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【映画】今更ですが・・・「永遠の0」と靖国神社「遊就館」

今回の連休ですが、勝手に「映画三昧」と決めて出来れば「1日1本」は観よう!と思っています。そんな中で選んだのが、なんと今更ながらになりますが「永遠の0」です。2013年の作品なので今から10年前。あれだけベストセラーになり、映画自体も大ヒットしたというのに、なぜか今まで未見だったという・・・涙。さらには先日、靖国神社を参拝後に「遊就館」も見学してきましたので、併せてお話していきたいと思います。


まずは「あらすじ」から確認していきましょう

百田尚樹の同名ベストセラー小説を「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズを手がけてきた山崎貴監督のメガホンで映画化。司法試験に落ち続け、人生の目標を失いかけた青年・佐伯健太郎と、フリーライターの姉・慶子は、実の祖父だと思っていた賢一郎とは血のつながりがなく、本当の祖父は太平洋戦争で特攻により戦死した宮部久蔵という人物であることを知る。久蔵について調べ始めた2人は、祖父が凄腕のパイロットであり、生きることに強く執着した人物であったことを知る。そんな祖父がなぜ特攻に志願したのか。元戦友たちの証言から祖父の実像が明らかになっていき、やがて戦後60年にわたり封印されてきた驚きの事実にたどり着く。

映画.comより

「羅生門」スタイルのプロットが見事!

最早、説明不要ですよね、百田尚樹さんの大ベストセラー小説の映画化。そして監督は今や米国アカデミー賞受賞監督となった山崎貴さん。ストーリーはあらすじに書かれているように、現代を生きる健太郎と、彼の祖父にあたる宮部久蔵の物語が交互に展開していきます。とにかくストーリーが非常によく作られていたように思います。現代の「孫」たちが、「祖父」の秘密を探っていく。そのために祖父のことを知っている当時の隊員たちに会いに行き、彼らの口から様々な形で祖父が語られるというスタイル(「羅生門」スタイルとも言うみたいですね)。かなり古い作品ですが、エドワード・ズヴィック監督の湾岸戦争を描いた「戦火の勇気」もこうした形式で作られていたことを思い出しました。(私は結構この作品も好きです)。

名優たちが続々登場!さらに実力派若手も!

平幹二朗さん、橋爪功さん、山本學さん、田中泯さん、夏八木勲さんと、ずらりと並ぶ豪華名優たちが、それぞれ味のある名演を披露してくれます。コワモテ役の田中泯さんも見応えがありますし、今と変わらない?橋爪功さんも素晴らしいですが、やっぱり役どころということもありますが、夏八木勲さんですかね、心にしみる名演でした。

一方、若手俳優陣も豪華絢爛。まず主演の宮部には岡田准一さん。さらに健太郎を三浦春馬さん。戦時中の隊員役として、濱田岳さん、新井浩文さん、三浦貴大さん、染谷将太さんが演じています。主演のお二人は言わずもがな。さらに濱田さんは当時も今も変わらぬ名バイプレーヤーとしての片鱗をこの時期からしっかり見せてくれていました。そしてこちらも役どころの良さもありますが、染谷将太さんですね。後半で「そうきたかー」という怒濤の名演に涙涙でした。

女性陣は健太郎の姉役に吹石一恵さん、宮部の妻役に井上真央さん、そして三浦さんと吹石さんのお母さん役として風吹ジュンさんをキャスティング。3人とも派手すぎない演技が非常に良かったと思います。感情を抑えつつ、当時も今も控えめでありながら、聡明さが伝わってくる名演でした。

ちょっとだけ核心に。

天才的な操縦技術を持つパイロットがなぜ「臆病者」と呼ばれていたのか?そして「必ず生きて帰る」と言っていた彼がなぜ特攻を志願したのか?少しずつこの謎が明らかになっていきます。このあたりのストーリー展開は本当に上手!テンポが非常に良く、現代と戦時中のストーリーが交互に進んでいくので全くダレません。さらに戦艦や戦闘機大好きな山崎監督らしく、映像にも抜かりがないので、このあたりも見応えがありました。

前半では、「生きて帰る」などと、当時の「同調圧力」下では決して口に出してはいけないことを平気で口にしてしまう主人公に対して、「あいつは臆病者だった」という相当なマイナス評価。しかし、徐々にその裏にある宮部が心に秘めた強い「意志」が明らかになっていくという展開になっていきます。このあたりは浅田次郎さんの「壬生義士伝」の主人公、吉村貫一郎にも通ずるものを感じました。(ちなみにこの作品も大好きです)。愛する者のために懸命に生きようとする、そしてその思いを引き継ぎ、約束を果たそうとする・・・とにかく後半は涙腺崩壊必至です。

感想は・・・星★★★★!

すみません、コレが一番最高値なんです。というのも個人的に星5つは今のところ「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズなんですよね。多分これを超える作品には出会えないだろう、というくらい大好きすぎる作品なので、ここを基準とすると、4つ星という判定を勝手にさせて頂きました。今から10年前の作品ですが、全く古くない(現代パートのこと。まあ携帯電話がスマホではないくらいですかね)ですし、映像も素晴らしいですし、キャストも素晴らしい。単なる「戦争反対」とか、「特攻」なんて無駄死にだ、などという紋切型の戦争論で片付けるのではなく、そういう時代を必死に生きた先輩たちの「思い」をこの作品を通じて感じて欲しいと思いました。

「ゴジラ-1.0」は「永遠の0」の続編!?

本場米国アカデミー賞でハリウッドの大作を抑えて視覚効果賞を受賞した「ゴジラ-1.0」ですが、公開時にわりと話題になったのが「永遠の0」との近似性、というか続編説。私は当時未見だったので、いまいちピンと来なかったのですが、実際に鑑賞してみると「納得」!「ゴジラ-1.0」は特攻隊から帰還した元隊員が主人公ですし、主人公たちが疑似夫婦という設定もまた、なんとなくリンクするところがあるように思いました。それになによりどちらも山崎監督ですからね。監督らしい細部に拘った戦闘機、戦艦シーンなどにも類似性を感じました。今度はこの2作を続けて鑑賞してみたいですね(笑)。


さて、「遊就館」の話です。

この遊就館では、靖国神社に祀られている方々が参加された戦争に関する資料や遺品などが展示されている資料館です。古くは源平時代からの展示品があり、江戸時代、そして明治維新の戊辰戦争あたりまでを振り返るだけでもかなりのボリューム。さらにそこから明治期の日清・日露戦争についても非常に詳細に解説され、スペースを確保してありました。とはいえ、非常に単純な言い方をすると、ここまでは「勝ち戦」なので、観ていてもなんとなく心に余裕をもって観ることが出来るのですが、ここからが・・・どんどん足取りが重くなり・・・汗。

そして昭和に入ってからの、どんどんディープなゾーンに入っていき、大東亜戦争ですよ、今回のテーマでもある。こちらに関しては相当なスペースが準備されています。そして今回もあるのが、兵士の方々の「手紙」の数々。もちろん知覧や鹿屋に比べると少なくなっていますが、それでも読み進めていくと止めどと無く流れる涙・・・って感じでした。これは知覧でも鹿屋でも感じたことですが、特攻隊として散華した隊員の皆さんは、自分の最期は予期していたんだと思うんですよね。それでも自分が征くことで、この戦争を止めたい、後生のために自分の身を捧げた、というように感じました。我々が今、何不自由なく生活できているのも、こうした先輩方のおかげなんですよね。この気持ちは絶対に持ち続けなければ、と改めて感じました。


と、いうように昨年の「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら」に始まり、知覧と鹿屋を実際に見学し、さらには靖国神社の遊就館を訪れ、とうとう「永遠の0」を観るという、特攻のみならず、戦争についてのリンクが続いているわけですが、何かしらの意味があるのかもしれません。ちなみに全くの余談ですが、こうして個人的に特攻の皆さんについて調べたり、考えたりする機会が増えてきた中で、先日の鹿屋市長の発言はかなり残念でしたね・・・。やっぱりここでも「言葉」の大切さが痛感されますね。






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