見出し画像

桜回線(2作品目)【毎週ショートショートnote】

「ボクは天使なんだ」拾った子猫が突然しゃべり出した。

ふわふわな毛の子猫は、その大きい瞳でこちらを見ている。

日々変わりない生活を送っている僕は、その漫画のような展開に、心臓がドキドキしていて、なんだか少しワクワクもしていた。

「ボクを桜の木の下に連れて行ってくれる?」子猫が言った。

「桜が見たいのかい?」

「まあ、それもあるけど、ちょっと神様と交信するんだ。天界に戻してもらうよ」

「そっか。戻れるんだね」

「明日にでも近くの公園に行ってみよう」

「ありがとう」そう言ってその子猫はそのまま寝てしまった。

朝起きてから、近くの公園の桜の木の下に、僕は子猫を連れて行った。

「あっ、咲いてるね」

「これからどうするの?」

「『桜回線』を使って連絡を取るんだ。桜の花びらがアンテナ代わりになるんだよね」

そう言って子猫は桜の木に抱きついた。

「神様、帰りたいよ」

子猫の体が光り出した。

「ボクはもう帰るよ。ありがとね。さよなら……」

「さようなら……」


(410字)


たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。

※ 【魅力的な台詞ではじまるお話】ということだったのですが、魅力的な台詞ではないかもです。


*この記事は、以下の企画に参加しております。


サポートお願いいたします!執筆活動費にさせていただきます。