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なぜマジックが好きなのか。


これは私のマジック自伝になるかもしれません。
これが皆さんにとって何かお得な情報や役に立つ話があるかは分かりませんが、私の経験を振り返りながら描きました。ちょっとでもマジックの面白さに触れてもらえたら嬉しいです。

さて、私とマジックの出会いはハワイのマジックショーJohn Hirokawaによる "Magic Of Polynesia"でした。当時の記憶は今もな鮮明で、マジックはいつの間にか自分にとってコミュニケーションの”武器”となりました。とはいえ正直に言えば武器なんて強いものでもなく、自分の弱さを補完してくれるものであるようにも思います。

時間が経つほど、自分にとって「マジック」は様々な意味合い持ち学ぶきっかけとなりました。今回は長年マジックと向き合った経験を踏まえ、人生にどんな意味合いを与えてくれたのか紐解いていきます。



○人の記憶に残る


場所を転々として生きてきた者にとっては短時間で人に印象を残す必要がありました。私は海外で数年過ごし、日本で戻ったり。日本でも数年ごとに場所を移動し、学校も転々としながら過ごしてきました。幼いながらも出会いや別れを繰り返す中で、自分自身にある気持ちが芽生えました。

それは出会った「人」とは別れた後も必ず繋がっていたいというものです。

それは別れの反動かもしれませんが、少なくとも出会いを意味あるものにしたかったのでしょう。そうでもなければ別れを肯定できませんから。少々ネガティブな理由も混ざっておりますが、私の根底には「短時間で多くの人の記憶に残り、気が合う仲間を早く見つけ人間関係を築くこと」が必須でした。だからこそマジックと出会った瞬間に、きっとこれは自分の身を助けると信じ、手を動かし始めたのです。

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○狭い世界で技術を磨くオモロさ


-「何か」で1番になること。
田舎の新学校で育つ中で、今後の人生では誰にも負けない「何か」が欲しいなぁと思いました。それは校内で私がどんなに必死になって努力しても、質の高い学習能力と成果を出す人を目の当たりにしたからでした。結局のところ、人は強みと弱みがあり、自分の強みを活かし戦わなければ、社会に出ても長い間は負け戦だと知りました。だからこそ自分の価値が見出しやすいフィールドを選ぶことが大事であり、マジックを選んだ理由もその一つです。このフィールドはまず人口が少ないので勝ちやすいという安易な考えです。


-「覚悟」を決め学ぶこと。
そんな背景もあり田舎から東京の大学へ進学した際には、本格的に「マジック」というものをプロレベルとして見せることを目標に情報を集め、練習を重ねました。実践の場が多く与えられた東京ではトランプを皮切りに、日常用品を使ったマジックを覚えました。単純にマジックを見せるだけであれば、手順を覚えればいいのでそこまで難しくありません。私も3つの手品を覚え披露したところから始まりました。しかし学ぶほどマジックの奥深さを知ります。


-マジックは単純な技術披露ではなかった。
人に伝わる「構成」「セリフ」「身体の動き」は簡単には身につきません。何千人とマジックを見せ試行錯誤を重ね、段々とその技術も上がっていきます。次の壁は「キャラクター」です。自分自身とマジックをどう紐づけていくのか。これがマッチするほど、人々は注目し、エンタメとしても面白くなります。そういった単純な技術披露からパフォーミングアートとして自分の関心も移り、マジックの魅力をさらに知るきっかけとなりました。

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○自分自身と客観的に向き合う時間を与える


マジックにおける自分のキャラクター考えるほど、自分の人生やこれまでの行動を振り返る機会を与えてくれました。

例えば、、、
・自分とは何者なんだ。
・自分が好きなものはなんだ。
・他の人にはない、自分の特徴はなんだ。
などなど。

そう考えれば、考えるほど。
・実家がお寺であること。
・ハワイ生まれであること。
・英語がちょっとできること。

こういった特徴をパフォーマンスに活かしたいと考えました。しかし、いざ合わせてやってみると、納得いく台詞でまとまらなかったり。観客の質問に納得いく対応できず、まとまらなかったりと難しさもありました。
しかし、マジックのキャラクターと自分自身を完全に紐付ける必要はありません。あくまでもマジシャンは役者です。演技にちょっとしたリアリティと緊張感を持たせるために自分の言葉を入れることが大事なのだと知り、お客さんの反応も見てそのバランスを今も探り続けています。

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○様々な人と交流しリアルな話ができる


-私とマジックとの関係
やはり私がマジックを通じて一番愉しさを感じるのは異文化に関する話題です。マジックは国境や文化を超えて人を笑顔にする力を持ちます。様々な環境でマジックをする度にそう実感します。そして観客のエネルギーを目にすると、私もその一員であると感じます。お客さんは微笑んだり、泣いたり、笑ったり、驚いたりします。私はそのエネルギーから人との繋がりを感じて生きています。マジックは見る人が変われば見方も変わります。観客のそれぞれの人生経験によってショーは毎回異なるように色付けられます。私の喜びは、舞台裏からショーの終わりの様子を観客に聞くときです。観客がどのようにその経験について話すのか。それが元気の源です。人生に起きるどんなことからでもエネルギーを吸収できます。だからこそ、毎日をスポンジのように新鮮に保ち生きて多くの人から学びます。

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結論


マジックは他のエンターテイメントに比べ、相手がいてこそ成り立つ芸能であり芸術です。音楽であれば作詞作曲は自分だけ創ることができます。作家であっても文章は1人で描けます。画家も一緒です。マジックはそれらに比べ、人との関わりで成り立っています。私の理想のマジックショーは、私の人生が少し垣間見えるようなもの。それを観て心の扉が開き、人と人との繋がりがさらに深まるマジックが好きなのかもしれません。今日はこの辺で筆を置きましょう。

さざなみ


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