島田幻史

フリー作家。

島田幻史

フリー作家。

マガジン

  • 闇袋

    人の心を見ることができる北川奈乃は、その能力のせいで思いもよらない騒動に巻き込まれていく。 ジャンル:サイコ・サスペンス 文庫版:396ページ

最近の記事

【映画】ボーダーライン

amazon Prime 解説――――――――――――――――――――――――― 巨悪化するメキシコ麻薬カルテルを殲滅すべく、特別部隊にリクルートされたエリートFBI捜査官ケイト(エミリー・ブラント)。特別捜査官(ジョシュ・ブローリン)に召集され、謎のコロンビア人(ベニチオ・デル・トロ)と共に国境付近を拠点とする麻薬組織・ソノラカルテルを撲滅させる極秘任務に就く。仲間の動きさえも把握できない常軌を逸した極秘任務、人が簡単に命を落とす現場に直面したケイトは、善悪の境界が分からな

    • 【映画】AIR/エア

      amazon Prime 解説――――――――――――――――――――――――― 数々の賞を受賞している監督ベン・アフレックが送る本作「AIR/エア」では、当時まだ世間に知られていなかったマイケル・ジョーダンと、後に“エア ジョーダン”で世界のスポーツと文化に革命を起こすナイキのバスケ部門との、革新的なパートナーシップの誕生秘話が描かれる。―――――――――――――――――――――――――――――――――― ナイキの エアジョーダンにまつわる サクセスストーリーです。 1

      • 【映画】そして、バトンは渡された

        amazon Prime 解説――――――――――――――――――――――――― 血の繋がらない親に育てられ、4回も苗字が変わった森宮優子は、わけあって料理上手な義理の父親、森宮さんと2人暮らし。今は卒業式に向けピアノを猛特訓中。将来のこと、恋のこと、友達のこと、うまくいかないことばかり…。一方、梨花は何度も夫を替えながら自由奔放に生きている魔性の女。泣き虫な娘のみぃたんに目いっぱい愛情を注いで暮らしていたが、ある日突然、愛娘を残して姿を消してしまった。そして、優子の元に届い

        • 【映画】悪魔は誰だ

          amazon Prime 解説――――――――――――――――――――――――― 15年前の誘拐事件で幼い娘を失ったハギョン(オム・ジョンファ)は犯人逮捕を願って自ら情報を集め続けていた。そんな彼女のもとを、当時の担当刑事チョンホ(キム・サンギョン)が訪れ、もうすぐ時効が成立することを告げる。―――――――――――――――――――――――――――――――――― 『悪魔は誰だ』 というタイトル通り、 自分が正しいと思う言い分によって 悪魔のような所業をする人たちの話です。

        【映画】ボーダーライン

        マガジン

        • 闇袋
          0本

        記事

          【映画】バーン・アフター・リーディング

          amazon Prime 解説――――――――――――――――――――――――― ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントン、ジョン・マルコヴィッチらオールスターが集結し、殺人、脅迫、セックス依存症、そしてフィットネスを取り上げた斬新なスパイ・コメディーが誕生! CIAの最高機密が入ったCD-ROMが、頭の弱いフィットネスジム従業員の手に渡る。彼は同僚と組み、これをゆすりのタネに利用しようと躍起になる。しかし脅迫は専門家に任せる

          【映画】バーン・アフター・リーディング

          【映画】ザ・コール 緊急通報指令室

          amazon Prime 解説――――――――――――――――――――――――― 911緊急通報指令室のベテラン交換手ジョーダン(ハル・ベリー)は、不法侵入の救助を求めてきた少女が自分のミスから殺害されたことを知り悲嘆に暮れる。 自責の念に駆られ一線を退く決断をするジョーダンだったが、彼女と市民の命綱である緊急電話との関係は終わっていなかった…。殺人鬼が運転する車のトランクからかかってきた一本の電話。少女ケイシー(アビゲイル・ブレスリン)からの助けを求める電話で、再びジョーダ

          【映画】ザ・コール 緊急通報指令室

          【長編小説】血族 最終章

           第五章 歴史はつづく、血があるかぎり   1 「ほらほら、まだイキんじゃだめよー。まだ我慢よー」という医師の声を、高木真尾はまったく聞いていなかった。  あまりにも痛くてそれどころじゃなかったのだ。  あそこからスイカを出すような痛み、というのは本当だったんだ。それを聞いた時は思わず笑ってしまったが、それが大げさでなかったのが今わかった。もうすぐにでもすべてを出してしまいたいのに、あそこに壁があてがわれているせいで、なにも出せないようなこの感覚はなに!  もう、いい加減

          【長編小説】血族 最終章

          【長編小説】血族 第4章

           第4章 ねずみと仮面の告白   1  私の赤ちゃんは成長が遅いのだろうか・・・・、と真尾はベッドの上に坐って、自分のお腹を見下ろしていた。さっきアリアと一緒にお風呂に入ったとき、どう見てもアリアの方が出っ張っているように感じたのだ。  アリアは気のせいだといって笑うが、とてもそうは思えない。アリアは男の子で、私は女の子の違いなのだろうか・・・・。 「赤ん坊はお腹の中でグルグルしてるけど、私は頭の中がずっとグルグルしてるわ」  アリアはベッドに寝転んで、天井を見上げていた

          【長編小説】血族 第4章

          【長編小説】血族 第3章

          第3章 胎児覚醒す    1  最初は驚きと現実感のなさで自分の妊娠を考える余裕もなかったが、いまこうしてベッドに横になり、染みだらけの天井を見つめながら、今日経験したことをひとつずつ確認していくうちに、これはとんでもないことなのだということがようやく理解できるようになってきた。  だけど・・・・。  高木真尾は、お腹の脇にあらわれた突きでた部分をなでてみた。 『ヒジ? それともカカト?』  意識しているつもりはなかったが、妊娠に気づいてから頻繁に動くような気がする。この

          【長編小説】血族 第3章

          【長編小説】血族 第2章

           第2章 記憶にないあいまいな記憶   1 「もう死にたい・・・・」  長い間、電話の向こうで、上司から受けたセクハラの被害を訴えていた女が、最後に消え入りそうな声でそう言った。  上司からセクハラを受けて、そのまた上の上司に相談しても一向に取り上げてもらえず、やがて上司のセクハラが過激な嫌がらせにエスカレートしていって辞職を余儀なくされる。みんなそうだ。君が誘惑したんじゃないのか、みたいなことまで言われる。  まったく理不尽でバカみたいな話だが、この四ヵ月でこんな電話相

          【長編小説】血族 第2章

          【長編小説】血族 第1章

           プロローグ  ♪  か~ごめ か~ご~め~  か~ごの な~かの ト~リ~は~  い~つ い~つ 出~や~る~  夜~明~け~の~晩~に~  ツ~ルと カ~メが す~べった~  うしろの正面~  だ~、  あ~、  れ?  女は唄い終わった時に、指を差していたストロー状の棒を、牛乳タンクのような大きな容器から抜き出してキスをした。 「オメデトー!」と小さな声で祝福をする。  そうして棚の上に置かれた小さな赤い保存容器の中に、そのストロー状の棒を収めていった。一本一本てい

          【長編小説】血族 第1章

          【長編小説】切子の森 最終章

           最終章   1  父さんが消防士になってから火事の通報をうけて出動したのは、ボヤを含めると四〇〇件を優に超えていた。正確には四二三件。平穏な街の、平均的な件数だ。  生まれてはじめて本格的な火事を経験した切子家の火事以来、父さんは火災の詳細な情報を、自分の個人的なノートに記録するようにしていた。  そのノートには、天候、風速、風向き、温度、湿度、出火原因と場所、火事の状況など、通常の業務日誌に書きこむ内容に加えて、父さんなりの分析、反省点などがびっしりと書きこまれていた

          【長編小説】切子の森 最終章

          【長編小説】切子の森 第6章

           第6章   1  ずいぶんとくたびれた泥色の着物の上に、真っ赤なトマト色のはっぴを着たお婆さんが芝生広場に入ってきた。水曜日の午後二時。以前お婆さんを見かけた時とおなじ曜日のおなじ時間だった。  トマト婆さんは、僕が坐っているベンチからみて反対側の、入口からいちばん近いベンチまでゆっくりと歩き、持ってきたうすい座布団をベンチに敷いて、高い堤防をよじ昇るように苦労しながらベンチにあがった。そしてしばらく身体を左右に動かせて正座にふさわしい位置を決めてしまうと、小さな背中を

          【長編小説】切子の森 第6章

          【長編小説】切子の森 第5章

           第五章   1  八月十五日、快晴――。  でも、雲ひとつないというわけではなかった。クラゲみたいな形をした綿雲がふたつ対になって浮かんでいて、今にもくっついてしまいそうだった。  おだやかな海には小さなヨットが点々と見え、あまりの暑さにうんざりしたようにのんびりと動いていた。  海の匂いは展望台までは届いてこなかった。そのかわりむせるように強い緑の匂いと、蝉のにおいがした。  切子は展望台へ来た時から壁ぎわにある冷たいコンクリート製のベンチに腰掛けていて、右手で下唇

          【長編小説】切子の森 第5章

          【長編小説】切子の森 第4章

           第4章   1  かつて切子の家では、終戦記念日の八月十五日になると、〈キネンスベキ日〉と称して三鉢のジャスミンを飾るのが習慣になっていた。  切子の部屋――この春、小学校に入学してからひとりで寝起きするようになっていた小さい部屋――と居間、そして玄関のゲタ箱の上。  どこにも母さんが編んだレースの敷物がしかれ、その上にジャスミンの鉢が置かれることになっていた。 「ジャスミンには〝浄化〟っていう意味があるらしいの」と母さん。「〈忌まわしき戦争を浄化する〉。そう聞かされた

          【長編小説】切子の森 第4章

          【長編小説】切子の森 第3章

           第3章   1  それからしばらくの間、切子は〈人形の森〉に姿を見せなくなった。しかし、家の中では以前と変わりなく、〈人形の館〉のできごとだけでなく、その存在すらなかったみたいに平穏な生活を送っていた。少なくとも僕にはそう見えた。  それに関して彼女からなんの説明もなかったし、僕からもなんの説明も求めなかった。いままでどおり家の中ではあくまでも家族であり、僕は兄で、彼女は妹だった。  すでに学校も夏休みに入っていたので、毎日午後になると〈人形の森〉へ行くのが僕の日課にな

          【長編小説】切子の森 第3章