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【クズも美少年が演じれば画になる】『ホット・サマー・ナイツ』感想レビュー


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概要:1991年のアメリカ。父を亡くしたショックから立ち直れないダニエルは、ひと夏をケープゴットという海辺の田舎町で過ごすことになる。そこで、出会ったハンターという町一番の不良と仲良くなった彼は、ハンターと一緒にドラッグの販売をするようになる。
時同じくして、街一番の美女と噂のマッケイラと出会い、一目で恋に落ちるダニエル。
しかし、マッケイラはハンターの妹であり、妹を溺愛する彼は、妹に近づく奴は許さないとダニエルに言い放つ。ドラッグに禁断の恋、ダニエルにとって危険な夏が始まる。

製作年:2017年 製作国:アメリカ 監督:イライジャ・バイナム

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【ティモシー・シャラメ×A24 今をときめく最高の組み合わせ!!】
主人公のダニエルを演じるのは『君の名前で僕をよんで』(2017年)で、アカデミー賞主演男優賞にノミネートもされたティモシー・シャラメ。『レディ・バード』(2017年)や『ビューティフルボーイ』(2019年)など話題作にも出演し、今世界で最もホットな若手俳優だ。
今作ではドラッグを販売しつつ、禁断の恋に身を投じる若者を演じている。
そして今作を配給するのはA24。これまでにアカデミー賞受賞の『ムーンライト』(2016年)をはじめ、『アンダーザシルバーレイク』(2018年)、『ヘレディタリー継承』(2018年)、『ア・ゴースト・ストーリー』(2018年)などの注目作を世に送り出している新進気鋭の映画スタジオ。前述した『レディ・バード』(2017年)もこのスタジオの作品だ。
今世界で最も注目を集める俳優とスタジオの最強タッグが、この夏を最高にホットにさせる…!!

ここからは、実際に映画を観た筆者の感想を書いていく。
ネタバレ全快で書くので、映画を観てない人は読まないよう気を付けて欲しい!!


【~ネタバレ注意~】

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【ティモシーが正真正銘のクズ役で驚いた!】
予告編やビジュアルイメージから、鑑賞前は『危険なひと夏の恋』を描いた作品なんだろうなぁと想像していた筆者。
実際に観てみたら、ひと夏どころか一生を棒に振るくらいにヤバい事をしてたから驚いた…!
特に驚いたのが、ティモシー演じるダニエルのキャラクター。
父親を亡くし、傷心に浸る美少年が悪事に巻き込まれていくかと思いきや、むしろ自分からノリノリで悪い事にのめり込んでいく。
しかも劇中で「なぜ、そんな悪事にハマっていくか」についても特に説明もないので、ダニエルが天性のヤバい奴としか思えない。
夏が狂わせたと言われれば、そうかもしれないが、本作のティモシーは、ドラッグも売れば、愛する人達に嘘もつきまくる、なかなかのクズっぷり。ただ悲しいかな、美少年が演じればクズも画になってしまうのである…

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【ハンターというワイルドイケメンの悲劇】
この映画、ティモシーというギリシャ彫刻のような美少年が登場するが、実はハンターという、ティモシーとは真逆のワイルドイケメンも登場する。
線の細いイケメンにムキムキのワイルドイケメン、この映画はどっちに転んでもイケメン好きにはたまらない映画となっている。
そして、このハンターと人物。登場時に「町一番の冷徹なクズ」みたいな紹介のされ方をするから、どんな悪い奴かと思ったら、むしろ程度をわきまえてる妹大好き兄ちゃんだったから、こちらも拍子抜け。
しかも彼自身は、現状に満足していたのに、ノリノリのダニエルに巻き込まれたばかりに取り返しのつかない事態に巻き込まれるから、もう不憫でならない…
中盤からは、ダニエルではなくハンターに感情移入してしまったよ。

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そんな感じで、予想とは全然違った物語であった本作。正直、全てはダニエルの自業自得にしか思えないから、マッケランとの恋の下りも、筆者はそこまで惹かれなかった。
ただ、この作品、劇中のほとんどの場面で音楽が使われてるのだが、そのセレクトがなかなかナイス。
特に、遊園地でのDavid Bowieの「Space Oddity」が流れる場面あの場面はこの映画のハイライトと呼べるくらい全てが完璧で美しい場面だった。
これから、この映画を思い出すときは、必ずあの場面を思い浮かべるくらい筆者の心には刺さった。
人生において、誰にでも死んでもいいくらい完璧な瞬間があるとするなら、ダニエルにとっては間違いなく、あの瞬間がそうであっただろう。
映画全体が熱に浮かされたような映画、まさしく真夏の夜に観るべき映画だと思う。

#映画 #映画感想 #ホットサマーナイツ #ティモシーシャラメ #A24

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