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【顧客分析】ペルソナの設計と運用

同じ販促でも営業と違い、webマーケターは「画面の向こう側にいる人」を近くに感じることはありません。

指標をずっと見つめていると相手にしているのが「人」であることを忘れてしまいがちです。

「Imp1000、CTR5%」という数値を見たとき、950もの人に無視されている事実を実感を伴って認識できるでしょうか?
そのうち1人しかCVしなかった、「広告文に惹かれてクリックした人間にも関わらず49人は離脱した」という事実も同様です。

私も初心に返り、何度も意識しなおしています

画面の向こうにいる人をより実感を持って意識し、本質的なマーケティングを行うために必要なものが「ペルソナ」です。
今回はペルソナ作成に必要な準備、作成方法、運用方法をまとめます。

新卒のマーケターを意識して書いているので基礎的な内容も含みますが、お付き合いいただけると幸いです。
※本文中のリンクを踏むと、その用語を検索できます。
例:IS

⓪ペルソナとは?

サービス、商品の典型的なユーザーのこと。
「ターゲティング」とは異なり、個人レベルのイメージに落とし込みます。

※このnoteでは、例として「訪問/持ち込みのPC修理サービス提供事業者」のケースで作成していきます。
※以下で出す内容は全て架空の人物/情報であり、個人や団体に紐づくものではありません。

PC修理業者をイメージしたターゲティングとペルソナ

ターゲティングがある程度の幅を持たせているのに対し、ペルソナでは実際の人物像がわかるまで構成を作りこみます。


パソコン出張修理エリアにおり、
パソコンに詳しい人がおらず、
Windows7からアップデートをかけていない、
日常的にとは言えないもののパソコンを使用していて…

と具体的に作成をしていきます。

①ペルソナ作成に必要なもの

・(あれば)今までの顧客情報
・Google Analytics
・自社製品の理解
 └ 4C(顧客価値,コスト,利便性,コミュニケーション)での理解

※4Cとは、簡単に言えば4Pという「売り手視点のフレームワーク」を「顧客視点」に作り替えたものです。
下記ページでわかりやすく解説されています。

https://www.profuture.co.jp/mk/column/21560

MarkeTRUNK(参照日:22.8.14)

②ペルソナの作成方法

Step.1 顧客情報を定量的に確認する
・Google Analyticsのナビゲーションメニュー内「ユーザー」の各指標を確認
 └ 年齢/性別/地域/デバイス/アフィニティ/購入意向 …
例)50-60代の大阪に住んでいる男性が、スマホから見ていることが多いとわかった。

・蓄積している顧客データから、上記データに紐づくものを抽出して更に詳細に分析する
例)60代前半で、市内に住んでおり使用しているOSはWindows7のことが多いようだ
※この段階で、最も典型的と考えられる顧客のデータを1人分抜き出しておく

Step.2 情報をカテゴライズする

前ステップで抜き出しておいたデータを基に、骨組みを作る
・名前:佐藤 源一郎(仮名)
・年齢:63歳
・性別:男性
・居住地:大阪市此花区
・使用PC:Let's Note
・使用OS:Windows7
・修理依頼のきっかけ:年賀状作成のために立ち上げたが、ソフトが起動しなくなっていた

全て架空の人物/情報であり、個人や団体に紐づくものではありません。

更に、上記と全く同じ状況でも修理を依頼しないユーザーはいるでしょう。
そこで、どんな人がCVしているのか更に掘り下げていきます。

・家にPCについて詳しい人がいない
 →子供が独り立ちしている
・とにかくすぐに対応してほしいと思っている

最後に、競合ではなく自社を選んでくれる人がどんなユーザーだったのかを掘り下げます。

・自社の持ち込みセンター近くに住んでいる
・一番早く駆け付けてくれるのが自社だった
・かかる金額が事前にわかり、安心だった
・相談に乗ってくれたオペレーターが丁寧だった

これで完成です。
まとめるとこうなりました。

・名前:佐藤 源一郎(仮名)
・年齢:63歳
・性別:男性
・居住地:大阪市此花区
・使用PC:Let's Note
・使用OS:Windows7
・同居家族:妻
・修理依頼のきっかけ:年賀状作成のために立ち上げたが、ソフトが起動しなくなっていた
・依頼の懸念:
 └ とにかくすぐに対応してほしい
 └ 近くの店がいい
 └ 値段がいくらかかるのか、高くならないか心配


③ペルソナの運用方法

コンテンツを作成する際、必ずペルソナを意識して作成する。
・LP
・キャッチコピー
・広告文/KW
・ブログ記事
・ホワイトペーパー
・事例コンテンツ…

サービスや商品は、ユーザーの課題を解決するために存在します。
ユーザーが「どのような人で、どんな問題を抱えていて、どうすればその問題を解決できるのか」といった点が明確にならないことには、3Cや他の要素を分析することができません。
顧客がわからないことには、自社製品の強みも、どの会社が競合になるかも、どんなコンテンツを発信するのが良いのかも、決めることができないのです。

また、相当ニッチな商品でない限り、ペルソナは複数必要になるでしょう。

今回例にあげた「訪問/持ち込みのPC修理サービス提供事業者」が、個人だけでなく法人に対してもサービスを提供しているのであれば、法人ver.のペルソナが必要でしょう。

おまけに、(恐らく)確固たるペルソナを基に作成されている(であろう)LPを2枚紹介して今回のnoteを終わります。

・おまけ:極端にペルソナが反映されているLP

例①「iPhone13」
 ↓LP

年齢、性別、居住地などはほとんどターゲットとして感じられませんが、一貫して「新しさ」を訴求してあります。

なるほど確かにiPhoneに対して「CPUが…外面素材が…処理速度が…」という視点で見ているユーザーはほんの一握りである気がします。
圧倒的に母数が多いのは、「Appleだから」「iPhoneだから」というユーザーでしょう。

そんなユーザーたちは既にiPhone所持者であることが多いです。
ではどう訴求するのか?
「今までのものとは違う」というアピールへ注力するでしょう。

考えてみれば、私たちはiPhoneに映画制作レベルのカメラがついていることやCPUの新しさなんてものは全くどうでもいいと感じています。
※Apple独自のCPUなので比較しづらいですしね。
とにかく「新しいiPhoneなのだ」とさえわかれば現機種からの改善幅に期待して購入に至ります。

スマホから見たときに顕著ですが、その新しさを限りなく洗練して伝えているLPでありマーケティングとしても成功しているのだろうと感じます。

面白いですね。

例②「ナイトアイボーテ」
 ↓LP

22歳までの女性をターゲティングにしている感じがします。
圧倒的にスマホを意識したLPの作りで、ほとんど文字を読まない人でも大きく主張されている内容を斜め読みするだけで商品のコンセプトが伝わります。

想定ユーザー(ペルソナ)の課題としては、「二重手術も視野に入れているものの、価格やリスクがネックで踏み切れない」「二重のりはいくつも試しているが、不自然さがどうしてもありいやだ」というところで、一貫して解決策としての自社商品を訴求してあります。

夜に訪問するユーザーが多いからか、背景は黒を基調にしており暗い部屋でページを開いたときにまぶしく感じすぎないように調整しているのでしょうか。

面白いですね。

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