見出し画像

コピーライターの頭の中を覗いてみる【プランナー 言葉の雑談vol.4】

こんにちは、SHIFTBRAINのプランナーのしばげんです。

SHIFTBRAINのコピーライターってどんなコピーを書くの?コピーを書くとき、何を考えているの?今回はそんな謎を紐解いてみようと思います。

紐解くためのお題として、プランナー部のみなさんに「最近買って(体験して)よかったものでコピーを作ってきてください」と無茶振りをし、あわせてこのコピーができるまでの思考の過程なども伺いました。

果たしてコピーライターの脳内はどうなっているのでしょうか?
(素人目線ながら)私から見たみなさんのコピーの特徴や印象なんかも交えながら、見ていきたいと思います。


プランナーチームの紹介

ジョン:娘と息子とテニスが生きがい。金髪でロン毛。
うらかわ:日本寂しがり屋コンテストで3連覇。本がすき。
今泉:日本をうろうろしながら暮らす。キャンプがすき。
しばげん:酒の奴隷。写真がすき。

「刺す」の意志(ジョン)

1.対象としたお題
クールコア インナーTシャツ

2.対象物のよかった点、おすすめポイント
真夏に子どもを連れて公園に行ったり、趣味のテニスの時間を少しでも快適にするために、冷たいインナーを探していました。いくつか試した中でこれがいちばん良かったと思うポイントは、「触ったらひんやりする」ではなく「汗をかくほど冷たくなる」ところ。汗っかきの自分にとってはありがたい技術でした。

3.制作物を作る上で考えたこと、気にしたこと
二つあって、一つ目は体裁です。まさに自分がインナーを探しているときに感じていたのは、たいていの商品がブルーの文字で「冷感」「最大マイナス◯度」「瞬間爽快」「ひんやり」などを謳っていて、違いがよくわからないと思ったこと。こういった類の商品って、もはやブランド側の一方的な謳い文句だけではなく、実際に試した人のレビューが大きく影響するなという実感があったので、であれば、実際に試した自分の体験をコピーにしたほうがいいと思いました。
そしてもう一つは、具体的な言い方の部分。これはあくまでも自分が感じたことなのですが、このインナーで冷たさを感じるには二つの条件があって、まずは「汗をかくこと」で、その次に「風を浴びること」です。そのまま言うと、どうしても説明的で長くなるので、それは避けたかった。一方で、それらの条件がぴったり重なる瞬間をちゃんと描いてあげないと釣りっぽくなってしまうと思ったので、短く表現できるシーンの選定には気を遣いました。

ジョンさんのコピーには、「このコピーで刺す」という意志が感じられます。
対象そのものの特徴や強み、他との違い、消費者心理などを分析・実感したうえで、これだからこそ言い表せるコピーを、記憶に残るような言葉で作っているという印象です。
今回も、8月⇆凍えるの極端な対比でインパクトを与え、かつ説明的にもならず言いたいことがストレートに伝わってくるようなコピーはさすがです。
この製品が話題になったら、「ああ、あの8月で凍えるやつね」と巷で言われそうだなと思いました。


見て、読んで、楽しいコピー(うらかわ)

1.対象としたお題
Biore 冷バンド

2.対象物のよかった点、おすすめポイント
8月の終わり頃、屋外での撮影のとき、PMのうみちゃんから教えてもらったBioreの冷シリーズ。
首や頭に巻いたり、体を拭いたりするだけで、ホントに涼しい!ぜんぜん違う!もっと初夏にこの商品知りたかったよ!と
ちょっぴり後悔してしまうぐらい、いい商品でした。

3.制作物を作る上で考えたこと、気にしたこと
この商品のおかげで、厳しい暑さの中でも撮影に集中することができました。
その体感を表現しつつ、コピーに触れた人が「はてな」と思ってくれるようなフックのようなものをかこうかなぁと考えていました。

4.制作の過程で気づいたことや発見
冷シリーズがあれば夏の暑い中でも、しっかりと撮影に「熱中」できたという体験をコピーにしたらおもしろいかもなぁと考えました。
夏に「熱中」と聞くとどうしても「熱中症」を想起してしまう自分がいました。
それに「熱中しよう」と「熱中症」はほぼ音が一緒。

ええやんええやんと勢いに任せて書きました、後悔はしていない。
本当はもっと商品の特性や、レビューなどをしっかり反映させたものをかきたかったです。
いやはや、頭を冷やして、考え直したい…

うらかわさんのコピーは、言葉の掛け合わせや音節の区切りなど、リズミカルで声に出して読みたくなるような、hip-hopに近いvibesを持つコピーが多い印象です。
今回のコピーでは、全てひらがなで書くことでちょっとした目の錯覚を誘うようなギミック?を取り入れるなど、ある種デザインの一部としても機能するような、漢字と開きの高度な使い分けもうらかわさんらしいと感じます。
うらかわさんのコピーから、CMやポスターに落とし込まれた時のビジュアルも含めて想像できます。そんな抽象的な世界観や空気感まで伝わるようなコピーを書いてくれます。


象徴的な言葉から世界が広がる(今泉)

1.対象としたお題
貝掛温泉

2.対象物のよかった点、おすすめポイント
日本に温泉は数あれど、目の温泉というものに初めて出会いました。昔はこのお湯自体が目薬として販売されていたこともあるようで、現代でもほぼ同じ成分の目薬が販売されているのだとか。温泉では実際に「目を湯で洗う湯治」を楽しむことができます。昔の人はどうやってこれが目に効くことに気づいたんだろうなあと想像したり、目の湯治という新しい体験をしたりと、とても面白かったのでみんなにも共有したいなと思いました。

3.制作物を作る上で考えたこと、気にしたこと
どちらかというと受動的に楽しむイメージのある温泉。「いつもと違う温泉の体験ができるんだ」と思ってもらえたらいいなと思いました。浮かんだのは、大好きな人たちと一緒に温泉に浸かりながら、お湯を目に入れて「なんとなく効いてる気がする」とか「全然痛くないね」とか会話するシーン。体験の質感が広がればいいなということと、掛け言葉にすることでのちょっとした引っかかりや、ビジュアルのイメージも浮かんだので、このコピーにしました。

4.制作の過程で気づいたことや発見
お題についてはみなさんパッと決めて書いているようだったので、お題を選ぶ段階から悩んでいたのが自分的には面白かったです。

「自分だったら、目薬として売られていたことや目薬と同じ成分ということをそのまま言い表すと思う」とジョンさんが言っていましたが、確かに体験の面白さから逆算して泉質の効能にも興味を引かせるような、不思議な魅力のあるコピーです。
また、具体的な会話や光景から考えたコピーを、誰もが知ってることわざと掛け合わせるという発想の柔軟さや視点の鋭さにも感心しました。
これからSHIFTBRAINのコピーライターとして、今泉さんのコピーが世間に出ていくと思いますが、そんな視点の鋭さにも是非ご注目ください。


最後に、手前味噌ですがわたしのも一つ…

シンプルに感動を伝えたい(しばげん)

1.対象としたお題
レバウルソゴールド

2.対象物のよかった点、おすすめポイント
家で一人で呑む時も、友人と呑む時も、お酒のやめどころが分からずつい飲みすぎてしまい、翌日身体がだるくて後悔することがよくあります。
そんななか、美容師に教えてもらったこの商品を飲んだところ、翌朝目覚めた時にアルコールが残っているような感覚が無く、スッキリと目覚められたことに感動しました。同じような悩みを持つ酒飲み連中に勧めてあげたい商品です。

3.制作物を作る上で考えたこと、気にしたこと
朝起きた時の、それまでとの違いや感動をなるべくシンプルに伝えたいと思いました。
とくに、二日酔いの時は昨晩の自分を責めたり、あんなに飲まなきゃよかったと悔やむものです。そのどん底な気分と、これを飲んだ翌朝の晴れやかな気分の対比を言い表そうと思いつくりました。

4.制作の過程で気づいたことや発見
コピーはできるだけシンプルにしたいけど、これじゃ伝わらないんじゃないか、別の意味で捉えられるんじゃないか、ださいんじゃないか…など心配事が増えていきます。そうして言葉を付け足したり変えたりしていくと、途端に説明的になりすぎたり魅力的に見えなかったり…そんな終わりの見えない苦悩の中で、ここ、という塩梅を決めて形にするのが大変難しかったです。


おわりに

プランナー部のみなさん、お忙しいところありがとうございました。
SHIFTBRAINのコピーライターが普段どんなことを考えてコピーをつくっているのか、その一端が見えたのではないでしょうか。
今回みなさんに作ってきていただいたコピーや考え方が、vol.1でそれぞれが出した推しコピーにも近い雰囲気を感じるものだなという気付きがあり、面白かったです。

ひとえにコピーライターと言っても、アウトプットまでに至る過程は人それぞれ。デザインやコーディング同様、さまざまな思考や工夫のもとに生まれたコピーがSHIFTBRAINの制作物に落とし込まれていますので、その辺りも是非意識して見てみてください。
普段コピーに携わっている人も、これから携わろうと考えている人も、何かの参考になれば幸いです。



▼ シフトブレインではプランナーの採用を行なっています
シフトブレインでは、新しい仲間を募集しています。全社フルリモートのため、全国からのご応募をいただけます。
募集の詳細は、Wantedlyにてご覧ください!

▼ SHIFTBRAIN GOODS STORE


Illustration: Wataru Urakawa