東京ヤクルトスワローズの2020年ドラフトは、現状と将来性をともに押さえた好指名だ!
どうも、しかばねちゃん(@shikabane_draft)です。
今回は、Twitterでリクエストがありましたので、スワローズのドラフトを振り返っていこうと思います。先立ちまして補強ポイントや現状の1.2軍の選手成績などを確認させていただきましたが、これは違うよ、であるとか、いやもっと他に見るべき場所があるといったご意見は大歓迎です。ぜひ、奇譚なくお寄せいただければと思います。
今回は以下の3つの項目で書いていきます。
1.現状の課題と補強ポイント
2.実際の指名との照らし合わせ
3.まとめ
1.現状の課題と補強ポイント
スワローズは、今年下位に低迷しております。お話を聞くと、「補強ポイントは全部だよ」と言う人がいますが、他球団ファンの目線から見ても打線は脅威に感じますし、中継ぎ陣の踏ん張りなど、戦略が整いつつある箇所も見られます。そこで今回はドラフトで見つめるべき4つの課題を挙げます。
①投手陣の拡充
先発はエースの小川が9勝と気を吐いているものの、防御率は4点台と安定感に欠き、40歳の大ベテラン、石川も勝ち星に恵まれず中々厳しい状況。昨年のドラフトで即戦力投手を軸に指名しましたが、1軍で回れているのはドラフト2位の吉田(日体大)だけ、吉田も殻を破りきれずもがいている状況です。本当であれば、昨年積極的に起用された原や高橋などの成長を期待したいのですが、期待に応えることができていないのが現状です。一方リリーフに目をやると、寺島、清水といった近年のドラフト1位が殻を破り、屋台骨を支えています。実績を残しつつある星や梅野に加え、抑えには石山が控えており、FAという問題を除けばある程度形になりつつあると言えるでしょう。しかしながら中継ぎ陣から先発挑戦をする選手が出てきてもおかしくなく、投手の枚数は先発、中継ぎともに足りているとは言えません。2軍では奥川に加え、市川、鈴木といった次期の戦力候補も控えており、なんとか1軍の柱の一角になりうる投手を獲得したいところです。
②ショート固定できない問題
続いて、野手陣に目を移すと、ショートの固定が中々うまくいっておりません。エスコバー、廣岡、西浦が入り乱れ、特に西浦は気を吐いたものの、固定まで至っておりません。エスコバーも守備の不安や長打の少なさから、固定して使うまでの信頼感は勝ち得ていません。また、村上選手が守備の不安からファーストに回ることも多く、ショート、サードの2つのポジションを流動的に回している、というのが現状です。2軍では武岡、長岡など将来が楽しみな選手もいますが、西浦、廣岡と争いながら、1軍で来年からショートを任せられる選手が補強のポイントになってくるでしょう。
③外野手過渡期問題
ヤクルトの外野といえば、青木、坂口(ファーストとの兼任)など他球団ファンの私から見ても怖いベテランがたくさんいるイメージがあります。ただ、彼らが後何年一線級で仕事ができるかは予測が難しく、スムーズな世代交代を今のうちから考えておく必要があります。実際に、長年チームを支えた雄平は段々と出場試合が減り、その分山崎などで補えている、というのが現状でしょう。塩見や、売り出し中の濱田、中山などタレント候補はいますが、いざ世代交代となった時に、使いたい選手は何人いても困りません。特徴のある選手をもう一枚補強しておきたいところです。
④若手捕手の不足
一軍では中村、嶋に加え、今年は2人の怪我により西田が踏ん張りました。もしもの備えも必要ではありますが、どちらかというと若手捕手の不足が目立ち、ドラフトではこちらを補強ポイントとしたいところです。現状支配下登録されている22歳以下の捕手は古賀のみという状況です。古賀については一軍も経験し、将来の正捕手への道を着実に歩んではおりますが、もう一枚、古賀のライバルとなり得る選手を獲得し、次世代の捕手候補に厚みを持たせておきたいところです。
2.実際の指名との照らし合わせ
指名選手
1位 木澤尚文 右投手
2位 山野太一 左投手
3位 内山壮真 捕手
4位 元山飛優 内野手
5位 並木秀尊 外野手
6位 嘉手苅浩太 右投手
育成1位 下慎之介 左投手
育成2位 赤羽由紘 内野手
育成3位 松井聖 捕手
育成4位 丸山翔大 右投手
上述した課題、補強ポイントをもとに振り返っていきます。
①投手陣、特に来年から1軍で回れる投手
判定:◎ 六大学のスター木澤と東北の雄山野の獲得
スワローズの編成陣も、第一に即戦力投手という思いがあったのでしょう。早々に早川選手(早稲田大学)の指名を明言し、獲得を目指しました。結果的に早川選手、鈴木選手(法政大学)とくじを外しましたが、六大学のスター、木澤選手(慶應義塾大学)の獲得に成功しました。2位では、1位で獲得を目指したが取れなかった分、左腕投手の山野選手(東北福祉大)を指名。連続無失点記録、リーグ通算23勝0敗など素晴らしい実績を持つ選手の交渉権を得ました。個人的には木澤選手、山野選手ともに、若干安定感に課題が見受けられ、来年から確実に回れるかが気がかりではありますが、そこは編成陣の眼力と本人のアピールに期待したいです。また、6位では嘉手苅(日本航空石川高校)を指名しました。190センチを超える大型右腕で、奥川投手と同じ石川県の高校出身です。ぜひ、お互いに高め合いエースを目指して欲しいですね。
②来年から1軍に出場できるショート
判定:◎ 元山4位指名は超ビッグプレー
事前の予想では、上位候補の一角に名を連ねていた元山選手(東北福祉大学)。特にショートの守備力という意味では、今年度の候補の中でも随一と言われてきました。打撃も着実に力をつけており、4位で取れたのは戦略と運の勝利と言っても過言ではありません。実は大学以上の年齢層のショートの指名は、元山選手が2人目(1人目はロッテ指名の3位、國學院大学の小川選手)であり、今年は全球団が投手に偏重したドラフトでした。スワローズの編成陣が運も味方につけつつ、きちんとした意図を持って指名を敢行していることが窺えます。
③世代交代に向けた外野手の準備
判定:○ 並木の足はすでに「超一流」
私は1位指名終了直後に、てっきり2位で五十幡選手(中央大学)を指名するものだと思っておりましたが、山野選手に一票を投じました。これは先発陣、特に左腕投手不足への危機感によるものでしょう。その代わりに指名されたのが並木選手(独協大学)です。知る人ぞ知る、かもしれませんが、足の速さが五十幡と同レベルの、今ドラフトのスペシャルワンの一角を担う外野手です。右打者でありながら、並の左打者よりも圧倒的に一塁到達が速く(3.53秒)来年から出番があると言えるでしょう。特色のある選手の獲得で、外野に厚みを持たせることに成功しました。
④若手捕手の獲得
判定:○ 奥川の後輩、内山を獲得し若手捕手問題は解決
昨年から名前が上がっていた内山選手(星稜高校)を獲得できたことは何と言っても大きいのではないでしょうか。昨年までは、先輩に山瀬選手(現巨人)がいたためショートを務めておりましたが、同校の監督をもってして「山瀬よりもキャッチングはいい」と言われるほどの能力を持ち合わせます。もちろん、ショートをやっていたほどですから身体能力も高く、打撃も目立ち続け一線級で活躍し続けた選手を3位で指名できたことは、非常に幸運と言えます。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回のスワローズの指名は、チーム状況を見極め、補強ポイントにとても的確でした。現状、将来性の両方に目を向けた好指名を展開できたと思います。
また、今回は初めて、育成で4人の選手を指名しました。チームを根本から変えていこうという強い意志が見える、質、量ともに大満足の指名ですね。
では。
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