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クリーム色の休日。

休日なにもせず、寝巻きのまま見上げた時計は15時をさしていた。

ここのところ、どうも体がだるくて、たまった洗濯物を見てはため息をつく日が続いていた。「明日こそ早く起きてやろう」と思ってアラームを7時半にセットしたのに、二度寝して9:14。外は眩しかった。

ふらつく頭で1回目の洗濯をセットして、カーテンを開けた。ナナメ向かいのお家はもう、家族分の洗濯物がきれいに並んでいる。
「あぁ、ちゃんと生活しているな」我が家との差に落胆した。

せやまさんの「クリームイエローの海と春キャベツのある家」を読み終えたのは、1週間以上前だったと思う。

note界隈で話題で、みんなの流れに乗って感想を書こうと思ったけれど、なかなか書く気になれなかった。タイムラインに流れる「クリームイエロー」の文字を見つけては、自分は遅れていると感じた。

この本のことを界隈の情報を見て知った時、最初に興味を持ったのは、その装丁の可愛さだった。私はよく本をジャケ買いするので、そのアンテナにビビッときた。書店で本物を見てから「これは買いだ」とすぐ手にとった。

物語自体は、あっという間に読み終わった。もう少しこの世界に浸っていたかったと思うくらいに。そしてやはり自分好みの本であったことが嬉しかった。

読了して感想も書けずに時間が過ぎたのに、今になってこんなふうに書いているのは、なにか本と重なるものがじわじわ湧いてきたからだ。帯に連なるコメントには、どこか「許された気持ち」が共通してにじんでいて、その気持ちが今、私にもやってきた。

ここ1〜2年、私の体調は4〜7割を行ったり来たりしている。
季節の変わり目、気温の変化に敏感で、なんとなく「元気」と言える日が少ない。特別病気もないし、仕事ができないわけでもない。でもなんだかお腹の調子が悪し、だるい。30歳までは特に気を使わなくても元気だったのに、31歳でガクッと落ちた。気をつけていれば大丈夫だけど、気が抜けない。

今年の春は、暑い日と寒い日が交互にやってきた。
こんな天気が続くと、集中力も体力も落ちて思うようにいかない。原因は多分、自律神経の乱れだと思う。元気なときになるべく体を動かそうと頑張るけれど、天気の乱高下には太刀打ちできない。特に、月のめぐりと重なった時は最悪だ。いっそのこと休めるくらい熱が出てほしい、なんて願ってしまうがそう都合よくはいかない。

日々は続く。カレンダーの予定は次々やってくる。
楽しみで、やりたくて入れた予定を苦痛に感じたくないのに、辛くなってしまう自分が嫌だ。ご飯を美味しく食べたいし、楽しく遊びたい。ただそれだけなのに。

洗濯物は溜まるし、部屋には埃が溜まる。
我が家は共働き夫婦だから、家事はお互いできる時間にできることをやる。満足にはできていないけれど、それでも何もしていないわけじゃない。毎日何かして生きている。そんな我が家の様子が、津麦がくる前の織野家と重なった。

時計は17時半、休日が終わろうとしている。
西側の窓からオレンジ色に光が柔らかく差していて、室内に干しっぱなしのタオルがクリーム色に染まっていた。

昔よく聴いたレミオロメンの歌には、何気ない日常が描かれている。その中に洗濯物が風に揺れる描写もあった。風が強くて早めに取り込んだ洗濯物は、まだハンガーにかけたままで、窓からの風を受けて揺れている。

何もしていないと思った今日も、思えば2回洗濯機を回したし、掃除機もかけた。遅く起きたけど午前中のうちにやれることはやろうと思って、トイレ掃除もできた。

土曜日はポイントUPデーだからスーパーで買い物して、晴れならお布団パタパタして、シーツ洗って、お風呂掃除して、さすがにそろそろ加湿器片付けて、それで午後はお茶でも飲みながら趣味の時間を楽しんで……それが100点のような気がしてるけれど、自分の今のキャパを考えたら、本当にそれがいいんだろうか?

休日は休んでいいし、楽していいじゃん。
我が家はありがたいことに夫の弁当作りもないし、アイロンがけもしない。でも、子どもがいない大人二人の生活だから、世の中にはもっと大変な家庭も多い、なんて比べたらキリがない。

我が家は、我が家の生活を営んでいる。
今、夫とのこの生活が好きだ。1分1秒でも長く過ごしたい。

今日も生活を営んだと思う。
窓を開けて、揺れるカーテンを眺めるこの時間も。
それが心地いいなら、それも生活の一部だ。

急に体調は良くならない、家が完璧にキレイだとも言えない。
でも今いるこのリビングの風景が結構好きだ。

この心地よさを大事につむいでいこうと思う。


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