多士済々のNHKマイルカップと、日本馬そして矢作師の悲願達成なるかケンタッキーダービー展望
この記事は、競馬評論サークル芯力のスペース2024.05.04 21:00~からの文字起こしです。
第29回NHKマイルカップ
こひ（以下、こ）：朝日杯フューチュリティSと阪神ジュベナイルフィリーズ、両2歳マイルG1の勝ち馬が揃って出走。さらにどちらもクラシックの1冠目では勝ち馬と内容的には遜色のない競馬をしながらNHKマイルCを選択したという、ある意味歴史的な組み合わせになった今年のNHKマイルC。比較的荒れる傾向の強いG1ではありますが、今年については役者が揃った印象で、今後のマイル路線を占う、そんなレベルのレースになって欲しいレースです。
朝日杯フューチュリティSを制したジャンタルマンタルは、共同通信杯で東京の経験も、瞬発力勝負になった際の経験も積んでおり、朝日杯、皐月賞も含めていろいろなペースのレースに対応できる点が見えている点は心強く、崩れるイメージはなかなか持てない印象。対する阪神ジュベナイルフィリーズを制したアスコリピチェーノについても、元々は瞬発力勝負となった新潟2歳Sの覇者であり、そこから対応できるレースの幅が広がってきたように見えます。鞍上のルメール騎手が病み上がりである点くらいしか、無理やり粗を探すのも難しいように思えます。有力馬2頭については、どちらもこのレースを人気で勝ち切る資格はあります。
とはいえ、他の有力馬についても魅力的な馬は多いレースだと思います。内枠があまり良い方に働く印象はないのですが、ファルコンSを撫で切ったダノンマッキンリー、シンザン記念で豪脚を見せたもう一頭のPalace Malice産駒ノーブルロジャー、アーリントンCで究極の瞬発力勝負を差し切ったディスペランツァと、突き抜ける破壊力がある3頭が1～3番枠に入りました。元々は世代を引っ張る存在であったボンドガールは、5番枠は良さそうで叩いて変われば通用するポテンシャルは秘めていますし、サウジアラビアロイヤルC以来となる無敗のゴンバデカーブースも東京マイルでの圧倒的な破壊力を見せてきてはいます。脚質転換がハマればと思わせてくれる、今回も武井ラッパが奇数枠が逆にいいのではと鳴り響くシュトラウス、人気の盲点かもしれませんがクイーンCでは見どころのある競馬をしていたアルセナールあたりまで、チャンスはあるのではと思います。こう見て行っても、例年ならもっと人気をしていておかしくない馬が伏兵扱いになっているなと思わされるメンバーです。2024年のNHKマイルCは凄かったぞ！と言われるようなレースになって欲しい、期待感が大きいですね。
個人的には、人気の2頭はしっかり馬券の中心に据えつつですが、ジャンタルマンタルの方を上位には取りたいと思っています。そこに加えてボンドガール、ゴンバデカーブース、シュトラウス、アルセナールといった、スムーズに競馬ができそうで、その時にパフォーマンスの上積みが見込めそうな、未知の魅力を秘めた組を絡ませて馬券を買いたいなと思います。
蒼山サグ（以下、蒼）：ゆたさんはいかがですか？
くらみゆた（以下、ゆ）：非常にメンバーが揃ったという印象がありまして、特に2歳G1勝ち馬2頭が揃ったというのもありますし、王道レースに間に合わなかったけれど評判の良かったボンドガールがしっかりここに間に合わせてきたというところ、それからボンドガールと戦って勝ったり、いい争いをしていたゴンバデカーブースとかシュトラウスというのがちゃんとここに間に合わせてきたという点でも、非常に興味深いメンバーが揃った一戦になったと思います。
個人的にはモーリス産駒がここで3頭出してこれたというところは良かったなと。今年のモーリス産駒は今日のプリンシパルステークスでダノンエアズロックが勝つなど、キズナに負けず劣らず揃っている年ですので、ここできっちり結果が出るといいなと思っております。
名：アルセナールは、キャロットの募集時から注目はしていて大人気で出資はかなっていないのですが、クイーンカップ以来のレースというところで仕上がりに不安はあります。ただ、デビューから2戦続けて東京のマイルを走っていますし、大外がどんな競馬になるのかという点は心配ではあるものの、1歳の頃からポテンシャルは高い馬だと思っておりましたので、この馬の走りに注目したいと思います。
2024年ケンタッキーダービー
名馬電機社長（以下、名）：JRAの単勝オッズに沿って、出走馬を紹介していこうと思います。まず1番人気は日本から遠征のフォーエバーヤング。2歳時3連勝で全日本2歳優駿を制すると、3歳になった年明けはサウジダービー、そしてケンタッキーダービーのポイントレースであるUAEダービーを勝利。無敗のままこの大舞台にコマを進めてまいりました。昨年コンティノアールで無念の出走取り消しとなった矢作調教師、坂井騎手にとっては昨年の雪辱を晴らすビッグチャンスが巡ってまいりました。現地のモーニングラインでも4番手評価と有力馬の1頭とみられています。
拮抗した2番人気は現地のモーニングライン1番人気フィアースネス。昨年のBCジュヴェナイルの勝ち馬です。今季初戦のホーリーブルSは仕上げ途上だったのか少しだらしのない競馬だったんですが、前走フロリダダービーは先手を取ると最後は2着のカタリティックに2秒3の大差をつける大楽勝。今回少し外目の枠を引いてしまったので、この枠から鞍上ジョン・ヴェラスケスがどのような競馬を見せるのかが見ものです。管理するのはトッド・プレッチャー調教師。
3番人気はここまで4戦3勝2着1回のシエラレオーネ。今年に入ってリズンスターS(G2)で重賞初制覇を飾ると、前走ブルーグラスSを勝ってG1初制覇を飾りました。この馬後方から大外を回って強烈な末脚を繰り出すのが持ち味でして、この2番ゲートと20頭立ての多頭数と泥んこ馬場がどのように克服するか注目です。
4番人気はブルーグラスSで2番手から抜け出し直線シエラレオーネに交わされての2着だったジャストアタッチ。そのあと前走ルイジアナダービー勝ち馬で2走前にリズンスターSでシエラレオーネの3着という成績があるキャッチングフリーダム、サンタアニタダービーの勝ち馬ストロングホールドと続いております。
ここからは馬券的な見解に移りたいと思います。今年のチャーチルダウンズ、かなりの泥んこ馬場でして、日本時間の今朝行われましたケンタッキーオークスでは逃げた馬がそのまま勝利ということでひょっとすると後ろから競馬をする馬には厳しい条件なのかな、という気がしております。またフォーエバーヤングにしてもシエラレオーネにしても末脚を活かしたい有力馬が何頭かいますのでそこまで先行争いが激しくならないんじゃないかな、と感じていますので迷ったら前目で運べる馬を上位に持っていきたいと思っています。
また昨年この配信で私が提唱した「ケンタッキーダービーはスマートストライクを父系に持つ馬を買え理論」がハマりまして名前を挙げたメイジが優勝してくれました。なので今年もご紹介しておきます。まず1番のドーノック3走前のレムゼンSではシエラレオーネに唯一土をつけているこの馬。この時は逃げて直線一度シエラレオーネに交わされたんですが内からもう一度ファイトバックしてきての勝利でした。前走ブルーグラスSではハナを切ることができず4着と敗れていますが今回最内枠を活かして先手を主張できれば馬場も味方につけての押切もあるやもしれません。
2頭目はエグザジェレイター産駒のウエストサラトガ。ケンタッキーダービーに向けてのメインストリームではありませんが重賞で安定した成績を残しております。
そして最後に紹介するのがソサエティマン。デビュー4戦目の2走前に未勝利を勝ったばかり、前走ウッドメモリアルS2着からここに参戦してきた馬で明らかに隠したなんですが、鞍上にご注目、今シーズンアメリカに活躍の場を移しているみんな大好きフランキー・デットーリ。衰え知らずの名手が未だ手にしていないアメリカのビッグタイトルを大番狂わせで手にする可能性もあるのではないでしょうか。
馬券的な観点から申し上げますと、先ほど名前を挙げた3頭は義務として単勝を押さえておきます。加えて、先行しそうな人気馬のフィアースネスと先述の3頭を絡め、シエラレオーネと日本馬を紐にした形で馬券を組みたいと考えております。以上が私のケンタッキーダービーの展望と予想でございました。
蒼：ゆたさんはいかがですか？
ゆ：フォーエバーヤングがここまでたどり着けたのは本当に良かったと思います。UAEダービーを勝たないとケンタッキーダービーに出られなかったという状況の中で、矢作調教師がここを見事に勝たせて持ってきたのは素晴らしいと感じました。一方で、馬場は映像を見ると水が浮いているような状態なので、そこが少し不安要素です。坂井瑠星騎手は日本とアメリカを行ったり来たりで大変だと思いますが、報われて欲しいですね。
名：現地のメディアでもフォーエバーヤングのことが取り上げられており、状態は良さそうだという報道が伝わってきています。馬場の状態は実際に走ってみないとわかりませんが、条件は出走馬全てに同じですし、力的には今まで見てきた日本からのケンタッキーダービー挑戦馬の中で最もチャンスがあり、優勝に最も近い位置にいる馬だと確かに思います。普段は非国民馬券に票を投じることが多いのですが、今回は単勝も買っておこうかなと考えています。もちろん、テーオーパスワードも含めて購入したいと思っております。
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