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母としての初心。

7年前のハロウィンは大きなお腹を抱えて赤十字病院に術前入院。夫は長時間側に居てくれたっけ。
高齢出産につきものの出生前検査が出来なかったこともあり、産むのがとても不安だった。
それでも、どんなふうに産まれても一生懸命愛そうと心の準備をはじめていた。

そんな私の雑念をよそに、お腹の中の二人は元気にもぞもぞと動く。

はちきれんばかりのお腹、皮膚の上から彼女たちの頭らしきものを探り探り撫でながら

「この子達に降りかかるあらゆる悪いものは全部私の身体に引き受けます。なんなら腕を一本差し上げます。五体満足でお願いします。」

とご先祖様に何度も祈りながら眠りについた。

翌日の10時頃、帝王切開の手術室に運ばれた。
部分麻酔で動かない半身だったが、はっきりした意識のなかお腹から取り出される二人の力強い泣き声を聞いた。

声の方向に目を凝らし、どうやら五体満足らしいことを確認した瞬間に涙が溢れた。

二人とも健康に産まれて来てくれてありがとう。
私を母親にしてくれて、ありがとう。



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