見出し画像

実例:社内コミュニティ 2つの視点✕5W1H

コミュニティの育成・活性化を支援している立場から、改めて過去の経験・知見を整理して今後に活かしたいと考えました。コミュニティのご相談を受ける際に、議論の「土台」になれば幸いです。

今回はコミュニティの「社内コミュニティ」において立場の違いから生じる「2つの視点」で5W1Hに分解して考えてみます。社内コミュニティの立ち上げを予定している方や実際に運営する立場の方などの助けになれば幸いです。

「コミュニティ」の定義

今回の考察では「コミュニティ」を以下のように定義します。

「特定の製品やサービスについて共通の興味・関心があり、相互に知識や知見を共有したいと考えている人の集まり」

また、今回取り上げる「社内コミュニティ」については以下のように定義します。

「社内コミュニティ」の定義

「特定の製品やサービスについて興味・関心がある「社内の」人が、業務の一環として(又はその延長)の動機で知見の共有や社内の交流を目的として参加するコミュニティ」

(内発・自発型)
【参加者】お客様企業の社員
【参加企業】1社(グループ会社)
【運営者】お客様企業の社員
【コミュマネ】お客様企業の社員
【目的】社内での知見共有・課題解決
【関わり方】個人的な向上心

(ベンダー支援型)
【参加者】お客様企業の社員
【参加企業】1社(グループ会社)
【運営者】お客様企業の社員
【コミュマネ】ベンダーの社員
【目的】社内での知見共有・課題解決
【関わり方】サービスを受ける立場

ある特定の企業内で活動が行われる「社内コミュニティ」(多くは非公開、社内限定で公開)と、広く一般に公開され誰でも参加可能な「ユーザーコミュニティ」の違いについては以前に図説していますので必要に応じてご参照ください。

2つの視点と5W1H

では、この「社内コミュニティ」を「立場の違い」から2つの視点(ユーザーとベンダー)で「俯瞰」してみることにします(なお、下記はあくまで一例です。すべての社内コミュニティの例に共通しているとは限りません)。

【What】どう捉えられているのか
【Where】どこで活動が行われるのか
【When】どんな時間に行われるのか
【Who】誰がフィーチャーされるのか
【Why】どんな目的で行われるのか
【How】どんな手段・手法が必要か

ユーザーの視点
【What】社内活動
【Where】自社内の物理空間、オンライン
【When】就業時間(社員として)
【Who】自社ユーザー・組織単位
【Why】自社課題の解決・利用促進
【How】コアメンバー育成・経営側の承認

ベンダーの視点
【What】マーケティング・CS活動
【Where】ユーザー企業へ出張、オンライン
【When】業務時間(営利目的)
【Who】企業(ロゴ)単位
【Why】コンテンツ化、アップセル・クロスセル
【How】キーパーソン発見・育成、コンテンツ設計

ポイント

この2つの視点と要素の分解によって、「社内コミュニティ」の前提条件が以下のように違いがあることがわかります。

・ユーザーは自社・自己の利益のために行う
・ベンダーは自社ビジネスの利益のために行う

・ユーザーは個人や組織をフィーチャーする
・ベンダーは企業としてフィーチャーする

・ユーザーはコアメンバーが「主導」する
・ベンダーはキーパーソンを「支援」する

・ユーザーは経営の承認を得る必要がある
・ベンダーは経営の承認がある状態で動く

ベンダーが「社内コミュニティ」を推進する場合は、何らかの自社ビジネスの「利益」を目的としていることがわかります。

「主語が迷子」問題

上記で述べられているような「ベンダーの利益追求」については問題である又は社内コミュニティの障害になるという考えではありません。逆説的な表現ですが、そもそもベンダーの存在理由は「利益追求」であり、「利益」のないところに「発展・進展・進化・深化」はないためです。ベンダーにとっての利益が、その前身のための源泉であることは言うまでもありません。

ただ、あえてこのような考察を行ったのには理由があります。「コミュニティ」(それがユーザーコミュニティであれ社内コミュニティであれ)を語る会話のときに、必ずといっていいほど

・主語が不明になる
・目的が不明瞭になる
・論点(期待値)がずれる

などが多く生じます。つまり、会話のたびに各発言者の頭中にある「前提条件」が異なってしまう問題が生じます。更には、日本語の「主語の省略」「世界で最もハイコンテキスト」な言語であるという特性もそれを助長してしまいます。

図1 ホールによる低コンテクスト文化と高コンテクスト文化

以前に日本は「『日本というコミュニティ』である」という考察をしましたが、全国どこに行っても旅人が基本的には相手が性善説の前提で過ごせる(ときには悪人もいますが)こと自体が「ハイコンテキスト」(=安全と信用があたりまえ)な社会でもあるといえます。

まとめ

「コミュニティ」「ユーザーコミュニティ」「社内コミュニティ」などコミュニティに関する会話を行う際は、

・主語、目的、論点(期待値)
・自身と相手の立場(所属先)

に特に意識をして行うとスムーズになるといえるでしょう。

これまでの考察は、あくまで一例を扱ったものと考えています。その他の実例やご意見などあれば、ぜひコメント欄やDM(X)などお持ちしています。

#コミュニティデザイナー
コミュニティの立ち上げ・活性化などのご相談は @shindoy のDMにて受けつけております

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?