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失恋

「まーたダメ男に引っかかっちゃった。私って男を見る目ないのかなあ」

アルコール度数3%の缶チューハイをぐびと飲む。ジュースのような甘さのそれは、苦い失恋を拭うための薬だ。

深夜の電話相手は幼馴染の安田だった。男勝りな性格の私は、女の子相手に恋の相談ができなくて、安田にばかり電話をかけてしまう。

「まあ、そうかもな」

安田は小さく笑いながら答えた。安田はお酒を飲まない。

「はーあ、どっかにいい男、いないのかなあ」

「いてもわかんないだろ。男を見る目がないんだから」

またカラカラと安田が笑った。安田の余裕に腹が立つ。

「そういう安田だって、女を見る目ないじゃん」

「たしかに、まだ見えないけど」

安田はまだ霊感が育たなくて、私のことも女の子の霊も見ることができない。電話じゃなくて、会って話したいのに。

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