タカラヅカファンたちの男役コンビへの愛・ときめき・萌えの形

お待たせしました。男役コンビの話をします。

この↑ツイートにも書いたように、タカラヅカには男役スター同士のコンビの需要……というか、概念が定着しています。

カップリング略称というのでしょうか、2人の名前の2文字ずつを組み合わせてコンビ名にする、というのも何年も前から行われています。(これは男役同士に限らず、男役と娘役、娘役同士のコンビも同様です。)
代表的な男役コンビといいますと、「ヤンミキ」「オサアサ」「まさみり」が挙げられますでしょうか。いずれも四層構造でいう「愛称の存在」「役名の存在」問わず、燃料に事欠かない御三家です。本題から逸れてしまうので詳しい説明はしませんが、それぞれのコンビ名でググっていただければ、萌えエピソード・萌え動画がごっそり出てくるかと思います。

二次元のカップリングと異なり、攻×受の概念は薄いです。
コンビ名の表記も攻×受順ではなく、大体が入団年順です。
この「入団年」という概念、萌えを語る上でもタカラヅカファンには重要なものなので、少しご説明させていただきますね。

タカラジェンヌは全員「宝塚音楽学校」という養成学校に所属しています。
まず1年間「予科」のカリキュラム、次にもう1年間「本科」のカリキュラムを経た後、宝塚歌劇団に入団=「研究科」の生徒となります。

この宝塚音楽学校、学年による上下関係がとても厳しく、その分同期生との絆が深まるため、タカラジェンヌ本人たちもファンも、「誰と誰が同期か」「誰が第何期で何年目か」というのを強く意識します。
このため、多くのファンは「誰々は誰々よりも上級生/下級生」というのが瞬時に判断でき、名前を挙げるときは入学期(=入団年)順に挙げるのが慣習になっています。カップリング名称にも、これが反映されているのだと思います。(同期同士のコンビの場合に、呼び順を決めるため、攻×受の概念が入る、ということはあります。)

「男役コンビに萌える」といっても、いろいろな萌え方があります。
2人がわちゃわちゃ仲良くしているのを見ていてなごむ「仲良し萌え」が恐らく多数派なのではないでしょうか。

前述したように宝塚歌劇団=宝塚音楽学校なので、劇団員=生徒同士が、普通の女子校のようにきゃぴきゃぴとはしゃぎあう姿を、ファンも目にすることができます。
男役スターは普段からボーイッシュな髪形・服装をしているので、見た目は美少年同士・美青年同士、やっていることは女子校……という、二次元のやおいコンテンツのような状況が実写化されます。「すみれやおい」とでも言いますか……。

仲が良いと評判の男役コンビが、劇団公式チャンネルの番組や、劇団発行の機関誌で対談するという企画はよくあります(もちろん後者はペアルックみたいな服装でわちゃわちゃ仲良くしている写真入りです)。
本人たちがファンクラブイベントの場で互いに仲良しエピソードを語る、なんていう「燃料投下」もあります。特に同期同士のエピソードには事欠きません。

(ちなみにですが、二次元萌え同様、人によって「地雷カプ」も存在するので、お近くのヅカファンにコンビ萌えについて話を聞く際は、事前調査をきちんとしてくださいね。)

「仲良し萌え」は「本名の存在」「愛称の存在」に限った話ではありません。
お芝居の中(=「役名の存在」)で2人が親友役を演じて、作品・コンビに対するファンの思い入れが深くなる、なんてことも多いです。(そして、役で親友同士を演じると、稽古期間も一緒の時間が多くなり、「愛称の存在」での仲良しエピソードが増える、という循環もあります。)
ショーの中(=「芸名の存在」)でも、2人がハイタッチしたり、相手の肩に手を置いたり、背中合わせになったり、しかもそれが振付ではなく自発的なアドリブだったりなんかして、ファンを沸かせることもあります。

ちょっとBLっぽい要素、攻×受の概念が入るケースもあります。

例えばですが、男役コンビの一方がもう一方を慕うけれど、慕われている方はつれない、けれど慕う方は積極的なアプローチをやめない……というような。
片方が一方に積極的なアプローチをするのをファンが見て、「本名の存在」においても2人がプライベートな関係なのではないか、と妄想してハァハァすることもありますが……あくまでも妄想です!!!

余談ですが、大抵こういう図式は下級生(入団期が後)の方が上級生(入団期が先)の方を慕う「下級生攻め」になっていて、二次元BLでいう「年下攻め」のような萌え方ができます。
(余談の余談ですが、宝塚音楽学校は15~18歳の女性が受験可能で、合格した年齢によっては「同期だけど年上/年下」「上級生/下級生だけど同い年」という組み合わせもあります。これまた燃料になります。)

お芝居で攻×受っぽい関係性が描かれることもあります。
タカラヅカのお芝居の主題は男役と娘役の恋愛ですが、男同士の友情/確執、時には愛憎めいた敵対関係も描かれます。
私が初めて観劇した演目『アルジェの男』も、主人公に嫉妬心を抱く悪友が、執拗に主人公を追い回し破滅させようとする、という関係性が描かれたもので、観劇後、一緒に観た友人と交わした最初の言葉は「やおいだったね……」でした……。

また、前回ちょっと触れましたが、タカラヅカでは「男役スターがお芝居で女性の役を演じる」ということもあります。
普段は男役同士の2人が、作品の中で男女としてラブシーンを演じることもあり、ファンは稽古場の様子を妄想して大騒ぎしたりします。二次元でいうところの、女体化モノみたいなものですかね……。すみれにょた……元々女体ですが……。
代表的なのは『ベルサイユのばら』のオスカルとアンドレでしょうか。主人公のオスカルは「女性」ですが、伝統的に男役スターが演じることになっています。タカラヅカ版『ベルサイユのばら』では、オスカルとアンドレが出陣前夜に契りを結ぶ美しいラブシーン、通称「今宵一夜」がおなじみで、人気のある男役コンビがオスカルとアンドレにキャスティングされると、ファンは「あの2人で『今宵一夜』が見られる!?」と興奮し、配役発表があった日のTwitterヅカクラスタTLの騒ぎようは、かなりのものです。

ショーで、中性的な容姿の男役スターが別の男役スターを誘惑するシーンがあったりもします。大抵こういうシーンは幻想的・官能的に演出され、女性が男性役を演じるタカラヅカならではの美しさに圧倒されます。耽美です!

ごくごくまれにですが、タカラジェンヌ同士が本当にプライベートで恋愛関係にある、という噂が流れることもあります。(あくまでも噂ですよ!!!)
「自分のものにできない」というのは理解しつつも、「誰のものにもなってほしくない」というファン心理から、この手のスキャンダルに抵抗を覚えるファンが多いと思いますが、まれにそれを燃料に萌えあがるファンもおり、二次元沼や他の沼同様、嗜好は人それぞれ……です。

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