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転生ショートショート 俺はカエルに転生したようだ

目が覚めると俺は生温かい土の上にうつぶせになっていた。

ここはどこだ。

酔っ払って用水路に落ちてからの記憶がない。

ここはどうやら森のようだが、雰囲気が違う。

木に見えたものは巨大な雑草だった。

ふらふらとして体を起こそうとしたら柔らかい感覚に包まれている。

何か変だなと感じながら体を起こそうとして自分の腕を見た。腕が緑色になっている。

体全体も緑色だ。

水分量の多い皮膚に覆われぷにぷにとやわらかい。

な、な、なんだこりゃ。俺は驚き声を荒らげた。

近くに水たまりがあったので、そこに自分の顔を映してみた。

俺は、俺はカエルになったのか?

その瞬間目の前を虫が通り過ぎた。

美味しそうだなあと思ったときには、飛びついて捕まえて食べていた。

俺の体を動かしていたのは本能だった。

虫は香ばしく程よく塩味があり、人間時代には食したことがなかった味だ。

あまりの美味しさに多幸感すら感じた。

他にも虫がいないか辺りを見回した。

草陰から音が聞こえた。

ヘビだ。

自分の何十倍もある大きい体。

ゆっくりとにらめつけながらこちらに近づいてくる。

恐怖で体が動かない。人間時代には感じたことのない恐怖だ。

早く逃げなければと思ったときには、ヘビのするどい牙が俺の体を貫いていた。

そして丸呑みにされた。

(了)



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