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仏法用語(器世間)


八部衆

天上の神々。天人。欲界は六欲天。色界は四禅天。四禅天の中に五那含天(五浄居天)が含まれる。無色界は説明を省きます。
色界には梵天衆、欲界の地居天(須弥山までの第二天)には釋天衆がいる。
梵天衆の中でも梵王は世界のあるじ。釋天衆の中でも帝釈天は地居天の主。皆仏が出世したときに轉法輪を請う。

龍とは畜生道の部類で蛇に似る。いわゆるドラゴン。竜の主な住処は海底で、諸天と同じような七宝でできた宮殿に住んでいる。龍は神通を持ち、身の形を変えて端正な人となることもできる(変身・シェイプシフト)。

夜叉ヤシャ

俗にいう鬼。夜叉は皆鬼道に属す。
また、夜叉は「軽疾」という。よく飛行するためである。
夜叉は三種類ある。①地に在る者②空中に在る者③諸天の給使となる者
前世の破戒のため鬼神の身を受ける。また、悪毒を以ての故に鬼神の身を受ける。ただ、夜叉の中でも、前世に乗(智慧)を修めた者は仏を見、法を聞き、三宝に与る。布施を少し行ったため、わずかな果報を得る。空を飛行できるのは、前世に馬や車を施したためである。

乾闥婆ケンダツバ

これは嗅香という。また、香陰という。天帝の俗楽神である。乾闥婆も夜叉と同じように空を飛ぶことができる。酒肉は食わず、ただ香気を取り入れて自活する。天帝のために伎楽を奏し、十宝山に住まい、得る果報は天に似る。
前世に伎楽を好み布施を行ったが、持戒が疎かだったが故にこの神となる。

阿修羅アシュラ

旧くは「無酒」という。また「身大」という。阿修羅は酒を造ろうとして四天下の華を集めて海で醸造するが、魚龍の業力のためどうしても造れない。そのため無酒という。
また「非天」という。此の神の果報は最勝にして諸天に次ぐが、天の徳が無いので非天という。
また、「不端正」という。男は醜く女は端正である。阿修羅の眷属は一部を除いて皆醜い。故に不端正という。
阿修羅には二種類ある。鬼道に属する者は大海の辺に住み、畜生道に属する者は大海の底に住む。
前世に嫉妬を懐いて他を悩ましたが故に、阿修羅には常に恐怖が絶えない。

迦樓羅カルラ

金翅鳥こんじちょうと訳す。畜生道の部類。龍を食す。四天下の大樹の上に住まう。布施を行ったが故に、頸に如意珠がある。多慢を以ての故にこの悪道の身を受ける。

緊那羅キンナラ

これは「疑神」という。また「真陀羅」とも訳す。天帝の法楽神である。姿は人に似るが、頭上に角が一つがある。そのため、これらは人・非人と言われる。
身に異変があればただちに天帝のもとに上って音楽を奏でる。彼らは十宝山に住む。果報は乾闥婆にやや劣る。鬼神道に属する身だが、前世に音楽を好んでいたので今世に音楽の神となった。功徳を少し修めたため、わずかな果報を得る。

摩睺羅伽マゴラカ

これはおろちの神である。また「地龍」という。無足にして腹行する神である。世間にある廟で神に捧げた酒肉はみな蟒の腹に入る(訳に自信なし)。
前世に戒を破り、邪諂にして多嗔、酒肉を貪り、少し施しを行ったが、持戒が疎かだったため鬼神の身となる。多嗔のため、現報として身に虫が入って唼食されるという苦悩を受ける。

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十宝山ジュッポウゼン

十宝山とは
①雪山②香山③軻黎羅山④仙聖山⑤由乾陀山⑥馬耳山⑦尼民陀山⑧斫迦羅山⑨宿慧山⑩須弥山。
それぞれの山には、「王」という名がつく。
雪山は一切の薬を集め、香山は一切の香を集め、軻黎羅山は華を集め、仙聖山は五通の者を集め、由乾陀山は夜叉を集め、馬耳山は妙果(素晴らしい果実)を集め、尼民陀山は龍を集め、斫迦羅山は自在を集め、宿慧山は阿修羅を集め、須弥山は諸天を集める。
※五通の者とは、五神通のある者。自在とは、諸々の大力ある者をいう。

須弥山シュミセン

安明山と訳す。四宝(金・銀・瑠璃・玻璃)でできており、中腹までが四天王天、上部がトウ利天となっている。
トウ利天は三十三天と訳される。トウ利天の頂上には喜見城があり、帝釈天が住む。四面に各八城あり。喜見城を含めて三十三となる。

四天下

須弥山の四方をめぐる人間が住む世界。閻浮提のみ、仏が出生する。

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閻浮提エンブダイ

南贍部洲ナンセンブシュウとも。樹に因んでその名が付いている。現代的に言えば、この第 3 惑星地球のこと。閻浮提だけ寿命の増減がある。
人寿八万歳の時代より百年の時まで、南天下は未だ果を見ずして因を修す。故に仏が出生する地でもある。

弗婆提ホツバダイ

東勝身洲トウショウシンシュウとも。南洲に勝るが故にこの名が付く。富んでいて寿命が長い。

瞿陀尼クダニ

西牛貨洲サイゴケシュウとも。珠宝と午羊が多い。そのため牛を通貨とする。故に牛貨洲という。

鬱単越ウッタンノツ

北倶盧洲ホククルシュウとも。ここの人間は我心無く、臣属を伴わない。寿命は千年と定まっていて中夭もない。四州の中で最も福が勝る。

摩尼宝珠マニホウジュ

摩尼宝珠とは如意宝珠ともいう。定まった色はなく、清徹・軽妙にして、四天下の物を全て照らし現わす。
一説には、「この宝珠は龍王の脳中より出て、人が此の珠を得れば毒にも害されず、火に入っても焼かれない。このような功徳ある」と。
一説には、「この宝珠は帝釈天が保持する金鋼であり、阿修羅と闘う時に、帝釈天が砕いて閻浮提に落として用いる」と。
一説には、「諸の過去の久遠の仏の舎利である。仏法が滅尽するに及んで、舎利は変じてこの珠と成り、衆生を利益する」と。
一説には、「衆生の福徳の因縁の故に、自然にこの珠が出現する。譬えば罪の因縁の故に、地獄の中に自然と治罪の器具が有るようなもの」と。

参考:『法華文句』『法華文句記』『華厳経』『維摩経略疏』『大智度論』

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