『阿佐ヶ谷姉妹』は氷河期世代の希望の光であり、理想郷の伝導者である
『阿佐ヶ谷姉妹』を認識するようになったのは、2018年の女芸人No.1決定戦 THE Wの優勝からだ。
それからしばらくは、阿佐ヶ谷姉妹はほんとうの姉妹だと思っていた。
だから、阿佐ヶ谷姉妹に血縁関係がないと知ったときは驚いた。
と同時に、阿佐ヶ谷姉妹の関係性を知れば知るほど、まさに、二人の姿は追い求めていたドンピシャの理想像でもあった。
阿佐ヶ谷姉妹の出会いは、劇団『東京乾電池研究所』在籍中である。同研究所での1年間の養成期間終了後、卒業公演の選考で2人とも残れず、つまり、正式な劇団員になれず、姉の渡辺江里子はコールセンターで、妹の木村美穂は事務職でしばらく会社員生活を過ごす。
もう、このエピソードだけでも、すでに親近感が沸きまくりである。
夢やぶれて、生活費を得るための現実的で堅実な仕事に二人は就いたのである。
姉の渡辺江里子は、明治大学文学部卒。妹の木村美穂は洗足学園短期大学(現・洗足こども短期大学)卒である。なかなかの高学歴だ。
「ならば、もっと良いところに就職できたのでは?」
と思っているのであれば、あなたは恵まれた世代に生まれ育ったと言えよう。
姉の渡辺江里子は1972年生まれ、妹の木村美穂は1973年生まれ、時代はまさに『就職氷河期』に突入していた。
阿佐ヶ谷姉妹ほどの学歴で、正社員として就業できない若者は、あの当時の日本には溢れかえっていた。
生活費のためなのかどうか、阿佐ヶ谷姉妹は2011年から同居をはじめている。それは、2017年までつづいた。
2018年からは、同じマンションの隣りの部屋に住んでいる。
この『同じマンションの隣りの部屋に、血縁関係のない、同じようなバックグラウンドをもち、同じ夢に向かう二人が住む』のが、理想的すぎるのだ。
『氷河期世代、未婚、子ども無し、収入低め、老後は貯蓄と健康に不安あり』の氷河期世代の女性は、全国にたくさんいる。わたしもその中の一人だ。
そんな人間にとって、同じような境遇を生き抜いている親友が、マンションやアパートの隣に住むなんて心強すぎるのだ。
病気やケガになっても助け合えるし、災害に遭っても孤立しない。
一人暮らしは防犯上も不安だけど、壁から伝わる生活音で異変に気づきやすい。振り込め詐欺なども、ATMに行く前に相談できたりする。
でも、部屋もトイレも風呂も台所も別々だから、たとえ親友であっても絶対に踏み込んでほしくないプライバシーは守られるのだ。
血縁関係がない女同士の同居の先駆者であり、阿佐ヶ谷姉妹の関係と少し似ているのが、『叶姉妹』である。彼女たちも血縁関係はないが、長年同居しているらしい。
でも、叶姉妹が阿佐ヶ谷姉妹と決定的に違うのが、叶姉妹がバブル世代であり、美貌も富もすべて手に入れているので、羨望のまなざしで遠くから見上げることはあっても、身近な存在としての親近感はほとんど感じない。
叶姉妹が同居生活を送っている点も、二人の関係が『近すぎる』と思い、「疲れない? たまには一人で過ごしたくない?」と感じさせてしまうのだ。
阿佐ヶ谷姉妹は、同じ氷河期世代として、極寒とガチガチの塩漬けの辛酸をともに味あわせられながらも、そこから成功を勝ち得た希望の星であり、生き方と理想を指南してくれた伝導者でもあると思うのだ。
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