まさにプロバカートルによる内部攪乱工作に見える。

当局がプロバカートルを潜入させて敵対組織を攻撃する手口については、アメリカを事例にしたDavenport (2015) How Social Movements Die: Repression and Demobilization of the Republic of New Africa, Cambrige University Pressという研究がある。この本でダベンポートは、当局によるスパイ浸透工作に対して、社会運動は組織を閉鎖的にして対応するとしている(e.g., p. 53)。

日本の公安警察が何をしているかについては、情報が全然、出てこないのでほとんど研究できないのだが(例外として野中弘敏『警備公安警察の研究』岩波書店1973年)、流出資料を用いたジャーナリストの記事(例えば吉原公一郎「内閣調査室を調査する」『中央公論』75巻13号1960年12月号)などから、色々な形でスパイを入れたり情報を収集していることは間違いない。

それどころか、安倍政権が警察に対する影響力を強めた時期に集中的に出版された本を読むと、けっこう恐ろしいことを公安警察がしていると書かれている。曰く、「公安警察の尾行(警察内では「追尾」と呼ばれる)は相手にその存在を気付かせることなく、徹底した組織戦術で行われる」「道行く人、全てに捜査官が擬変(変装)する。会社員、若いカップル、親子連れ。実際の配偶者を呼び出し、ペアを組むこともある。そして警察庁航空隊のヘリコプターがはるか上空から対象者の同行をチェックするのだ。1人の対象者に実に数十人の公安警察官がかたまって尾行することもある。周囲からは「混雑気味の人の流れ」にしか見えない」(今井良『内閣情報調査室』幻冬舎新書p.28, 2019年)。

私、ここの記述を読んでビックリしましたよ。だってこの尾行方法って、陰謀論の界隈で有名な「集団ストーカー」じゃないですか。なんだ、やっぱり公安警察は集団ストーカーやってるんやんけ!と。

しかも面白いことに、この今井良の『内閣情報調査室』という本は、その後、なんかどこかに盗用があったとかいう理由で絶版になっちゃったんですよね。何故かアマゾンに中古も出てないし。怪しい。怪しすぎる・・・!(https://www.amazon.com/-/es/%E4%BB%8A%E4%BA%95%E8%89%AF/dp/4344985559

というわけでまあ、共産党が松竹氏を除名したのは、松竹氏をスパイだと思ったからではないかな?というのが私の仮説。知らんけど。いずれにせよ問題は、公安警察が共産党とやり合っている限り、共産党はたぶん民主集中制を改革できない、ということなんですよねえ。間違いなく浸透されてボコボコにされる。

しかし、日本共産党が閉鎖的な組織形態を取って、常識的にあり得ない政策位置(特に安保政策)を採用しているので、日本の野党は分裂、票が割れて自民党に絶対、勝てなくなっている。そして、自民党一強状態は、日本にとってよいことではないし、実は自民党にとってさえ長期的には良い結果をもたらさない。

結局、中選挙区制ならばともかく、小選挙区比例代表並立制下で一強になると、首相がほとんど独裁者になってしまう。そして、独裁というのは、決して効率的な統治形態ではない。首相に上がってくる情報が、致命的なまでに歪んでしまいますから。安倍政権下での統計不正事件がその典型的な問題。

だから、日本全体の国益を考えると、共産党が民主集中制をやめて、常識的な安全保障政策を採用して、与党・自民党と野党で健全な選挙競争が成立することが望ましい。しかし!公安警察が日本共産党を目の敵にしているから、これができなくなっている。

そしてもちろん、日本共産党の方も意地になって(としか思えない)、いわゆる「敵の出方論」みたいなのを堅持している・・・。日本共産党と公安警察の意地の張り合い。これがどれだけ日本の国益を害していることかと考えると、溜息が出ます。

ということはつまり、共産党と公安警察のどちらかが譲歩し(コストリー・シグナルを送り)、双方の緊張を少しずつ緩和していくしかない。私が首相なら、警察に何とか働きかけて、公安警察側から譲歩させたいところ。しかし!もちろん(公安)警察は、かなりの程度まで政治権力から独立している。

もちろん、警察の政治からの独立には、良いこともある。戦前の日本では、政権交代のたびに内務省の下にあった警察内部がメチャクチャになり、選挙不正の取り締まり等にさえ影響したというのは、広く知られた事実。警察側は、明らかにこの戦前の経験を意識して、政治からの独立を心掛けている。

だからこそ、安倍政権が官邸警察官僚を通じて警察組織に影響を与えつつあったと思われる時期に、警察OBを名乗る人たちによる内部リークと思しき情報が大量に出てきたのでしょう(先ほどの今井『内閣情報調査室』もその時期にどさくさに紛れて出版されたと思っている)。

確かに、政治権力と情報/諜報機関(公安警察)の関係をどうデザインするかは難しい。政治権力が情報/諜報機関を支配するならば、恐怖政治が帰結しかねない。しかし、政治権力から完全に独立した情報/諜報機関も、独善に陥って暴走するのは間違いない。難しいよねえ・・・。

しかし、公安警察による共産党に対する敵視は、日本の国益を損なっているのは間違いないと思う。共産党は確かに過去に山村工作隊とかやってましたが、やはりそろそろ和解して欲しい。日本で共産主義革命が成功する可能性は、どう考えても限りなくゼロに近い。頼むよホント・・・。

というわけで、誰か日本共産党と公安警察に圧力をかけるためにデモを組織しませんか?「敵の出方論は、やめろー!」「共産党の敵視は、やめろー」をスローガンにして、代々木から桜田門までデモする。良いアイディアだと思うんだけどなあ。

最後に付け加えると、安倍・菅政権は警察を人事権で支配しようとしていた形跡があり、完全にメチャクチャだった。岸田氏が、「日本の民主主義が危機にある」といって総裁選に出馬してくれて、本当に助かった(https://kishida.gr.jp/activity/7653)。左派リベラルは岸田首相をやたら批判するけど、私はこの一点で岸田首相絶対支持派。ガンバレ、岸田首相!応援してまーす!


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