小林達雄|司法試験講師

元弁護士(71期)/平成29年司法試験合格(総合139位,公法系23~25位)/中央大…

小林達雄|司法試験講師

元弁護士(71期)/平成29年司法試験合格(総合139位,公法系23~25位)/中央大学法科大学院(平成29年3月修了)/中央大学法学部法律学科(平成27年3月卒業)/アガルート専任講師 司法試験や予備試験の勉強方法や過去問の答案等役立ちそうな情報をドンドン提供していきます!

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  • 平成28年予備試験論述例まとめ

    私が作成した論述例と若干の補足を年度ごとにまとめたものです。

  • 平成29年予備試験論述例まとめ

    私が作成した論述例と若干の補足を年度ごとにまとめたものです。

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最初に取り組むべき過去問【予備試験編】

  司法試験・予備試験合格を目指して勉強を始めると、「過去問」という存在を目にし、耳にする機会が増えると思います。  法律の勉強を先に始めた人、合格した先輩等の話を聞いてみたり、司法試験や予備試験についてのありがたそうな情報を発信しているSNSのアカウントのつぶやきを見てみたりすると、「過去問は重要」「過去問は早く取り組んだ方がいい」「過去問はみんなやってる」「過去問は全然違法じゃない。俺の師匠の○○さんは…」等と何か「過去問」なる情報商材を売りつけられそうなくらいに「過去

    • 平成28年予備試験実務基礎科目(刑事)の論述例と若干の補足

      論述例 設問1  殺意とは、人が死ぬ危険性が高い行為をそれと分かって行うことを指す。  殺意があるのであれば、人を殺す動機があるのが通常であるところ、Aが拳銃を撃ったのは、乙の組員が甲組やAの悪口を言っていたという話を聞き、頭に来たため、拳銃を撃って乙組の連中を脅そうと思ったからであるから、Aに殺す動機があったわけではない。また、殺意があるのであれば、人を狙って攻撃するはずであるところ、Aは拳銃3発を目を閉じて撃っており、人が事務所から出てきたことを認識していないから、人

      • 平成28年予備試験刑事訴訟法の論述例と若干の補足

        論述例設問1 1 甲は平成28年5月9日、本件被疑事実により逮捕され、同月11日から勾留されているが、同年3月23日にも本件被疑事実により逮捕され、同月25日から勾留されているから、同一の被疑事実により逮捕勾留されている。このような再逮捕・再勾留が許されるか。 2 再逮捕・再勾留を安易に認めれば、逮捕勾留による身体拘束期間についての厳格な制限が設ける203条乃至208条の趣旨を没却し、被疑者の身体の事由に対する重大な制約になる。もっとも、199条3項は同一被疑事実による再

        • 平成26年予備試験民事訴訟法の論述例と若干の補足

          論述例設問1 1 別訴提起の上弁論併合を申し出る方法  本件訴訟とは別に、XがWに対し、甲土地の所有権に基づき、乙建物を退去して甲土地を明け渡すことを求める訴えを提起し、これと本件訴訟の弁論を併合(152条)するよう裁判所に申し出て、裁判所がこれを受けて両事件の弁論を併合すれば、Wに対する訴えについても本件訴訟の手続で併せて審理されることとなる。  もっとも、弁論の併合は当事者に申立権が認められておらず、裁判所が職権で判断するべき事項であってその裁量判断に服するものである

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        最初に取り組むべき過去問【予備試験編】

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          平成29年予備試験刑事訴訟法の論述例と若干の補足

          論述例設問1 1 現行犯逮捕(212条1項、213条)  212条1項の趣旨は、逮捕状の請求を待っていたのでは犯人が逃走し又は証拠を隠滅するおそれが高く、令状請求の時間的余裕がないという点で無令状による急速な逮捕の必要性が高い一方で、逮捕者にとって犯人と犯罪が明白であることから、事前の司法審査を経なくても、誤認逮捕による人権侵害のおそれが少ないため、無令状による逮捕を許容し、捜査の実効性(1条参照)を確保した点にある。  そうだとすれば、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終

          平成29年予備試験刑事訴訟法の論述例と若干の補足

          平成29年司法試験民事訴訟法の問題文を読んだ時の頭の中

          1 はじめに  民事訴訟法の問題は、何を説明するべきなのか、どのような流れで説明をしていくべきかを考えるのが特に難しい印象です。そこで、私が問題文を読んだ時に、問題文のどのような表現からどのように検討事項を特定していったのかについてまとめてみましたので、検討事項の絞り込みの方法や誘導文の読み方のヒントになれば幸いです。  今回扱うのは平成29年司法試験民事訴訟法の問題文です。実は平成29年は私が合格した年で、試験会場でこの問題を見てその場で答案を書いた経験があります。やは

          平成29年司法試験民事訴訟法の問題文を読んだ時の頭の中

          平成28年予備試験刑法の論述例と若干の補足

          論述例1 甲と乙によるX発火装置を甲宅の1階の居間の木製の床板上に置き、同装置を作動させて発火させ、同装置そばの木製の床板を燃やした行為について現在建造物放火罪の共同正犯(108条、60条)成否の検討 ⑴ 甲宅2回の部屋にはBが勝手に上がり込んで寝ていたのであるから、甲宅は「現に人がいる建造物」に当たる。 ⑵ X発火装置は某年9月8日午後9時に周囲に火を放つよう設定されており、現に同時刻に作動して発火している。X発火装置が周囲に火を放てば甲宅の床板が燃える可能性が高かっ

          平成28年予備試験刑法の論述例と若干の補足

          平成27年司法試験民事訴訟法の論述例と若干の補足

          論述例設問1 1 既判力の矛盾抵触が生じない理由  平成3年判決は、既に係属中の別訴において訴訟物となっている債権を他の訴訟において自働債権として相殺の抗弁を提出することが142条の趣旨に反して許されないとし、これは相殺の抗弁が控訴審の段階で初めて主張され、両事件が併合審理された場合についても同様である旨判示する。その論拠は、口頭弁論の分離(民事訴訟法(以下法令名略)152条)は裁判所の裁量事項であるため、両事件が併合審理されていたとしても、将来事件が分離される可能性が否定

          平成27年司法試験民事訴訟法の論述例と若干の補足

          令和元年予備試験刑法の論述例と若干の補足

          論述例1 Aが2000万円を甲に渡し、甲が本件土地の所有権を移転させる旨の合意をした行為について業務上横領罪(253条)の成否の検討 ⑴ 「横領」とは、不法領得の意思の発現行為が客観的に発現したと評価される場合を指す。不法領得の意思とは、委託の任務に背いて、所有者でなければできないような処分をする意思をいう。  甲は、本件土地を所有するVから本件土地に抵当権を設定してVのために1500万円を借りる旨依頼され、この依頼にかかる代理権を付与されている。そのため、Aとの間で上記

          令和元年予備試験刑法の論述例と若干の補足

          令和2年予備試験商法の論述例と若干の補足

          論述例 設問1 1 Bの乙社に対する423条1項に基づく損害賠償責任の有無 ⑴ Bは乙社の「取締役」である。 ⑵ 本件買取は、「取締役」(356条1項2号)であるBが自己の名で行ったものであるから、「自己…のために株式会社と取引」したといえる。よって、「第三百五十六条第一項第二号…の取引」(423条3項柱書)に当たる。  本件ワインの市場価格は総額150万円であるから、本件買取の代金は市場価格よりも150万円多い。よって、乙社は本来支出する必要のない150万円を支払わ

          令和2年予備試験商法の論述例と若干の補足

          個別指導のススメ

          1 個別指導のススメ 司法試験・予備試験・ロースクール受験に向けて勉強をしている方の中には、「勉強の方向性が正しいのか不安」「勉強をしているつもりなのに定期試験や添削の評価がイマイチ伸びない」「勉強していく中で生じた疑問を解消できない」という悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。  上記のようなお悩みをお持ちの方には、個別指導をおススメします。今回の記事では、個別指導をおススメする理由についてお話していこうと思います。  勘のいい皆様ならお気づきかと思いますが

          平成28年予備試験民事訴訟法の論述例と若干の補足

          第1 設問1⑴ 1 弁論主義とは、訴訟資料の提出を当事者の権能かつ責任とする建前をいう。この原理から,裁判所は当事者が主張している事実以外の事実を斟酌してはならないという準則が導かれる(弁論主義第1テーゼ)。  上記準則にいう事実は,主要事実に限定される。弁論主義の趣旨は、民事訴訟の対象である私法上の法律関係に通用する私的自治の原則をその現実化過程である民事訴訟にも反映する点にある。私的自治の原則の本質は,法律関係は私人間の自由意思によってのみ形成され,国家の介入は許されない

          平成28年予備試験民事訴訟法の論述例と若干の補足

          平成27年予備試験刑法の論述例と若干の補足

          論述例 第1 丙及び丁の罪責 1 丁が甲から封筒に入った50万円を受領した行為について、受託収賄罪(197条1項後段)の共同正犯(60条)がしないか。 2 共同正犯が一部実行全部責任を負うのは、相互に相手の行為を利用して補充しあう意思を形成して犯罪を実現する点にあるから、「共同して犯罪を実行した」とは、①意思連絡、②正犯意思、③①に基づく一部の者の実行がある場合を指すものと考える。 ⑴ 意思連絡  甲から「ご主人と約束していたお礼のお金を持参しましたので,ご主人にお

          平成27年予備試験刑法の論述例と若干の補足

          考慮要素の意味合い—理由提示と処分基準(最判平成23年6月7日)

          当てはめの考慮要素は暗記すべきか 今回は以前私がツイートした以下のツイートを深掘りしようと思います。  個別指導をしていると、「法規範だけではなく、この考慮要素までも暗記しなければならないのか」という質問を受けることが多いです。  この質問を受けた際、私は次のように回答することに決めています。  「法規範は暗記するレベルまで行ってほしい。考慮要素は暗記する必要はない。ただ、考慮要素が法規範との関係でどのように活きるのかは説明できる状態に持っていく必要がある。」  「考

          考慮要素の意味合い—理由提示と処分基準(最判平成23年6月7日)

          平成30年予備試験刑事訴訟法の論述例と若干の補足

          第1 設問1 ①の行為の適法性 1 甲のシャツの上から臍付近を右手で触った行為は、職務質問に伴う所持品検査として適法か。所持品検査は、警職法2条4項、銃刀法24条の2を除き明文規定がないため問題となる。(※1) 2 所持品検査は口頭による質問と密接に関連し、かつ、職務質問の効果を上げる上で必要性、有効性の認められる行為であるから、警職法2条1項を根拠として許容される。 3 所持品検査は任意手段である職務質問の付随行為として許容されるのであるから、所持人の承諾を得て行うのが

          平成30年予備試験刑事訴訟法の論述例と若干の補足

          平成27年予備試験民法の論述例と若干の補足

          設問1 1 FのBに対する甲建物明渡請求の根拠は、所有権に基づく返還請求権である。 2 甲建物はかつてA所有であったものの、Aは平成26年10月12日死亡している。よって、Aの相続は開始し(882条)、同日が「相続開始の時」(896条本文)にあたる。Aの妻は亡くなっており、C、D及びEは「被相続人の子」(887条1項)であって,他は相続人がいない。よって、C、D及びEは「相続人」(896条)に当たる。したがって、C、D及びEは、「被相続人の財産に属した一切の権利義務」に含

          平成27年予備試験民法の論述例と若干の補足