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詩作のラボ(実験室)

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何故かあまり見ない聞かない「詩や和歌」などの実験的な試み。こんな物好きなことをしている人間は、きっとこの世にあまりいないのだろうと思います(笑)読んで、見て笑ってもらえればありが… もっと読む
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記事一覧

海鞘*ほや【詩】

読み終わったなら 黒板消し 白墨ならぬ 龍の角 誤字の指摘は大きなお世話 煎じて飲ませる爪の垢 * その様を 陰で見ていた はにかみ屋 微かに見えた 幸運の兆し 夢見て歩く 夜の花園 月の光が照らす中庭 それにも勝る青白い燈火 * そして真夜中に 静かな海で歌う海鞘 (20240303/私之若夜=しのわかや) ※写真はCanvaからいただきました。

♭*ふらっと【詩】

戦うならば 武器はペンシル 無神論者も 頼みはクロノス 頼りないのに助けはノーワン 優しそうでも言葉はシニカル 肉まんよりも 今夜は鯛焼き ♭ 誰知らずとも 地知る 天知る 神の雷土が轟き 驚く やんわりと君の意見に同感 藪から棒の僕を不思議がる ぼんやり ふたり 吐息と呟き ♭ 書こうとしたら 書けないペンシル 光の速さ か 時はクロノス 僕の心を知るのはノーワン 微笑む君の心はシニカル そして うとうとと すれば宵闇 (20231219/私之若夜=しの

帳*とばり【詩】

楽しい時間は あっという間に過ぎるから またの機会を待つことにして その別れを互いに惜しむ いつか どこかで 会う約束を交わして 悲しい時間は無限に続くような気がしても いつの間にやら時は過ぎ 心も移ろう あの忘れられない出来事さえ 微かに薄れゆく 暗闇の黒い帳の向こうへ消えてゆく (20231219/私之若夜=しのわかや) ※画像はCanvaからいただきました。

景観【詩】

此処から静かに空を見上げれば 白雲の流れる様がゆっくりに見える 此処で川を見渡せば 幾ばくか水の流れが淀んで見えるだろう 又 易々と林を見れば 姥目樫の枝々が 風に揺れていることだろう 裏山の中腹に だが僕はいる 今 僕は黙って其処に留まっている 二度とは返らない大切なものを 又 日夜待ち続けている (20231208/私之若夜=しのわかや) ※画像はCanvaからいただきました。

季節外れの紫陽花の君【詩】

いやはや何とも 季節外れの紫陽花の君 お構いなしに 冬に花咲く無敵の君よ 名は並はずれて妖艶で その上 時季には似ても似つかず ましてや お世辞ではなしに 嫌でも目が離せないという 噂の君よ 如何にも純で 凜々しくあれ 極めて 心美しくあれ そのまま一層強くあれ そして殊更に逞しくあれ (20231207/私之若夜=しのわかや) ※画像はCanvaからいただきました。

悪の華【詩】

幻とは「無」ではなくて それらの背後にある何かが 時の轍に焼き付けた「実体のない影」のようなもの つまり影には触れられないが そんな輩の陰にあるものを推し量ることはできるから 幻とは「無意味」ではなく 自分の都合で一方的に 覚え忘れる感覚の「作用の化身」のようなもの そして肝心な核心に触れられぬまま 哀れ「山犬に喰われる身の上」そんな結末の「忘れ形見」 水増しされた 山場の映像 騙しの台詞と 悪意の言動 立ち回りは ずるく 賢く 言いがかりなどの 質はあざとく つま

クズの目にも千日紅【詩】

君と過ごした時間は 付き合い始めてから 三年前の あの日の一夜で そのとき 言われて気付いたけれど 千夜だとか一夜だとか 千夜一夜の物語だとか 言えば何となく美辞麗句 君と過ごした この場所で 違う誰かと逢うようになり 三年後の 今日の一夜で 彼女に言われて驚いたけれど 先夜なのか 今夜なのか 先夜今夜で千日なのか 部屋の壁には千日紅の褪めたスワッグ 君と過ごした時間は 付き合い始めてから 三年前の あの日の一夜で そのとき 言われて気付いたけれど 千夜だとか一夜だとか

遺憾はイカン【詩】

#「また質問?(笑)聞きたいことは?」 ##「問いの意図!」 * #「ねえ、輪ゴムあるでしょ?」 ##「否、柏の木の輪しか無い!」 #「いいや。無いなら、ゴムでなくても(笑)」 * 良いか 悪いか 悪いか 良いか 一部修正が叶わないことを 遺憾に思うが それ以上に 嗚呼、ありがとう つまり、感謝しようにもしきれない気持ち (20231127/私之若夜=しのわかや)

部位?木材の寄せ集め【詩】

樫の鹿 檜の木の火 枇杷で詫び 羅漢槇マンカラ 榧の木の矢か * 「さて、っと旦那は…と。『羅漢槇マンカラとは何だと?』ってさ」 「『回文』部位か?『異聞』部位か?」 「さかさ  読むよ  見よ、さかさ読み!!」 (20231127/私之若夜=しのわかや)

赤の安らぎ【詩】

ここが何処なのか未だに知れない 自分を嫌いになれないのだから そこで こみ上げる怒りは僅かに 痛く冷たい風を感じて うるさく不快な世界でも 欲しいのは 赤の安らぎ 君の気持ちを今すぐ知りたい 不安で未来が見えないのだから 「僕といるのが不幸せなら  遠慮無く別れの言葉を投げかけて」と 言う僕はただの傷つきたくない クソな柔です 僕が誰なのか全然知らない 自分が自分に見えないのだから 「どこか知らない場所で渡す」と 言った拙い「愛」を信じて 僕をもっと近くに感じて こ

詩書きの秘薬【詩】

闇雲に僕の詠む詩は 辛うじて自分では重いと思うのが 割と他からの その印象は〈象〉よりも弱い 能力不足で 使うことばが軽いのかも… したがって 喩えて言うなら〈寝不足の目に染みる朝焼け?〉 やりこむように書き殴った詩は 書けば書くほど行き詰まるのか 割と内容が色薄く 淡い Non-styleでは 訴えるものがないのかも… しかし それでも檄を入れるなら〈大声でなくても せめて囁け!〉 やっと絞り出し 詠んだ詩は 微かに滲んで 頼りないのに 割と 沈んだ気を紛らわす

逢いに行く【詩】

明日の愛を 信じたら 夜も更けて 祈りの時 神のことばも忘れそう 優しく甘い 君の掠れ声 幸せ者は また冷や汗もの 明日があると信じても 朝が来て ひとりの時には 憂鬱に 夢も忘れそう 深いふかい霧を掻い潜り 逢いに行く夜は また冷や汗もの (20231122/私之若夜=しのわかや) ※写真はCanvaからいただきました。

恋煩い【詩】

伝えたい気持ち 親しい君へ 愛しい君への想いの煩い 一人だから 幸い僕は ただ単純だからなのか 好きだけが 恋の悩みなのに こんなにも狂おしい心 こみ上げてくるほどの戸惑い 一途な想い 幸い僕は ただ君一条だからなのか 君の本心が 恋の悩みなのに (20231121/私之若夜=しのわかや) ※写真はCanvaからいただきました。

お伽の国の冒険者【詩】

縛られていたロープを解いて 伸びをして歩き出す 訳もない塀の落書きが 掠れて見えた冬の朝 ・八つ裂きにされた真っ黒なハート ・四方に飛び散る真っ赤なスペード ・野ざらしにされた暗黒のダイヤ ・歪曲されて血濡れたクラブ ・空回りするブリキの心臓 ・安い脳ミソとガラスの勇気 暫く眺めて 歩く先には 乗り手もなく走る駿馬 若く気高い その勇姿は朝日に向かって駆けてゆく 駆けてゆく 赤く焼けた空を 焼けた空を 遠く 遠くへ * 縛られていたロープを解いて 伸びをした僕は