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係長の最も大切な仕事は○○を語ること


皆さんは「係長」の仕事って何だと思いますか?


「係」という小さなチームのマネジメント。仕事と資源(主にお金とひと)を管理すること。

仕事・お金・ひとの管理。

その中でも、私が最も大切だと考えているのが「ひとの管理」です。


ひとの管理というと、「ひとのことをモノ扱いする」みたいに聴こえるかもしれませんが、実際はとても情緒的な仕事です。

ひとは身体と心とで仕事をします。

だから、一緒に働く係員の「仕事と向き合う身体と心」に気を配り、うまく仕事と向き合えるように支援をする。それが「ひとの管理」です。


ひとは体調が悪くても、心の調子が悪くても、しっかりと仕事と向き合えなくなります。一義的には本人がしっかり管理することかもしれませんが、仕事の量が多かったり残業が続けば疲労はたまります。職場にストレス要因があれば、心の調子も崩します。

そこは係長にもできることが少なくありません。

そして、心の調子のうちメンタルヘルス的な部分は専門家のお世話になるべきですが、その基礎のうえに築かれる「やる気(モチベーション)」は、係長のかかわりが大きく影響する部分。


この「やる気(モチベーション)」に働きかけるのが、この記事のタイトルにもなっている「係長の最も大切な仕事は○○を語ること」につながります。


では、係員のやる気(モチベーション)のために、係長は何を語るべきなのでしょうか。それは「あなたはこの組織にとって、特別で、大切な存在なんだよ」というメッセージです。これを伝えることが係長として最も大切な仕事だと思って、私は日々働いています。


仕事におけるやる気(モチベーション)は、様々な要素の影響を受けます。給与や人間関係はもちろん、与えられたデスクひとつでスタッフのやる気(モチベーション)が削がれることもあれば、増すこともあります。
他にも、仕事のやりがいや成長する実感、チャレンジの機会なども大きな影響を及ぼしますよね。私も覚えがあります。

様々な要素が考えられる中で、私が最も大切にしているのが「あなたはこの組織にとって、特別で、大切な存在なんだよ」というメッセージなんです。


そこには本人の貢献感(私はここで貢献できている)代替不可能性(私の代わりはいないんだ)を感じてもらい、ライフワークでなくてもここで出来る範囲での自己実現を遂げてもらいたいという思いがあります。

ひとは、その場の誰かや何かに貢献できていると感じるとき、たとえ苦しい仕事でも喜びを感じることができます。前向きな意味で、この仕事ができるのは自分しかいないと感じるとき、少し身の丈を越えた仕事でもやり遂げることができます。


そして、成長していきます。


だから、係員一人ひとりに「あなたはこの組織にとって、特別で、大切な存在なんだよ」というメッセージを感じてもらえるように、声をかけ、やり方を認め、責任を手渡し、言葉に耳を傾け、できたことを一緒に喜ぶのです。


また、このメッセージを伝るのは、課長でも部長でもなく、係長の役割だと私は考えています。

「あなたはこの組織にとって、特別で、大切な存在なんだよ」というメッセージは、音声としてこのまま伝えればいいわけではありません。

きっと大切なのは言葉の手前の時間。日々の仕事の任せ方、仕上げた仕事の評価の仕方、係員の言葉に耳を傾ける姿勢、それらが積み重なった先に語るから伝わるもののような気がするのです。課長や部長には難しい役割です。


仕事の本当の意味での報酬はお金ではなくて、仕事をとおして感じられる様々な感覚こそ真の報酬だと思っています。特にやりがいであったり自己実現の感覚であったりがほしくて、私たちは働いているのではないでしょうか。

「生涯困らないだけのお金が得られたら、それでも働きますか?」

そんな質問がありますが、私はきっと働きます。それはお金とは別にほしいものがあるから。

「あなたはこの組織にとって、特別で、大切な存在なんだよ」というメッセージは、働くひとたちにとって大切な「お金ではない報酬」です。それを届けるのが私たち係長の役割なら、どんなに仕事が山積みでも、このメッセージを届けることだけはサボるわけにはいきませんよね。



今は、様々な組織で人材確保の難しさが叫ばれています。中でも即戦力の採用は、中規模以下の役所(政令市ではない一般の市役所や町村役場)も苦労していますし、民間、特に中小企業にとって非常に厳しい環境になっています。

そんな中で、最も低コストで手間も(即戦力採用と比べれば)かからないのが、現存メンバーの動機付けです。

採用には一人数十万円かかるかもしれませんが、現存メンバーの動機付けであれば、マネジャーの腕と気持ち次第で追加の予算は不要です。

人材不足の今こそ、メンバーの動機付けをしっかりと意識するのは、高コストな採用活動を不要にする非常に大切な施策だと思うんですよね。


とはいえ、私もまだ模索しながらの日々です。

2年目係長の毎日でどれだけできているか、まだまだ心もとない場面ばかりです。どんなタイミングでどんな言葉を伝えるのか、仕事の任せ方も仕上がった仕事の認め方も、完璧とはほど遠い状況です。

でも、目の前のタスクを裁くだけじゃなく、「あなたはこの組織にとって、特別で、大切な存在なんだよ」というメッセージを届けたいという意識は忘れないようにしています。それが一緒に働く係員との向き合い方に滲み出て、いつかこのメッセージを感じ取ってくれたら嬉しいですね。


皆さんは、如何お考えでしょうか?


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Twitterでこのようなtweetをしたのがこの記事の元ネタでした。私にしては多くの反応いただきました。「いいね」やRTをしてくださった皆さん、ありがとうございます。

多くの方に読んでいただけたからこそ、さすがに140字で伝えられることの限界を強く感じましたので、1本の記事としてこの「語れるのは係長だけ」な話について書かせていただきました。いかがだったでしょうか?



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