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前立腺癌1 検査編

はじめに

 昨年2023年、55歳を迎える年に前立腺癌を患い、現在、検査や治療を行っています。
 私はこれまで大病したことはなく、多少メタボ気味、多少血圧高めの極めて一般的なサラリーマンです。特別に医療知識を持っていない素人です。
 今回、癌に関する知識や経験がない状態で突然当事者となり、知らないことの連続でした。
 特に想像以上だった出来事は、
・周囲の人々がとても心配してくれる事
・自分で判断することが多い事
・検査や治療が大変な事
です。
 生きること死ぬこと、感謝することされること、家族や友人などについて自然と考えさせられました。
 良い機会なので、この経験を通じて考えたこと、判断した事などを綴ってみました。
 ただし、あくまで素人患者としての感想メモなので、医学的に誤ったこともあるかと思います。その点はご容赦くださいませ。

初めは定期健診-PSA-

 2023年6月、会社の定期健康診断をいつものように受けました。これまで30年以上毎年受けていますので、慣れたルーチンワークです。

 今年の検査結果では、血液検査項目の一つに要精密検査という判定がありましたが、大したことはないだろうと軽く受け流し、何もなかったかのように過ごしていました。

 ところが、しばらくして会社の保健師Hさんから呼び出しの連絡があって面談したところ、いつもとは少し雰囲気が違って、予想外に強い思いで精密検査を勧められました。真剣に心配してくれているのが伝わってきます。
 早期発見を前向きに捉えて、きちんと検査していきましょうと優しく、しかし真剣に言われました。
 Hさんは何十年もお世話になっていてとても信頼している保健師さんなので、ここは素直になろうと思いました。
 ただ、この時は、精密検査は直ぐに受診しようと思ったものの、正直、まだ他人事のように受け取っていました。数値は基準値を超えてはいるけど僅かだし、検査誤差の範疇ではないか、と勝手に軽く考えていました。

 要精密検査となったのは、血液検査のうち、前立腺癌の腫瘍マーカーであるPSAという検査項目です。僕の会社では55歳の検診から新規追加される検査項目よようで、つまり、初回でビンゴとなった訳です。

 PSA値=6.0 ng/mL
 (正常値は0~4ng/mL)

精密検査いろいろ

MRI画像診断

 翌7月。自宅近くの泌尿器科を受診しました。
 泌尿器科に罹るのは生まれて初めてです。
 僕だけの先入観かもしれませんが、"泌尿"というのは、隠すべき恥ずかしいイメージがないでしょうか。別に悪いことをしているわけではないけれど、病院に入る前に、コソコソしてしまう自分がいて、なんだか可笑しいものです。こうした恥ずかしさ?は、入院・手術をして、前立腺の勉強していくにつれて徐々になくなってきました。

 泌尿器科では、まずMRI画像診断をしましょうということになり、腹回りのMRI撮影をしました。7月末、検査の結果、黒い影があるので更に生体検査が必要と診断されました。つまり怪しいということです。

 次の生体検査(生検)は、この泌尿器科ではできないので、近くの大学病院を紹介されました。

 この結果を聞いた辺りから、ちょっと他人事ではないぞ、と受け取り始めた気がします。

生検

 2023年9月5〜6日。大学病院に一泊入院して生検を受けました。
 前立腺がんの生検とは、前立腺に針を12箇所刺し、組織を直接採取して病理検査する生体検査を言います。
 検査前にある程度の説明は聞いてましたが、予想以上に激痛で、検査後の合併症もある大変な検査でした。
 まず初めに、腰のあたりに注射して部分麻酔をします。この注射もそれなりに痛いですが、まだ我慢できる範疇です。まあ、麻酔なので、我慢我慢という感じです。
 続いて、ベットの上で横向き、くの字になって、お尻を突き出すと、超音波プローブという棒状のエコー機器を肛門からグリグリと挿入されます。麻酔しているとはいえ、全身から脂汗がでるほどの激痛です。痛みには個人差はあるとは思いますが、私の場合は本当に辛かったです。
 超音波プローブには、前立腺検体を採取するための針と針を発射する装置が付いていて、一瞬しか見てませんが、ちょうどピストルのような形状をしていたと思います。
 先生は、この機器をグリグリ動かしながら超音波画像をチェックし、狙いを定めたらプシュッと注射を発射します。発射された針は直腸の内部から直腸の壁を突き抜けて、前立腺に刺さり検体を採取する仕組みで、これを12回繰り返します。プシュッという発射音は聞こえますが、その際の針を刺す痛みはほとんどありません。ただ、肛門のグリグリによる苦痛は脂汗もので、もう二度とやりたくないものです。
 検査後は肛門の痛みで歩くのもしんどい状態でしたが、それでも終わったことの喜びの方が勝った感じです。その他の合併症としては、便や尿、精液に血液が混じることがあるようですが、私の場合は血尿が1、2回あった程度で済みましたので問題なしでした。

 2週間後、
・12検体中1検体に癌が確認
という検査結果が出ました。
これまで4ヶ月間ほど検査をしてきましたが、これでようやく癌確定という訳です。
 がん保険は、この検査結果をもって適用されます。
 いざ、医者から明確に癌だと伝えられると、やはり動揺しますね。
 次は、癌の広がりや程度を把握して、治療方針を決めるための検査が更に続きます。

CT・エックス線画像診断

 2023年 9月19日。
 癌が前立腺の外側、周囲まで広がっていないか、のCT検査を行いました。生検と違って痛みがないので万万歳です。
 併せて、肺のエックス線検査も受けたような気がします。
 検査の結果、前立腺の周りでは確認されず、癌の範囲は前立腺内に留まっている模様です。
 ただ、MRIもそうですが、画像診断は直接患部を見る訳ではないので、どうしても確定診断できないという弱点は否めません。

アイソトープ核医学検査

 2023年 9月30日。
 骨への転移を確認する画像診断検査です。
 まず初めに、腕に注射して、ガンマ線という放射線を放出する性質を持った物質(放射性同位元素 ラジオアイソトープ:RI)を含んだ薬を体内に投与します。このような薬は放射性医薬品と言うそうです。
 一時間ほど待つと、薬が全身を巡り骨に集まり、そこから放射線(ガンマ線)が放出されるので、これを検知するガンマカメラで全身を撮影します。装置はMRI検査のようです。
 検査の結果、骨やリンパへの転移は確認されませんでした。

これからの対応方針

 各種検査の結果を受けて、お医者さんから提示された今後の対応は、
①放射線治療
②摘出手術
のどちらかでした。
 何もしないという策は、勧められないとのこと。
 ここから、自分で判断しないといけない事が出てきますので、悩んだこと、決めたことなどは次のnoteに記して行きます。

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