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真空管マイクを作る

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U47クローンを作るまでの過程。
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羨望のU47 その3(製作編)

あれから少し間が空きましたが、Neumann U47型の真空管マイクを作ります。(作りました) 今回はキットではなく、完全に1から自分で組み上げる必要があるので難易度は高い。 基本設計 以前書いた通りヴィンテージ五極管のVF14はもう入手できません。となると別の真空管を使う訳ですが、基本的にPelusoやWarmAudioのように双三極管を使うとメタル五極管と動作・音質が全然違うのでこれは選択肢から外しました。 採用する条件は今現在も入手可能な五極管で、gm(増幅率)

有料
800

Mic and Mod U67キットの雑感

U47製作の箸休めに、Mic and ModのU67キットを買って作ってみた。 これは文字通りNeumann U67モデルの真空管マイクのDIYキットで、699ユーロとキットとしてはだいぶ良いお値段ですが、ブラックフライデーのセールで15%オフになっていたのと以前から試してみたかったので思い切って他のパーツ類と一緒に買ってみました。 フランスのメッツから配送でしたが、10日ほどで日本に届くという感じでした。(メッツはパリから遠いのでベルギー〜ドイツのライプツィヒ経由で空輸

羨望のU47 その2

Neumannの真空管マイクU47の音が欲しいけどヴィンテージは高騰して車買える値段だし、そもそも球数ないし、かといって現行クローンは微妙すぎるというのが前回の内容でした。そのつづき。 海外のU47自作例 前述のメタル真空管VF14を除けば、現在でもカプセルはK47とM7のオリジナルに近いリイシューが手に入りますし、トランスも精度の高いAMIのBV8クローンが入手可能です。 回路図を見ると分かる通り、U47は非常にシンプルな構成のマイクです。三極管接続したVF14のカソ

羨望のU47 その1

Neumannのヴィンテージマイクといったらその筆頭はU47だと思う。 近年は中古市場にさえ一切出てこなくなってしまったので、老舗スタジオ以外では見かけることはほぼなくなった。数年前までは100万円台だった相場も今は20,000ドル以上になり、円換算だと300万近い価格が付くこともある。 U47のスムースな高域(Silky Top)と深いボトムエンドは誰にとっても魅力的なサウンドのひとつされ、真空管マイクのリファレンスになっています。高域が綺羅びやかに聴こえるようにデザイ