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絵とか画家に興味がなくても・・・ 2021年11月5日

自称「目が醒めた女」神垣です。

「値付け」する努力って大事です・・・


 今日、紹介する本は
「完売画家」
37歳の洋画家、中島健太さんの著書です。

 30代の彼がこれまで描いてきた作品が本書の執筆時点で700点。
 2019年に初の画集を出版したときは、
 画歴15年で500点と言いますから
 2年で200点、1年で100点。

 ということは、
 およそ3日に1点のペースで作品を描きあげていることになります。
 しかも、その作品が全て売れている。

 画家、絵画、その売買という
 素人にはよく分からない世界で
 作品が完売するのはなぜか?
 に、とても興味をそそられ、本書を購入しました。

 本書を読むまで、中島健太という画家を知らなかったのですが
 情報番組のコメンテーターとしてテレビ出演したり
 You Tubeでライブペインティングしたり
 幅広く活動している人なので、
 ご存じのかたもいるかもしれません。

 美大を卒業してから、
 プロの画家として収入を得ていくための方法
 旧態依然とした日本の美術界、絵の流通システムに
 一石を投じる彼のチャレンジなど
 面白く読みました。

 日本を捨て、世界のマーケットに打って出た村上隆
 に対し、
 日本のマーケットにフォーカスし、
 そこで勝負することを選び
 業界を変えようとしている中島健太
 は対局の存在と言えるでしょう。

 どちらも大切なアプローチだと思うし、
 どちらの生き方もわたしは好き。

 マーケットの動向をシビアに分析し、
 戦略を立て、失敗を繰り返しながら挑戦をやめない
 点は両者に共通する、と思うからです。


 絵に限らず、芸術の領域にあるものに
「値付け」することは、下卑たことでもなんでもなく
 それを生業にするプロがいる以上、正当な値付けがされるべきで

 正当な値付けのために、
 創作する側もビションを持ち、戦い、
 適正な値付けのために自身も業界や買い手に働きかける
 勇気と努力が必要。

 本書に描かれる画壇を文壇や出版界に置き換えても
 硬直したシステムや
 変わろうとしない業界内の足の引っ張り合いみたいなものは
 同じと感じました。

 そして、もう一つ印象的だったのが
 変えたい何か、実現したい思いがあるのであれば
「個」で動くより「仲間」をつくること。

 同じ価値観を共有する仲間の見つけ方として
 1)明確なビジョンを持つ
 2)ビジョンを語る癖をつける
 3)見つかるまで仲間を探し続ける
 4)違うジャンルで見つける
 と本書には書かれています。

 仲間を持つ煩わしさより
 個で動く方が早くて気楽、気軽と
 ずっと思ってきましたが、考えを改めるきっかけに
 なりそうです。

 絵とか画家に興味がないかたも
 自己啓発書として読むと面白いと1冊です。

中島 健太 著「完売画家」

 読み比べるといいかも。

中島健太 画集『WORKS OF KENTA NAKAJIMA』 ~ 画家として生きるために ~
村上 隆 著「芸術起業論 」

(2021年11月5日 VOL.3906 配信 メールマガジン あとがきより)

 
 

 
 


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