【短編小説】 周回軌道上の恋人
地球の周回軌道上を時速28,000㎞のスピードで飛来するデブリを小型の宇宙船で回収する。それがスペースコロニーに生まれ育った僕に与えられた仕事だ。
第五次宇宙開拓期と呼ばれる時代に旧世界各国が無規制を言い訳の盾に打ち上げた衛星の化石たち、資源開発特区の月から流れ出る産業廃棄物、コロニーから排出される生活ごみ。そんな有象無象のデブリたちは地球の高度数千キロ上の高速軌道に乗り周遊している。一部のガラクタたちは巨大なデブリベルトの軌道をそれて引力の作用で大気圏へと落下して燃焼す