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聖金曜日2024

 今日は受難週の聖金曜日。受難日とも呼ばれます。
 イエス・キリストが鞭打たれ、いばらの冠をかぶせられて十字架にかかり、地上での死を迎えたことを思う日です。

 磔刑を決める前に行われた裁判から、鞭打ち、そしてゴルゴタの丘への道のり、十字架上での死まで、聖書の記述は淡々としているけれど、そこから私が読み取ってしまうのは、人間の悪意の底知れなさです。さらに、その芽は自分のなかにもあるということ。
 自分自身のネガティブなものに主導権を握られないよう、心のなかに小さな光をいつも灯していたいものです。


 たまたまですが、先ほど村上雅郁『りぼんちゃん』を読み終えました。

 かわいらしい装丁で、文章も軽やか。小学校高学年でも読める本ですが、大人が読んでも学びになる重いテーマを扱っています。
 主人公は、心のなかでひそかに物語を育てている読書好きの女の子。
 転校生の女の子と友達になるけれど、その子は人前ではにこやかにしながら、深い悩みを抱えていました。家庭で、父親から精神的虐待を受けているのです。
 この父親のしていることが、私自身の父のパターンにそっくりで、身につまされる思いで読みました。
 主人公は、人の悪意とそれを呼び起こすようなわざわいを「オオカミ」と呼び、おそれながらもたたかっていきます。自分のなかで育てている、「あかずきんちゃん」と「りぼんちゃん」の物語を駆使しながら。
 世界に絶望していた少女たちの、成長と希望の物語です。

 ちょうど受難週に読めたのも、不思議なご縁かもしれません。
 どんな絶望の底からも、人は復活できる。そう信じることが、希望の光になるのですから。


◇見出しの写真は、みんなのフォトギャラリーから
snafu_2020さんの作品を使わせていただきました。
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