見出し画像

母の事

施設に入所している母と、少しの時間ではあるけれど週に1度面会ができるようになった。

思い切って、状態が良くない母の食事介助をしたい、とお願いをしてみた。

施設側でこちらの気持ちを汲み取っていただき、もちろん感染予防対策をきちんとした上で週に3回食事介助ができるようになった。

今日、初めての食事介助。とりとめのない近況報告や昔話をしながらベット上の母の口にスプーンを運んだ。
食事の形態がずいぶん変わっていた。
もう私のことがわからないけれど、マスクを下ろして顔を見せてみたらうれしそうに笑ってくれた。
マスクを下ろしたまま母に話しかけられないのがもどかしかった。

私の一方的な話を聞きながら、穏やかに口を動かす母を見ていたらぽろぽろぽろぽろ泣けてきた。

「やっとゆっくり会えた」というほっとした気持ちと
「してあげることができた」という嬉しい気持ちと
「もっと元気な時に優しくすればよかった」という後悔の気持ちと
他にも寂しい気持ちや悲しい気持ちでごちゃごっちゃ。
でも…多分、母の笑顔を見て感動したんだと思う。

自分の母親の笑顔を見て感動するなんて、ばかみたいだけどやっぱり感動したんだと思う。

私自身も幸せな気持ちと笑顔のある暮らしを送ろう…と思った。
私にとって母の笑顔が大事なように、私が笑顔でいられることもそれが一番の親孝行だと思うようになったから。

外に連れ出してドライブしたり、似合う服を選んだり、髪を整えてあげたり、肩をもんであげたり、グチを聞いてあげたり、一緒にテレビを見て番組批評をしたり、重い荷物の買い物袋を持って歩いてるのを見つけて車に乗せてあげたり……もうどれもしてあげることがない。
なにかしてあげたいのに、それはなかなか難しい。
母の状態では、してあげられることが本当に少なくなってしまった。

嬉しそうに
「ありがとう」
と笑う母の笑顔が好きだけど。

だから私が幸せな笑顔を見せて、嬉しいと思ってもらおう。

会えて、一緒の時間を過ごして幸せ。

また水曜日に会えるから幸せ。

幸せと思った気持ちを大事にして笑顔で過ごします。

まずは明日、伸縮性があって綿100%で、脱ぎ着しやすくて、母に似合う明るい色のかわいいパジャマを買いに行こう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?