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日本向けファイザーワクチンは世界最高値? 厚労省の秘密主義と植民地根性

厚労省は、これまで約9億2840万回分のコロナワクチンを購入し、約26%に当たる約2億4千万回分を廃棄したことを国会で明かしましたが、欧州の報道を参考に2022年10月のファイザー社の2回目の値上げまで反映すると、4兆7600億円分を廃棄していたと、先日のnoteで書きました。

今回は、その続報、補足として、なぜ日本政府がそんな高値を受け入れたのか、ファイザー・政府間のワクチン購入契約条項は一切公表されていないため、コロナ禍中に大手メディア以外から漏れてきた情報から類推しました。その結果、日本向けファイザーワクチンは世界最高値の可能性が出てきました。
 
そもそも、ファイザーワクチンが国内初承認された2021年当初は、先日報道された単価の概算2725円と、2021年10月米国の消費者団体「パブリック・シチズン」が暴露した欧州委員会の単価18.6ドル(1ドル150円換算で2790円)とが近似しています。アメリカの単価は19.5ドル(1ドル150円換算で2925円)でした。
しかし、単価の概算は厚労省がメディアによる公表を容認している価額と見られます。無駄遣いと言われないように、値上げはまったく反映せずに初期の単価かつ当時の円高だった為替レートを当てはめていると見られます。
 
アルバニアの契約書草案(2021 年1月6日)によれば、
<本契約の日付の 1 営業日前にウォール・ストリート・ジャーナル米国東部版が使用する為替レートに基づいて決定されるユーロに換算されるものとします。>という記述があります。
アルバニアの場合はドルをユーロ換算していますが、2021年当時の円ドル換算を1ドル110円とすると、欧州委員会は2046円、アメリカは2145円、そして日本が2725円(24.8ドル相当)となり、当初から世界最高値の可能性があったと考えます。ならば、2022年10月に英仏向けが130ドルに跳ね上がった時、同じように跳ね上がったと考えるべきです。その考えを後押しするのが、厚労省の秘密主義と植民地根性です。
 
ファイザー社との契約や合意について、厚労省のホームページによると、2020年7月6000万回分の供給を2021年6月までに受ける基本合意を交わしました。具体的には少なくとも6度(2021年1月1億4400万回分、2021年10月1億2000万回分、2022年2月1億2000万回分に加えて1000万回分、2022年3月7500万回分、2023年9月オミクロン対応1000万回分、2023年7月オミクロン対応2000万回分)交わされ、合計5億回分に満たないくらいです。
アストラゼネカやモデルナの製品も含めた2021年、2022年の供給予定が2022年末の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の資料となっており、それによると、合計6億8400万回分で、2023年以降購入分の個別契約4640万回分を足しても、4月15日の衆院決算行政監視委員会で、厚労省が明かしたワクチン購入量約9億2840万回分には2億回分及びません。
 
それだけでなく、黒塗りの多い、俗にいう『のり弁資料』のアメリカでさえ、ファイザーとの契約書は米国保健福祉省のウェブサイトで入手可能で、そこには単価の記述もあります。韓国のハンギョレ新聞も自国のことではないにせよ、パブリック・シチズンの情報をもとに2021年10月「ファイザー、コロナワクチン販売で主権免除の放棄などの深刻な不公正契約」と報じています。これだけの情報流出が他国ではある一方で、日本ではこの3年間全く情報が漏れてこず、大手メディアが唯々諾々と厚労省の数字を垂れ流す国民不在ぶりです。

日本は対多国籍企業においても植民地根性丸出しであり、当初は関税20%(日本に不利な5%への引き下げは下関事件での賠償金を下げてもらうためという説も)だったという日米修好通商条約よりもはるかに不平等な商取引契約が一私企業との間で結ばれていたのかもしれません。もちろん、モデルナ社についても同様です。
 
単価以外にも不平等条約がさまざま盛り込まれているのではないでしょうか。
9か国分の資料をまとめたパブリック・シチズンによれば、多くの国の契約に秘密保持条項があり、契約についてコメントすることを禁じられています。
他国間での寄付や購入も厳しく制限されています。ブラジルではファイザーの許可なく寄付を受け入れると、重大な違反として、契約は即座に打ち切られる上に、契約分は全額支払わなければなりません。
別のワクチンメーカーがコロンビアにおいて特許侵害でファイザーを訴えた場合、契約ではコロンビア政府が費用を負担し同社を弁護することを求められています。
英国がファイザーとの契約上の紛争を解決できない場合は、英国の裁判所ではなく、3人の民間仲裁人からなる秘密委員会が、契約に基づいて最終決定を下す権限を与えられています。
納入スケジュールについて、アルバニア、ブラジル、コロンビアは「いかなる修正にも同意したものとみなされる」そうです。
アルバニアの契約においても確認しましたが、全ての国家が平等に主権を有するとの考えに基づき、ある国の行為は別の国で裁かれないことを定めたルール「主権免除」という国際法上の基本ルールさえ、除外されています。
 
厚労省には公費負担の意識など微塵もなく、植民地根性丸出しで無駄遣いの限りを尽くしています。国民が今、怒らなければいつ怒るのでしょうか。
 

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