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建築から遠くない建築ではない何か──きっかけの建築 #1

津川恵理(ALTEMY)

建築家の方々に、人生において何かのきっかけとなった建築と、そのエピソードを伺う連載企画。第1回は津川恵理さんに、「ハイ・ライン」(『a+u』1005、1110、1906)と「三鷹天命反転住宅 In Memory of Helen Keller」(『新建築』0602)を紹介いただきました。(編)

建築学科に所属していた大学生時代から、私は建築にどこか違和感を覚えていた。大学では計画・構造・環境などを総合的に考え、巨大な物質を立ち上げることを習った。しかし当時の私は、建築は物質を越えた概念や思想の中に存在しているのではないかと感じていた。物質的な建築よりも、建築が存在することでどのような事象や経験、概念を生むのかという非物質的な影響に関心があった。行きたい就職先もなかなか見つからない一方で、ダンスなどの身体表現や衣服など、自身の興味に没頭し、設計課題に全力で取り組むことが出来ずにいた。
身体表現や衣服への興味は幼少期からあった。人の内側の感性が非言語的に表れていることに魅力を感じていたからだと思う。そしてそれは単に表現で終わらず、人と人の「間」をつくっていることに惹かれた。身体表現や衣服は、他者から見られることを意識している。他人同士が共生する社会で、身体表現や衣服などの非言語的コミュニケーションは、他人の感性にダイレクトに繋がれる美しい手段だと感じていた。建築でもそうした人と人の間、人と何かの間をデザインすることができないか、そんなことをずっと考えていた。….


続きは新建築.ONLINEでご覧いただけます。


本記事で紹介されている建築

「ハイ・ライン」(『a+u』1005、1110、1906)

ジェームス・コーナー・フィールド・オペレーションズ、ディラー・スコフィディオ+レンフロ

ディラー・スコフィディオ+レンフロ


「三鷹天命反転住宅 In Memory of Helen Keller」(『新建築』0602)
荒川修作+マドリン・ギンズ 安井建築設計事務所


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