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もこもこウォーク 日記-20230204

・先日壊れたように思えたエアコンは、結局息を吹き返した。フィルターなり、細部のパーツなりを丁寧に掃除して電源を入れてみると、以前の3倍くらいの勢いで温風を吹き始めたのだった。つまりはただただ掃除とメンテナンス不足、私の怠惰が原因だった。お騒がして本当に申し訳ない。アロマキャンドルは毎晩使っている。

・今日は午後から表参道のギャラリー(画廊)をいくつか回っていた。学生の頃は暇さえあれば(暇がなくとも他の用をほっぽって)美術館やギャラリーに足を運ぶ生活だったのに、昨年大学を卒業して以降その機会はめっきり減っていた。そのことをやるせなく思っているところがあったので、今年は1月からあちこち観に行くようにしていた。

・第一のお目当ては、エスパス ルイ・ヴィトンで開催されている写真家のヴォルフガング・ティルマンスによる「Moments of life」展。ティルマンスはドイツにおける現代写真を代表する作家で、学生の頃からその作品が好きだった。

・エスパス ルイ・ヴィトンという展示スペースは、その名の通りルイ・ヴィトン表参道店の7階に位置している。銀座のメゾンエルメス フォーラムも、エスパス ルイ・ヴィトンも、ブランド店舗の入口から入っていかなければならないという点で、なんとなく入りづらいような感覚が今でもある。入り口で案内しているショップ店員さんが門番のようにキメキメなものだから。

・表参道のルイ・ヴィトンのショーケースには「草間彌生ロボ」が飾られていて、のそのそと筆を動かしていた。その前には写真を撮ろうと遠目からもわかるぐらいの人だかりができていて、一見何事かと思った。つい消費のされ方について考えてしまう。令和5年、人にはロボになる人生と、ならない人生がある。

・展示は想像以上によかった。展示室は1室のみだが、その中央には巨大な壁が設置され、彼の大判プリントを両面でいっぱいに受け止めていた。見上げるような形での鑑賞を強いられると、なんだか自分が地をぺたぺたと歩いている生き物だということを、余計に意識させられる気がする。

・1番気に入ったのは《STADIUM》(2008年)という写真だった。ティルマンスの写真の魅力は(それがたとえ意図して作られたものであったとしても)「何事もなさ」にあるとも言えるので、少しドラマティックなこの作品が、いい写真であるのかどうかを少し迷う。それでも写真の前でしばらく迷ったあと、私はこれがいい写真であると決めた。展覧会で、この確認作業をしている時間が1番好きだ。

・その後はファーガス・マカフリーに行った。

・エスパス ルイ・ヴィトンよりも、美術に日頃触れない人にはこういうギャラリーの方が入りづらさの面では勝る気がする。外からは何の建物かすらわからない。これで中が焼肉屋というのもギリギリなくはない外装だと思う。

・私も久々だったので、入り口が押し戸だったか引き戸だったか、スライド式だったか忘れていた。引き戸だった。

・今は「元永定正:さんかくまるしかく」という展示をやっていた。元永定正は具体美術協会に初期会員として参加していた美術家で、絵本作家としても名が知られている。

・今回飾られていたのは作家にとっては後期にあたる、90年代に描かれた絵画作品で、どれもよいものだった。私の理想とする線描はこれに近いかもしれない。

・そういえば先日読んだオモコロの記事で、元永定正が挿絵を描いている絵本『もこ もこもこ』が登場していたのを思い出した。みくのしんさんが「自分は谷川俊太郎が好きだ」ということに気づく場面でのこと。

・これは、悔しいぐらいに良い記事だった。閉店を迎えるMARUZEN&ジュンク堂書店の渋谷店を舞台に、3人と書店員さんとの掛け合いから本と、本屋の魅力がこれでもかと伝わってくる。

・普段からオモコロ的なフォーマットを基盤に、QuizKnockらしい「学び」の要素を届ける方法はどうにかないかと考えている。けれど、この書店の記事のように「学び」そのものな記事をやられてしまうと、自分はどうしたらいいのかわからなくなってしまう。Webというフィールド、そしてWeb記事という媒体で何かを作ろうとしたとき、彼らの網から逃れられないままでいる。

・六本木エリアのギャラリーも回ろうかと思ったが、なんだか疲れていて断念。たくさんの作品を見るときのペース配分を、何だか忘れている。またよき日に。