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経歴を繋げた未来[4]

※新乃麻みこ自己紹介シリーズは毎週日曜日に投稿しています。

新卒で入社した小売り企業D社での配属先は、高級輸入品を扱う売場だった。

扱う商品はレディース服飾品、主にイタリア製。客単価は5万円~10万円と高額。街並みも客層も上品。高額購入いただいたお客様にはコーヒーを出すサロンのようなスペースがあるラグジュアリーな売場だった。

商品単価が高い故か、1日の来客数はそう多くはなく、一日中、商品棚の拭き掃除をしている日もあった。

接客業に欠かせない
いらっしゃいませ
は意外に簡単に声に出せた。ただ、
何かお探しですか?
と笑顔で声をかけるタイミング…これは難しかった。

お客として自分がショッピングする時に、いつも困るのがこの「何かお探しですか?」の対応だったからだ。

運良くお客様がこちらを向いてくれたり、声をかけてくれたりすればスムーズに接客に入れるが、タイミングを逸することもよくあり、もどかしい想いをしていた。

ある時、

「何か欲しいと思って来ているのだから、声を掛けないのは失礼なことだ」

と教えてくれた先輩がいた。
目からウロコだった。

声をかける=売り付けスタート
と思い込んでいたが、そうではなく、買いに来たお客様の
相談に乗りますよ~合図なのだ
と思い直すと、その後の接客スタートも比較的上手くいくようになった。

お客様への言葉づかいには一番気を使った。
お客様の方がはるかに年上であったし、商品を売るだけではなく、ご購入いただいた後にコーヒーでおもてなしをする際のあらすじのない会話は、新卒の私にはスリル満点。

反面、お客様の意外な身の上話のカケラを聞くこともあり、お得意様ができてくると楽しさは倍増した。
最終的に、お得意様を200名位持つことになった。

迷いながら就いた職業だったが、楽しく3年程勤めた。
採用した人事は意外にも私の素養を見抜いていたのかもしれない。


♧今でも覚えている衝撃だったお客様たち♧

○女装用の商品を買いに来た女装したオジサマ
○20代のカレシと必ず同伴で来る50代マダム
○清純キャラのホステスに自分が買ってやった商品を身に付けさせて同伴出勤するご老人

私の経歴は、まださわり部分。続。

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