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写真展「どこまでも」 16年続けた中での小さな気づき①

残念ながら今年の写真展は中止になったけど、
本来なら写真展の期間中なので、写真について書いてみようと思う。

これまでの写真展の振り返りと小さな気づきについて。

ぼくが写真を撮るようになったのは、写真展をやることになったからだ。
写真展をやることが決まって、初めてちゃんとしたカメラを買った。

それで始めた写真展、1回目は2004年6月だった。

「どこまでも1」(2004年)

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最初の写真展はなんだかわからないまま始まった。
何を撮っていいものかわからず、子どもの頃、団地住まいだったこともあって、懐かしさを感じる団地の風景を中心に、なんとなく好きな場所を撮って歩いた。

カメラの使い方もよく分からなかったけど(って、いまだによくわからないけど)、写真のいいところは「押せば写る」というところだ。
デジカメならなおさら。
シャッターを押せば何か写っている。
だからあまりよく考えず、やみくもに撮って歩いた。
そうして写真展は無事に開催できた。
評判は散々でダメだしされまくったけど、それがちょっと悔しくもあって、翌年も続けてみようかという気になった。

「どこまでも2」(2005年)

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2年目の展示は、幼稚園時代を過ごした長崎へ行って撮った写真を中心に展示した。
写真のいいところは、何もない場所でも楽しめるってことだ。
美味しい店とか、楽しい施設とか、そういうものが何もなくても、どんなところでも行けば何か写真が撮れるし、楽しめる。
住宅地でも、公園でも、路地裏でも、空き地でも、どんなところでもいい。
むしろ特徴的なものが何もない場所の方がいい。
何もないところに自分の好きな景色を探す。
その時間がすごく好きかもって思い始めた。

「どこまでも3」(2006年)

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飲み屋でやる写真展ということで、自分なりに心がけているのは、気持ち良く飲むのを邪魔しちゃいけないなということ。
あくまで飲み屋は、飲みに来る場所なので、あまり主張の強いメッセージ性の高すぎる写真は合わないだろうと思っている。
あくまで壁紙のような写真ってことを意識して3回目は展示した。

「どこまでも4」(2007年)

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4回目は仕事で北京へ行った時に撮った写真。
オリンピック直前で町中を壊して再開発していた。
もともと旅行へ行っても、あまり観光が好きじゃなくて、観光名所に行くよりも、何もないところをただ歩いたり、地元の人が行く市場とかそういうところを巡るのが好きだったのだけど、写真を撮るようになって、それがより楽しめるようになった。
むしろ、写真を撮るようになって初めて旅行が面白いと思えるようになった。

「どこまでも5」(2008年)

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5回目は東京マラソンを走りながら撮った写真を展示した。
4時間半くらいで完走したけど、途中でSDカードの容量が足りなくなってコンビニに買いに走ったり、かなり余計なことをした。

だいたい写真を撮るときは、ファインダーはほとんどのぞかないし、ビューモニターもほとんど見ない。
ピントもいい加減だし、構図を決めて撮ることはほとんどない。
雑多に撮って、撮れたものをあとで見て選んでいる。
何が撮れているかわからないというのがけっこう楽しい。

東京マラソンを走りながら撮った写真は、走り終わるまでまったく何が撮れているかわからず、写っているかどうかドキドキした。
ブレブレで何が写ってるかわからない写真が大半だったけど何とか展示できた。

この頃からカメラは持ち運びやすさと、機動性重視でコンパクトカメラに変えた。

「どこまでも6」(2009年)

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写真をはじめて何がよかった。
いちばん良かったのはどこかへ行くのが苦じゃなくなったってことかもなと思う。
大した用事でもないのに、仕事でどこかに行かなきゃいけないとなっても、「ついでに写真を撮る」という目的ができたことで、それを面倒だと思わなくなった。
むしろ積極的に出かけていくようになった。

「どこまでも7」2010年

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7回目の展示はパリの写真。
パリなのに…あまりパリっぽくないというか、どこ行ってもやっぱり似たようなものばかり撮っているなと思う。あまり意識してなかったけど、写真を撮っていると自分の好きなものの傾向がはっきり出るというか、そういうクセのようなものが自然にで出るのだなと思う。

「どこまでも8」(2011年)

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震災のあった年。
なんとなく気持ちがふさぎ込みがちだったので、できるだけいつもある日常を、いつもと同じように撮ろうと意識したのを覚えている。

「どこまでも9」(2012年)

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9回目の展示。
この頃、猛烈に仕事が忙しくなってきて、激務とストレスで全身にじんましんが出て、呼吸が苦しくなって深夜に救急病院に運ばれたり、仕事のやり方や、生活について本気で考えないといけないと思い始めた頃で、そういう生き方の迷いの中で、正直写真展どころじゃなかった記憶がある。改めて写真を見て、その中途半端さが伝わってくる。それもまた続けている意味であったりもするのかも…。

「どこまでも10」(2013年)

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北欧、フィンランド、スウェーデンに行ったときの写真を展示した。
北欧の小説の装丁の仕事が続いたりして、空気を感じてみたかったのと、どうしてもスウェーデンの地下鉄の駅を見たくて行ったのだった。
撮りたい目的があって撮りに行ったからなのか、これまでと写真のトーンが変わった気がする。それがどうも、自分の好きな写真とうまくかみあってない気がした。
撮りたい写真が展示したい写真につながらないジレンマというか、何らかの迷いがでてきたような気がする。

「どこまでも11」(2014年)

DSC07582_MINI のコピーのコピー

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「どこまでも」というタイトルをコンセプトに写真を撮ってみようと思っての展示だった。
適当に付けたタイトルだったけど、よく考えてみたらタイトルに即した写真を撮ったことがなかったかもと、11年経って思ったのだった。
たぶん続けていく中で、どんな写真を撮るのか、何を展示したいのか、そんな迷いが加速していったのだと思う。

ここまでで11年。今回はここまで。
改めて振り返ると毎年いろいろ考えながら実験して続けてきたんだなと思う。

いまだに迷走したまま続けているのだけど、
この翌年の12年目、2015年の展示で自分の中で何かが変わったなと思っている。
一種の転機のようなものだったような気がする。
大した変化ではないと思うけど、次回はそのあたりのことを書こうと思う。
(つづく)

つづき:写真展「どこまでも」振り返り②

「どこまでも17」開催中止について


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