見出し画像

7番目のシャルル:第六章〈救国の少女〉編、本編スタート

カクヨムにて『7番目のシャルル、聖女と亡霊の声』を新規投稿しました。
第六章〈救国の少女〉編、本編スタート!

朝がた公開したものの、下記タイトルから少し変更しています。

あらすじ:不遇な生い立ちの王が百年戦争に勝利するまでの貴種流離譚。
フランス史上最悪の国王夫妻——狂王シャルル六世と淫乱王妃イザボー・ド・バヴィエールの10番目の子は14歳で王太子になるが、母と愛人のクーデターで命からがらパリから逃亡。母が扇動する誹謗中傷に耐え、19歳で名ばかりのフランス王に即位したシャルル七世は、没落する王国を背負って死と血にまみれた運命をたどる。

noteでは紹介を兼ねて、今回の更新分から一部引用します。

 1428年3月6日、例の少女がシノンに到着した。

「本当に来たのか」

 知らせを聞いて少し驚いた。
 フランス国内はどこも治安が良くないが、イングランドとブルゴーニュ公が統治する北部と私が統治する南部の境界は特にひどく、少女の一行はそこを通過しなければならなかった。

 少女に関するさまざまな噂——、それを信じている一部の者は「神の加護を受けている証拠だ」と感激しているが、早まってはいけない。

 キリスト教徒は、祝祭期間中の戦闘行為を控える。
 今は四旬節だから比較的安全な時期だ。

 だが、野生の獣や、自然がもたらす天候はやはり旅人を危険にさらす。
 また、道中には、信仰や道徳を捨てた山賊のような輩もいるだろう。
 護衛に守られているとはいえ、途中で怖気づいて引き返しても不思議ではない。噂の真偽はわからないが、少女が勇敢であることは確かだ。

 私はひとまず、シノンの城下町で評判のいい宿を紹介して、旅の疲れを癒すようにすすめた。

 少女との間を仲介する侍従はうやうやしく下がり、しばらくすると足早に戻ってきた。

「どうした、何か不都合でもあったか?」
「恐れながら申し上げます。例の少女が、陛下に至急伝えなければならないことがあるそうで、すぐにでもお目にかかりたいと……」
「まさか、待っているのか?」
「門前で、陛下がいらっしゃるここを見上げております」
「ここを……?」

6.1 ラ・ピュセル(1)3月6日到着 - 7番目のシャルル、聖女と亡霊の声(しんの(C.Clarté)) - カクヨム


ちなみに、今回のヘッダー画像はシノン城(跡地)からの眺望
シノン城は17世紀にリシュリューが壊しちゃったから一部しか残ってませんが、
高台からの眺めは、当時からそれほど変わってないと思う。
華やかな王宮というより堅牢な要塞だったらしい。

続きはカクヨムにて。

★評価や♡イイネをいただけると作品の後押しになります。
よろしくお願いします!

第六章〈救国の少女〉編



自著の紹介

既刊:デュマ・フィスの未邦訳小説『トリスタン・ル・ルー』

2022年10月21日、シャルル七世即位600周年記念にリリースしました。
Kindle版(電子書籍)とペーパーバック版があります。

新刊:『十九世紀の異端科学者はかく語る』

ジョン・ラボック著『The Pleasures of Life』第一部を翻訳・書籍化しました。訳者・序文で「ダーウィンとラボックの師弟関係」を書き下ろし。

web小説『7番目のシャルル』シリーズ

シャルル七世が主人公の小説(少年期編青年期編)連載中。


最後までお読みいただきありがとうございます。「価値がある」「応援したい」「育てたい」と感じた場合はサポート(チップ)をお願いします。