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遠く離れても思いはそばに - BUMP OF CHICKEN『流れ星の正体』

BUMP OF CHICKENは私にとって心を浄化してくれる存在。どんなときでもBUMPの曲を聴けば穏やかな気持ちになるし、それまで頭の中をぐるぐる駆け巡っていたことが一つ一つ引き出しにしまわれていく。

『aurora arc』は2019年7月10日にリリースされた9枚目のアルバムである。タイアップ曲が多く盛り込まれていて、14曲のうち11曲がタイアップとなっている。そんな1枚のラストナンバーを飾るのが『流れ星の正体』である。

この曲はもともとはタイアップはなく、1番のみが、弾き語りver.で2017年に公開されていたそうだ。私はそれを知らなかったので、アルバムを入手して初めて聴くことになった。
のちの2020年には、じゃらん30周年特別記念フィルム『ここではないどこかで』の主題歌にも起用された。これについては、次回にでも執筆しようと思う。

アルバムの発売時にはタイアップがなかった『流れ星の正体』は、私にとってはどうしても他の曲に比べる存在感が小さかった。
ロッテCMで使われた『新世界』や、BUMPをよく聴くというわけではない友人でさえ口ずさむほど知れ渡った『リボン』、映画『億男』の主題歌だった『話がしたいよ』などが印象的で、それらだけ見ても、かなり強いアルバムだと感じていた。

『流れ星の正体』は、1枚を何度か通して聴いているうちに、「あれ?この曲半端なく良いぞ?!」と気付かされた。
アルバムのラストナンバーはしんみりと終わったり、盛大に終わったりというのはよくある。この曲についても「なんかいい感じの終わり方にしてるなぁ。タイアップ曲を持ってこなかったのもいいセンス!」程度に感じていた。
でも、ふとした時に思い出すサビの強く美しいメロディや、静かに寄り添う始まりから、エモーショナルな終わりまでの展開の心地よさが、こびりついて離れなかった。そしてYouTubeで検索をかけることに。そこにはMVがあった。

ただただ美しくて見入ってしまった。私も見たことがあるようなものや、見たことがありそうだけどないもの。決して特別ではないけど、どうしてこんなに美しいのだろう?いや、特別じゃないからこそ美しいのだろうか?

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監督を務めたのは林響太朗さん。この美しい色味や心の芯に突き刺さる感じは彼の個性でもあるのだろうか。興味深い記事が一つあったので以下に。

ミュージックビデオは奥が深いと改めて感じさせられる。『流れ星の正体』は曲の価値を高めるMVの一つの形として、素晴らしい仕上がりになっているのではないだろうか。

太陽が忘れた路地裏に
心を殺した教室の窓に
逃げ込んだ毛布の内側に
Ah 全ての力で輝け 流れ星
お互いにあの頃と違っていても
必ず探し出せる 僕らには関係ない事
飛んでいけ 君の空まで
生まれた全ての力で輝け

このような歌詞からは「遠く離れた場所への思い」や「見慣れた場所やなんでもない場所」に宿る美しさが伝わってくる。

MVの一つの形として、2人の離れ離れの登場人物がお互いに思いを馳せながら、今いる環境に目を向けて流れる時の愛おしさを感じているような演出を、今パッと思い付いた。でも、これだとどうしても「一つのストーリー」として視聴者には捉えられがちな気がする。
実際のMVは、人がどう思い、動くのかに焦点を強く当てず、あくまでその姿を映すカットや、目に映っているものであるかのようなカットが多いので、自分のこととして落とし込みやすく、曲も自分の中に入ってきやすくなっていると思う。
うーん、林さん、あっぱれ。

ところで、noteを書くのは実に4か月ぶりなのだが、やはり一つのMVを通してもこうして思考を巡らせる時間を作れているので大切なことであると再確認した。

次回は、この『流れ星の正体』が使われたじゃらん30周年特別記念フィルム「ここではないどこかで」について掘り下げていきたいナ。

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