記憶冷凍【毎週ショートショートnote】
私は無機質な部屋の中で『記憶冷凍』ボックスを眺めていた。
『記憶冷凍』制度ができたのは2040年を過ぎた頃だった。
『記憶冷凍』は亡くなった人の脳を取り出し、その脳を冷凍しておくことができる。
そして、あとでその脳を解凍し、記憶を読み取ることができるのだ。
ただ、その記憶を読み取ることができるのは「法定相続人」のみと法律で定められていた。
例えば、亡くなった人が仮想通貨の管理やクラウドで資金などを管理していた場合に、そのIDやパスワードを、故人の記憶から読み取ること