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商品名〈ショコラ キュイ〉とは“焼きチョコレート”の意。チョコを焼く? どーゆー事?

シェフの進藤です。
今回ご紹介するのは、バレンタインに向けた冬期限定商品〈ショコラ キュイ〉。
先日より店頭に並んでおります!

厚過ぎず、薄過ぎず。美味しい厚みの
〈ショコラ キュイ〉

人気で言うと〈メダイユシリーズ〉ほど爆発的では無いですが、

地味に着々とリピーターを獲得しているこの商品。「ショコラ キュイの様なお菓子はチョコ好きにはたまらない」とのお声をたくさん頂いております。ありがとうございます。

商品名の〈ショコラ キュイ(仏語)〉とは、〈chocolat ショコラ→チョコレート〉+〈cuit キュイ→焼いた・火を通した〉なので、直訳すれば〈焼きチョコレート〉。

チョコを焼く??(笑)

実際には、チョコレートのみを単独で焼く訳ではなく、チョコレートに卵・バター・砂糖・コーンスターチ等を混ぜ、それを低温130~140℃でじっくり湯煎焼きしています。

この商品のカテゴリーは〈半生菓子〉です。
〈半生菓子〉とは、しっかり焼かれてはいるのですが、〈焼き菓子〉と比較的すると〈含有水分が多い〉菓子の事。その為〈ケーキ〉より賞味期限が少し長く設定でき、〈焼き菓子〉より水分や油分が多いので“しっとりなめらか”に。
いわゆる両方の〈良いとこ取り〉なヤツー!(笑)。
では、以下はその〈ショコラ キュイ〉の詳しい説明になります。

まず、皆さんは〈テリーヌショコラ〉というお菓子をご存知ですか?
最近では売るお店が増えてきたような、そうでもないような(笑)。
チョコレートに卵・バター、レシピによっては少量の小麦粉等を加えて湯煎でじっくり焼き上げた、ネットリな口当たりが特徴の〈半生菓子〉です。
そのテリーヌショコラのレシピをベースに、とびっきり美味しい〈進藤洋菓子店オリジナル商品〉を作りました。

テリーヌショコラに手を加えるなら〈究極の滑らか食感〉を目指すのが普通?なのかもしれませんが、私はそのベクトルを追求しても〈生チョコレート〉には到底敵わないと思っていて。
チョコレートに沸騰した生クリーム・バターを加えてしっかりと乳化させ、その後冷蔵庫で固めた〈生チョコレート〉。〈パヴェ~〉とか〈石畳~〉とかでお馴染みのヤツです。
良質な〈生チョコレート〉は、口に入れたトタン一気に溶けて〈味わいの雪崩〉が起きます。レシピがシンプルであるが故に、混じり気の無い唯一無二の美味しさ。
滑らかさ選手権ではぶっちぎりの優勝だと思います。ちなみに、チョコレートトリュフのセンターも〈生チョコレート〉です。

なので私は出だしから、もう少し焼き菓子寄りの商品を目指してレシピ作成に取りかかりました。

まずはレシピの肝になる〈チョコレートの選択〉。
私は個人的に〈明治のミルクチョコレート〉が大好きで、あのテイストが日本人の好むチョコだと思っています。
でも、私が現在厨房で使用しているフランスやスペイン産のチョコレートは、ビターチョコとミルクチョコの〈差別化〉がしっかりなされていて、ビターはしっかり濃く苦く、ミルクはそれとは対照的に非常にミルキーで甘い物になっていて。

何が言いたいかと言うと、日本のお菓子メーカーから販売されているスーパーに陳列されるチョコのほとんどが、海外のチョコで言うところの“ビター”と“ミルク”の中間位なんです。いつも書きますが、私の目指すお菓子は〈フランス人でもイタリア人でもない、日本人に美味しいと言ってもらえるお菓子〉。
なので、そんな日本人の好みを鑑みて、私がチョイスした某ブランドのフランス産高級チョコのスイート(ビター)に、同ブランドのミルクチョコを多めに混ぜ、〈日本人にとって美味しいチョコ味〉にしっかりと寄せました。そのチョコに、全卵ではなく卵黄・バター、そして薄力粉に替えてコーンスターチを加える事にし、分量を何度も調整。
その後、湯煎焼きの温度と時間を決めて、レシピが完成しました。

通常、全卵・薄力粉の所を卵黄・コーンスターチに置換する事は、レシピ的に重要な意味があります。ざっくりと超簡単に説明すると、しっかり固めたくなければ〈全卵は卵黄に。薄力粉はコーンスターチに置換〉が私の合言葉。
しっかりと固めたければ逆もしかり。

検証の為にちょっとマニアックな実験をしてみたい方は、プリンレシピにおける全卵を全量卵黄に置換えて作ってみて下さい。また、カスタードクリームレシピの薄力粉を全量コーンスターチに置換えて作ってみれば、よく分かって頂けるかと(笑)。

そう、“百聞は一見にしかず”

そういう面倒な実験の繰り返し→経験の蓄積が、〈レシピコレクター〉から〈レシピクリエイター〉へと変わる為の大きな一歩だと思います。“変わりたければ”ですが(笑)。

この〈ショコラ キュイ〉のレシピを作るに当たっては、結構試行錯誤を繰り返しました。よくある〈滑らかな物〉ではなく、私が大好きな〈クラシックショコラの底部〉のような、〈コニョコニョとした美味しい食感〉を作る事に結構苦労しまして。
結果、〈テリーヌショコラを作る工程では絶対にやらない方法〉で、その目指す食感にたどり着きました。色々やってみるもんです。その意味でも私がいつも目指している『ここにしかない菓子』になっていると思います。

お買い求め易いように、1つ1つ個包装して販売しています。ゆったりと〈心を癒す時間に〉濃いめのコーヒーや紅茶を用意して、チビチビ食べるのが私のお薦めの食べ方。

1つ1つ丁寧に個包装しています

あ、1つ〈お願い・注意〉があります。
この『ショコラ キュイ』は、焼き菓子とケーキの中間な〈半生菓子〉なので《要冷蔵商品》となります。多少温度が上がっても溶けて液体になる事は無い為、お持ち帰りの際に保冷剤等は付けません。
このスタイルに戸惑う方がいらっしゃるようなのですが、スーパーで〈豆腐等〉を買う時と同じです。豆腐は冷蔵で陳列されている商品ですが、持ち帰りの際は保冷剤等は付けずそのまま袋に入れ、家に帰ればちゃんと冷蔵庫にしまう。
それと同じ扱いを。
繰り返しますが、裏面に記載してある消費期限まで〈美味しく安全に召し上がって頂く為〉に、帰宅後は忘れずに冷蔵庫へ入れて下さい。宜しくお願い致します。

これらの冬季限定商品について「いつまで販売しますか?」のご質問をよく頂くのですが、ざっくりと「暖かくなるまで」とお答えしています。気温が上がれば、こちらが売りたくても売れなくなるので…。事実として、その年々で微妙に終了時期が違うんです。
やはり〈自然〉に関しては何ともお答えしがたく…。
勿論〈終了〉に際しては、少し前に当店のインスタにてお知らせ致します。この商品のファンの方、まだ召し上がった事の無い方は是非ともそれまでに。
販売期間中でも、おまとめ買いが続けば売り切れる事もあります。ご理解下さい。ですが、出来るだけそうならない様に必死に作りますので(笑)。

こちらもいつも通り〈当店にしかない菓子〉であり、〈違いの分かる大人に向けた菓子〉になります。
では、ご来店・ご購入をお待ちしております。



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