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「ヒアリングが得意」って言うけどさ…?

今日はどんな価値を創ろうか?

こんにちは、大鹿です。
noteを開いてくださって感謝です。

今回は半分おせっかい、半分役に立つことです。

仕事柄、「クリエイター」と呼ばれる人たちと付き合うことが多いです。

デザイナー、カメラマン、ライター…さらに細かく分野を切り分けるときりがない。

私、上から目線で申し訳ないけれど、いつも1つだけ物申したいことがあります。彼らに直接言うのがはばかられるので、ちょっとnoteで聞いてもらえますか?

聞くってそんなに簡単か?

これはクリエイターあるあるなのかなぁ。

私が付き合っている人のなかには「ヒアリングが得意」と語る人が結構多いんです。

もちろん本当に上手な人もいますよ。でも、だいだいの人は感性だけを頼りにしている。科学(体系)がない。だから、どんなときでも応用ができるわけじゃない。

非科学的であることの落とし穴は「できるつもり」になってしまうこと。自分を客観視できないことにあると考えています。

そうすると、お客様など相対する人の内側にある、大事なキーワードを聞き逃してしまう可能性があります。

別に、私がとりわけヒアリングが上手いと自慢するわけじゃありません。とはいえ、このnoteに散々書いてきたように、自分なりに体系を持って「聞くこと」を駆使しています。

今も、聞くという行為について考え続けています。

今日はあなたにも一緒に考えて欲しいことがあります。

カレーと冷しゃぶ

そもそも「聞く」ってなんでしょう?

私が付き合っている人は多くが「引き出すこと」って言うんです。聞いたことがあります。想いを引き出す。ウリを引き出す。とか。

この言葉からは、人の内側に潜り込んでガッと両手で抱きかかえて引っ張り出すようなイメージを受ける。

そうなのかなぁ??

私は逆派。「聞いた結果、引き出される」のが正しいと思います。引き出す・取り出す・引っ張り出すなんて、ちょっとおこがましいと感じる。

私たちが行うのは引き出すもっと手前、「気づきを与えること」なのではないか。

たとえば、こんな体験をしたことはありませんか?

今日はカレーを作ろうと思ってスーパーまでやって来た。

カゴにじゃがいもやにんじんを入れながら店内を買い回りしていると、「さっぱり! 冷しゃぶレシピ」と書かれたPOPがふと目に留まった。

「そういえば最近うだるような暑さだし、こういうさっぱりとした食べ物もいいかも」

と考え直し、買うものを総取っ替えする。みたいな。カレーと冷しゃぶはあくまでたとえです。なんでもいい。

自分以外の人間の目から見た、食べたいもの、という気づきがそこにはあります。気づきを得れば人は自分から、考えを変える。深める。広げる。想いが引き出される。

私たちが本来、「聞くこと」で人に与えるものってこういうことじゃないかと。

視点・視座・視野

ビジネスコーチングには、重要なものの見方の区別があります。共有しますね。

「視点」「視座」「視野」の切り替えです。

これは多くの人が混同して使っているんじゃないかな。私も知るまではそうでした。でも、区別を知ってものの見方がかなり立体的になった。

■ 視点=何を見るか?(対象)
例:売上、利益、ユーザー数、生産性、社員の定着率、離職率 など

■ 視座=誰の立場で見るか(どこから見るか)
例:経営者、顧客、株主、上司目線、部下目線 など

■ 視野=どこまで見るか(範囲)
例1:組織軸:部、部門、事業本部、会社、業界全体、日本社会、グローバル環境
例2:時間軸:短期、中期、長期

私自身にもヒジョーに当てはまることなのですが、私たちは自分にとっての短期的な結果ばかりを求めがちです。

会社で言うとせいぜい自部門くらいの「視野」。人間はなかなかどうして、自分の意思だけでものの見方を変えることはムズカしい。

そんなとき、私たちが見ているもの・見ている立場・見ている範囲に“外側”があることに気づかせてくれるのが、聞くこと。

私が教わって思わず唸ったフレーズがあります。

あなたが仕事で、自分(自社)の新しい事業アイデアの立案に煮詰まっているとします。すると、こんな質問を自分にしてみるとものの見方がガラリと変わります。

「あなたが競合他社の人間だとしたら、ライバル会社に打ち勝つためにどんな事業アイデアを打ち出しますか?」

これぞ真意を射抜くキラー質問。

きっとみるみるアイデアが浮かぶと思うんです。「あそこ(ライバル)ならきっとこういうことしてきそうだなぁ」って。

聞くことの本来の役割ってこのように、相手が知らず知らず持っている枷を外し、思考の枠を解き放ってあげることではないでしょうか。

できるつもりは大敵

先の例で言うと、「競合他社ならどうするか?」という見方を得たとたん、課題の質が大きく変わることになります。

自社視点でしか見えていなかったことがずいぶん多角的・立体的になるはず。

対象とする競合他社だって1社だけではないでしょう。「視座」をスイッチすればするほど核心的な答えに行きつく可能性が高まります。

ヒアリングが本当に上手な人はまるで、相手のカメラの焦点・視野角・高さをクルクルと変えるような質問を投げかけてくれます。巧みに。

それによって、対象となる私たちは思いもよらない気づきや本音を得ることになる。このとき湧き上がる快感はもう、言葉にならない。「ハッ」です。「ハッ」。

聞き手が感性だけに頼ってしまうと、自分自身がこの複眼の恩恵にあずかることができません。

聞くことって奥が深いですよねぇ。本当に「できるつもり」になってはいけない。

「ヒアリングが得意」だなんて慢心した瞬間、大事なものを見落としてしまいます。知らなければいけないことは山ほどあります。終わりはない。

まァあまり、他人のことをとやかく言うつもりはないのですけれど。(だから今日は代わりに、このnoteで私の考えにお付き合いいただきました笑)

今回はお読みいただきありがとうございました。

私はもっと「聞くこと」の深淵なる道を究めていきたいと思います。慢心せずにね。

<今回の大切な概念化>

  • 視点=何を見るか?(対象)

  • 視座=誰の立場で見るか(どこから見るか)

  • 視野=どこまで見るか(範囲)


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