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君へ*そして僕へ

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メッセージっぽいテクストです。他のサイトへは未投稿のものを中心に入れてあります。
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記事一覧

ピューパ【詩】

《多くを知れば 多くを失う理不尽な世界》 信頼の糸に怯えながら 己の意図に抗いながら 芯に障ることに耐えながら 繭の中に生成された 権威へのオマージュを捻り潰したなら まことしやかに現れたのは 黒いマヌカンさながらの心 《多くを知らずとも  信用の出来る人など少なくとも…》 代わる代わる出現する困難の壁に対して 僕の中にある法則に 都度 倣いながら 〈見返り〉や〈周囲の評価〉を気にせずに楽にやり過ごせたらなぁ と思う # 飛び交う調べは ## 静かなノエル ### 

師走【詩】

あの時 失ったものは その梢の上にあるから 「見える」の代わりに「触れる」が出来ないでいる ふと想う 哀しい空の最果ては 午後五時の闇へと溶けて 明日はもう師走 あの冬 失ったものは この出窓の桟に現れ 「誇り」の代わりに「埃」をかぶっている でも浮かぶ かつての輝く記憶は 黄昏にやがて消えてゆく始末 君に渡した 誰も知らない僕の尻尾は 今朝も夢の中から抜け出せず 「生き抜く」替わりに「息抜き」をしている ふと気付く 哀しくて泣くときの涙は いつも暗闇の中からやって

サンダルウッドとコーヒーと【詩】

全部忘れてしまえたなら どんなに楽かと望んだ日々 今朝早く 芳しい豆を自分の心の代わりに砕く 君の好きだった白檀と 琥珀の湯気の香る部屋で 飲む珈琲は昔も今も やはり苦い (20231124/私之若夜=しのわかや) ※写真はCanvaからいただきました。

十六の夏【詩】

* こんなにも夏空が悲しいのは 朝から澄み渡る この碧の所為か 僕は僕として 不断の努力が何も報われずに 逃避行よろしく 地の果てへと駆け出す 彼方から聞こえ来る君の歌声は単なる気休めか? ** こんなにも夏空が淋しいのは 雲の欠片の一つもない 潔癖の所為か ただ この身体が 原石のまま壊れずに 素朴であれと願いながら 重なる苦悩を 藻掻き 掻き消す 僕が僕であるために 夏空は 唯それだけで悩ましい *** こんなにも夏空が眩しいのは その深淵から迫り来る 

奇しくも幸せは【詩】

奇しくも幸せは 自分以外の    誰かの幸せでも また あったり 理も無く また 誰かの歓びは    しかし なぜか 自分の歓びでも あったり 優しく微笑む目の前の君の歓びでも あったりするのだから (20230630/私之若夜=しのわかや) ※写真はCanvaからいただきました。

その時、君の風船は【詩】

やっとこ のぼった 丘の上から ふんわり 風船 風に乗り 飛んでけ 知らない明日に向かって (20230629/私之若夜=しのわかや) ※写真はCanvaからいただきました。

僕の詠む詩は響かない【詩】

言葉にすれば 見える聞こえる そして出てきた答えは心の 闇に呑まれて消えてゆく 底なしの黒紫に すっと沈んで とうとう見えない 響かない 響かないから伝わらない けど 「それでいい」「それがいい」 そう言って頷かないで 僕の詠む詩は いつ どこで 誰が読んだって そうは響かない (20230601/私之若夜=しのわかや) ※画像は Canva より頂いています。

それがすべて【詩】

今此処に在ることにだけ感謝して もう目を閉じて「お休みなさい」 * 着陸せずに、 燃料補給せずに、 エンジンを休ませずに、 飛び続ける飛行機は、とても危険です 明日のフライトのためには じゅうぶんな調整と準備が必要だから 自分という大事な機体を守るために… * 今此処に在ることにだけ感謝して もう目を閉じて「お休みなさい」 (20230314/私之若夜=しのわかや) ※写真はCanvaからいただきました。

夜の回転木馬【詩】

あなたとは 偶然の 回転木馬の出逢いでした 同じ場所で 待ってさえいれば いつかまた きっと あなたと 逢えるとおもって 巡り来る どれか一つの木馬に乗った姿を心に描きながら ずっと静かに 此処にいていいですか もうこれ以上 眺めるだけで 触れられなくても どこかで何かを 期待している 私はやっぱり道化でしょうか 閉園時間を過ぎたのに この胸の中の木馬は未だにずっと回り続けているのです (20230220/私之若夜=しのわかや) ※写真はcanvaからいただきました。

木を見て森を見ず【詩】

標(しるべ)は消えてゆく 言葉を無くし 君を見つめて そして ただ 涙乍らも 手に手を取り――― 二人して 夜空を仰ぎ 見渡してみたところで もう未来の地図は見つからない (20221107/私之若夜=しのわかや) ※写真はCanvaからいただきました。

双六*すごろく【詩】

夕暮れ 焦がれた 落ち葉の道 黄色と朱色の まだら雲 田舎の町の寂しさには 風も泣かない夜 秋祭り 髪飾り 揺れる月明かり 君の頬に浮かぶ陰り 振り出しには戻れない 「さよなら」の声を聞いたら  涙しないで口を開け  でっかい声で 「笑いながら『さよなら』と言う」(罰ゲームです) * 少し薄く懸かった霧 潤んだ瞳に 映る星 昨日までの想い出には 頼る賽子(サイ)など無い 朝が来る 鳥が鳴く すべてが目覚める 当たり前の 暮らしだけど そう すべてにありが

心(こころ)【詩】

心に、大人も子どももないと私は思う。 子どもの殻、例えばそんなものがあったとして、その殻は、いくつになっても脱ぎ捨てるなんて出来ないのだから…まるで貝の殻のように、 まったくの大人になったつもりでいても、それは背中やお尻に付いているのが見えずに気にならなくなっただけで、 だから結局は、いつまで経っても、みんな子どもの心を持っていて、 殻がどんなに大きくなっても、芯の部分は子どもの時のままで、 ただ、そのことに気付いていないだけでは、ないのだろうかと私は思う。 (20

きっと*もっと*ずっと 【詩】

明日はきっと 優しくしよう 昨日よりちょっと 優しくなろう 素敵な君に 優しくしよう 大切な君と 心通わせて 明日はもっと 素直になろう 昨日よりちょっと 素直になろう 素直な気持ちで 君と話そう 大切な時を 君と過ごそう これからも ずっと ずうっと   (20210908/私之若夜=しのわかや) ※これは1年前に投稿した記事の再掲です。  一部修正加筆してあります(笑)  写真はCanvaからいただきました。

晴れ間【詩】

雨の合間に見た 青いジーンズの綻び * 雲の上には 太陽が 見えないけれど 太陽が きっと輝いているんだろう 雲の上から 見下ろせば 下界の様子は 見えないが 雲がひしめく 海のようだろう 黒ずんだ雲でいっぱいの 僕の心の 奥底の 雲海のようであるだろう やがて少しずつ 雲が薄くなり 外は決して晴れてはいないが ミンミンゼミやアブラゼミ ツクツクボウシが鳴いている 真夏の世界になるだろう ** 雨の合間に覗いた君の首筋は ジーンズと空の青い綻び (202108