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【広告運用】運用開始前の3step事前準備

やみくもに広告を打ってもある程度の成果は出るでしょう。

ただ、費用対効果を最大まで高めるためには市場全体の理解と論理的な訴求の選択が必要です。
今回は、3C(customer/competition/company)のフレームワークを基に、3Stepに分けて事前準備の分析を進めていきます。

新卒のマーケターを意識して書いていますので、初歩的な内容を含みます。※本文中のリンクを踏むと、その用語を検索できます。
例:IS

Step.1 商材の理解

今回、商材の理解は4Cというフレームワークを用いて行います。

人によって表記のブレはあるかもしれません

・顧客価値(Customer Value)


顧客が商品/サービスに対して感じている価値。
・メリット
・ベネフィット
・便利さ
・性能
・品質
・ブランドイメージ
・デザイン

具体的に:
私は刃物屋さんだとします。超よく切れる包丁を売り出します。
顧客価値は下記の通りになるでしょう。

・調理時間の短縮(メリット)
 └ 他のことに時間を使える(ベネフィット)
・飾り切りなど調理の幅が広がる(メリット)
 └ 料理が楽しくなる(ベネフィット)
 └ ストレスフリーな生活(ベネフィット)
・切る時に使う労力削減(メリット)
 └ 調理への忌避感解消(ベネフィット)
・手入れしてずっと使う愛着(便利さ)
・1本でなんでも切れる(便利さ)
・鶏肉の筋切りも一瞬(性能)
・軽い(性能)
・刃物屋さんの包丁という信頼(ブランドイメージ)
・刃紋の美しさ(デザイン)
・ダマスカス鋼使用(デザイン)
・・・

とにかくリストアップしてみましょう

・顧客のコスト(Cost)

顧客が商品やサービスの価値を得るために支払う費用のこと。
費用対効果もここに入れてあげるとよいでしょう。

具体的に:
私は刃物屋さんだとします。超よく切れる包丁を売り出します。
顧客のコストは下記の通りになるでしょう。

・包丁研ぎセット付で5.5万円(税込)
 ※一般的な包丁22本分。
・包丁買い替えで削減できる調理時間:1調理あたり2分
 └ 日に3回調理する場合、1年で36.5時間短縮。
・研ぎながら15年品質を維持できる
 └ 包丁1本の寿命で通常の包丁使用時より合計547時間削減

・顧客にとっての利便性(Convenience)

入手方法、決済方法、サポートなどがこの内容に当たります。
商品やサービスの入手方法は顧客が求めるものになっているかを基に、どのような販売方法を選択すれば購入につながりやすいのか、顧客目線での検討が必要です。

具体的に:
私は刃物屋さんだとします。超よく切れる包丁を売り出します。
顧客にとっての利便性は下記の通りになるでしょう。

(現状)
・生産地:大阪府堺市
・経路:大阪駅から電車で34分+徒歩25分
・決済:実店舗での現金支払い

ですが、あまりに母数が絞られすぎてしまいます。
より多くの人の元へ届けるために、
・日本各地から購入可能にしたい
・すぐに手元へお届けしたい
・価格が高いため、分割支払いも受け付けて顧客層を広げたい
と考えていましたので、下記を提案し、顧客の利便性を上げました。

・Amazonへ出店登録 翌日配達を可能に
・自社ECでも販売 ネットでも包丁の魅力が伝わるサイト
・クレジットカード、AmazonPayに対応
・堺市まで行けばECにない商品も見られる

・顧客とのコミュニケーション(Communication)

・オンライン
・オフライン
・対面販売
・イベント出店
・SNS
・・・
と、どのようなツールで顧客と接点を持つのか、親しみやすさや良好な関係性について設計します。

具体的に:
私は刃物屋さんだとします。超よく切れる包丁を売り出します。
顧客とのコミュニケーションは下記の通りにします。

オンライン:
・ECのブログページにて包丁のTipsや飾り切り例を更新
・包丁を作る工程を動画で公開
・公式LINEにて質問受付
・同LINEで口コミキャンペーンも案内

オフライン:
・実店舗内で実際に刃を打っている様子の見学可能
・「工芸地巡り」イベントに出店。実物を見てもらう機会を増やす

ここまでで自社サービスの分析は終了です。
強み、弱み、どのようなお客様がターゲットになるかうっすらとイメージがついたかと思います。

Step.2 ユーザーの理解

具体的にターゲットペルソナを作成し、自社商品の買い手を解像度高く把握してください。

ペルソナ作成に関しては別noteでまとめておりますので、良ければご参照ください。


Step.3 競合の理解

競合の分析は、5F(ファイブフォース)というフレームワークを用います。
4Cと違ってCから始まる4つの指標というわけではなく、市場に存在する「力(フォース)」を5通り分析するものです。

それぞれの関係性と自社の位置付け

以下、5項目に分けて説明します。

・既存の競合他社

競合分析と言われて、真っ先に思い浮かぶ「競合他社」の内容です。

手順
①市場全体の成長率などデータを把握する
②類似サービスを提供する企業をリストアップ
 ※この時、数が20以上になる場合は自社により近いサービス提供者を抽出してリストアップする
③差別化の状況を各競合毎にまとめる
(④事業にかかる固定費、撤退時の費用を算出する)

④は商品企画以上のポジションの人に必要です。

①でマーケットパイを大まかに把握し、
②で競争の激しさを確認します。
③でどの訴求で戦っていくべきかを考え、
④で新規参入のハードルと売上転換点を認識するイメージです。

・代替品の脅威

自社サービスの代替品として何があるかを確認します。
あなたがパスタ屋さんのチェーン店オーナーであれば、冷凍パスタや本格イタリアンレストランが当たるでしょう。

ここで、広く取りすぎるのも狭く取りすぎるのもよくありません。
外食業界というくくりで言えば、牛丼チェーンなども代替品と言えなくはないからです。

例えば、広い枠組みで考える場合はまず自分のお店の半径〇kmにあるお店などを対象にするとよいでしょう。

ここで代替品の強み/弱みターゲティングについても分析し、自社が押し出していくべき訴求がどこなのかを考えます。

・新規参入者の脅威

「既存の競合他社」で触れた④事業にかかる固定費、撤退時の費用にも関連します。

ビジネスでは一般的に先行でサービス提供している事業者が強いとされていますが、その業界への参入ハードルが低ければ低いほど新規参入は強い脅威へなり得ます。

手順
①参入ハードルを概算する
 ・運転資金
 ・政府からの規制/法律など
 ・市場の差別化の状態
 ・利益率(商品価格)
 ・市場成長率
②新規参入されて脅威になりうる訴求を考える
 ・費用
 ・機能
 ・既存のサービスでは満たせないニーズ

①で新規参入がどれくらいあり得そうか把握します。
運転資金が高額であったり、差別化がほとんどされない(コモディティ化)しているサービスは参入ハードルが高いと言えるでしょう。
市場成長率が低いと、そもそも取り合うパイが減少傾向なので参入しにくくなります。

②新規参入があり得る場合、何を訴求する参入者なら打撃を受けそうなのか、把握します。
どう差別化するか?はマケで考える必要がありますが、
自社サービスが足りていない部分が明確な場合、企画などへその旨を共有する必要が出る場合もあるでしょう。

・買い手の脅威

買い手の交渉力(乗り換え、交渉など)を把握します。
下記のような場合、買い手の脅威が大きいと言えるでしょう。

①スイッチングコストが低い
 └ 乗り換えにかかる費用が安いので、それを基に交渉・乗り換えされやすくなります。
②買い手の規模が大きい
 └ ボリュームディスカウントなどを要求されやすくなります。対応するべきか?どこまで?という部分を詰める必要があります。
③他社と差別化できていない
 └ 他社と差がない場合、それを基に交渉・乗り換えされやすくなります。

この③については注意が必要で、「顧客にとって」他社と差がないという点に留意しなければなりません。
お客様がどのようなニーズでサービスを利用していて、差別化できるならどこなのか?

これを整備するためにはカスタマーサポートへ情報提供や協力をお願いする必要があるでしょう。

買い手の脅威が大きいと判断できた場合、
・差別化を図り、乗り換えモチベを下げる
・スイッチングコストを更に下げ、競合からの奪取を図る
など、戦略を策定する必要があります。

・売り手の脅威

買い手の脅威と逆の関係にある力です。
以下のような場合、売り手の脅威は大きいと言えるでしょう。

①スイッチングコストが高い
②買い手の規模が小さい
③業界全体での差別化がくっきりしている

例えば、解約料などの契約があるときがわかりやすいでしょう。
買い手に取れる選択肢が狭く、競合から顧客を奪取するのは容易ではありません。

上記で、商材/ユーザー/競合の理解は終わりです。
3ステップを通してどうやって訴求をしていくか、どう戦略を練るかのイメージがより具体的になったかと思います。

おまけ:商品企画


運用を開始する前に全体を把握しておくことで、むやみに広告費を浪費することもなくせるでしょう。
商品企画にも携われるのであれば、商材の理解へ注力し「何が顧客価値になりうるか?」を深く掘り下げると進めやすくなります。

オンラインピル処方サービスを例にとれば、
「安くてとにかく手軽なサービスを」というユーザーをターゲットにする場合、商品名もライトで覚えやすい「ほすぴる(hospital+pil)」などがよいでしょう。

「少し値が張ってもいいから、とにかく安心でフォローも手厚いものを」というユーザーをターゲットにする場合は、覚えやすさは薄いものの、ブランドイメージを押し出した信頼感を少しずつ蓄積していける商品名「werelief(welcome relief:来てほしい時に来てくれた助けの意)」などいいかもしれません。

※上記は全て適当な例です。

商材/ユーザー/競合の理解をフレームに沿って分析/把握している状態で企画も進めることで、今後の販売戦略の立てやすさも明確になるでしょう。

以上で「運用開始前の3step事前準備」noteは終了です。
ここまでお読みくださりありがとうございました。

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