見出し画像

IMAX超え?シンエヴァをリピートして行き着いた極上シネマ

「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」は全国劇場にて絶賛公開中。東宝・東映・カラーの3社による配給で、上映されている劇場も多いとのこと。たしかに、本編が始まる前に東宝、東映のロゴが連続で映し出されるのはなかなかないことである。今日でIMAXや4Dなどの特別上映が終わる映画館が多く、もっと早く執筆すべきだったとやや後悔。

エヴァンゲリオンという作品は噛めば噛むほど味が出るものであり、何度も観に行くという人も少なくないだろう。先日放送された庵野総監督のプロフェショナルでは、シンエヴァの製作過程で重視していることについても多分に話されていたり、まさに全身全霊で作り上げていくカラーをはじめとしたスタッフや演者たちの勇姿を映したりしており、それらを知ることでまた違った観方につながりそうだ。

さて、ここではシンエヴァという大傑作を通して最高の映画体験をするための劇場選びについて記していきたい。取り上げるのはTOHOシネマズに限定している。というのも、TOHOシネマズに限らず、どこか行きつけの映画館で会員になっていたほうが単純にお得であり、私はTOHOシネマズの会員として繰り返し観たからである。私のシンエヴァの鑑賞はこれまでに7回なので、会員特典の「6回観たら1回無料」で1回無料分を獲得できたわけである。

鑑賞は7回であるが、それぞれ上映方法や劇場の造りに違いがあるため、同じシンエヴァでも異なる体験をしている。ぜひ以下を参考にして、異なる形で複数回の鑑賞を楽しんでみてはいかがだろうか。

1.通常版

1回目は新宿にて公開日の初回上映、3/8の7:00~の回を観た。最初は特に変わった劇場を選ばず、通常版を鑑賞。とはいえ、TCXというTOHOシネマズの大型スクリーン導入のシネマだった。追加料金はなし。

画像1

もちろん席数も多いため、程よい角度で観られる席はスクリーンから距離があるものの、十分にその大きさを実感できる。前の方の席であれば視野いっぱい映像が広がるだろう。

私は、追加料金1000円のプレミアムボックスシートを選択した。
いくつかの劇場で中央辺りの列に設けられており、およそ二人分の席のスペースがある。隣との仕切りと荷物置きが設置されているため、快適に映画に没頭することができる。個人的には周りの人の気配がないほうが嬉しいので、間違いなく満席が予想された初回上映ではこの席を選んだ。初めてプレミアムボックスシートで鑑賞したが、中央辺りの列なのでスクリーンの高さもちょうどよく(さすがに初回争奪戦で左右中央席は取れなかった)とても気に入ったので、今後も人が多く入りそうな上映ではこの席を使いたい。初回上映、予告編等込みで2時間50分を観終えた後、拍手が沸き起こったあの感じ、一生忘れないだろう…。

2.轟音上映

画像2

2回目は池袋にて轟音上映を鑑賞。追加料金はなし。写真のようなウーファーが劇場前方に置かれている。劇場の広さは大きくはない。TCXのあとだと、さすがにスクリーンが小さく感じた。かといって不満ではない。これが普通でTCXは大きくてありがたいというだけである。

轟音は音が大きいというよりも、低音が強化されていると言ったほうが伝わりやすいかと思う。通常に比べると、音量が一段と大きいわけではないが、低音が前に出てくるために戦闘シーンの爆破音などは特に体の芯まで響いてきた。また劇伴の壮大さをより感じることができ、重低音好きの人にはおすすめである。

3.MX4D

画像3

3回目は新宿にて4D版を鑑賞。追加料金は1200円。場所によっては1000円らしい。4DというとMX4Dと4DXがあるが、TOHOシネマズではMX4Dが導入されている。

シンエヴァ4D版の目玉とされているのが「匂い」。作中で匂いが注目されるシーンがあるが、そこで本当にその匂いが漂うという演出に驚く声が上がっている。

実際何かが出ているのは確かであったが、土の匂いかどうか私には断定できなかった…。でも同じような声がいくつも上がっているところを見るとそうなのだろう。

昨年12月「:序」「:破」「:Q」の4D版が公開され、私は「:序」だけ4Dで観て、あとは通常版で観たのだが、「:序」と比べてもシンエヴァの4D版はかなり満足度が高い。なんといっても戦闘シーンの迫力が雲泥の差だ(もちろん「:序」のラミエル戦も凄まじいのだけれど)。今作は空中戦が多く、躍動感あふれる映像と、そこにシンクロ率100%の劇伴が加わるだけでも激アツなのだが、衝撃・揺れを実際に体験しながらだとシンクロ率は400%にまで上昇し…。とにかく半端なかった。戦闘シーンの中でもエヴァ2機が登場して音楽が切り替わる瞬間がたまらなくかっこいいし、何度観ても最高すぎて叫びたくなる。

という感じで、シンエヴァは「4D版だからこそ」を存分に体験できる作品だと思うのでおすすめだ。

4.IMAXデジタル

画像4

4回目は日比谷にてIMAXデジタルを鑑賞。追加料金は600円。IMAXは言わずと知れた上質な映画体験ができる劇場だが、簡単に言えば巨大スクリーンで、迫力の音響で映画を楽しむことができるものである。IMAXのなかでもデジタルシアターとレーザーシアターがある。レーザーのほうがより鮮やかな色彩で4K画質での上映が可能になっているそうだ。

これまでもIMAXでの鑑賞は何度かしているのだが、毎回劇場に入って「IMAXってこんなに大きかったっけ…」と思う。入った瞬間にそのスクリーンの大きさには圧倒される。

上映が始まるとそれまでの鑑賞とは明らかに違い、大きいスクリーンでは見え方がだいぶ変わってくる。印象的だったのが、戦闘シーンの閃光チカチカするのが大きいスクリーンでは強調されていて、こんなに激しく鮮やかに描かれていたシーンだったのかという気づきがあった。それから、今作のATフィールドの描き方がめちゃくちゃ美しいだが、様々な色が眩く光るATフィールドをずっと見ていたいと思ってしまった。音響に関しては、轟音上映が低音が強化されていたのに対し、こちらは全体的に迫力が増していた。個人的には轟音上映よりも、600円払って映像も音響も大迫力のIMAXを選びたいところ。

5.PREMIUM THEATER

画像5

5回目は日比谷のPREMIUM THEATERでの鑑賞。追加料金はなし。PREMIUM THEATERはTOHOシネマズのより上質な映画体験のために作られたシアターで、TCXスクリーン・サウンド・シートがそれぞれプレミアム仕様となっており、日比谷と池袋に導入されている。中でも日比谷は、TOHOシネマズのフラッグシアターであり、ここのメインシアターであるスクリーン1にはTOHOシネマズの意地とプライドを全て注ぎ込んで造られているようにも感じられる。

劇場に入った瞬間、プレミアムな空間であることがわかるのは、やはりシートやカーペットなどが他の劇場よりも上品な見た目だからだろう。そして座って映像を観始めると、スクリーンが十分に大きいのはもちろん、音が違うことに気づく。PREMIUM THEATERにはカスタムオーダーメイドスピーカーが設置され、LOVE PSYCHEDELICOのNAOKI氏が監修を務めた音響空間となっている。通常よりも良い音を楽しめることは承知であったが、IMAXや轟音上映の体験をしているため、そこまで期待しないほうが吉だろうと踏んでいたのだが、大いに裏切られた。上映前のCMから、明らかに音が良いのだ。

上映が始まると、まずパリでの戦闘が繰り広げられるわけだが、この10分ほどの間で既に音圧に圧倒され、茫然としてしまった。本当に想定外であった。スピーカーの数が他とは比べ物にならないほど多いのが伝わってくる。聞こえる音の数が多く、無駄な残響がないため、クリアな音になっている。イコライザーはややドンシャリ気味で、高い音が耳に刺さりそうで刺さらないギリギリのラインなのが心地よく、声が細く聞こえるため、はっきりと言葉が伝わってくる。さすがミュージシャンが監修しただけあって、劇伴ではギターの音色は暖かく、バイオリン等の響きは凛としている。IMAXで迫力のある音が「届く」のに対して、こちらは「劇場全体が鳴っている」ように感じられる。地響きや戦艦のエンジン音が特にそうで、音が丸や四角という形ではなく、レイヤーとなって押し寄せてきて、音に包まれる中に自分がいた。時にはシートが震えるほどのド迫力な音響で、ヴンダーの発進と、同時に流れる勇敢な音楽が胸を奮い立たせたり、エンドロールの『One Last Kiss』で強く優しくオタクたちを包み込んだり、映画館で映画を観ることの幸福感や高揚感を存分に与えてくれる。映像についてももちろん申し分のないクオリティである。TCXの大スクリーンは、劇場中央辺りでも視界いっぱいに鮮やかに映し出してくれる。

総じて、TOHOシネマズのPREMIUM THEATERは本当にプレミアムだった。恐れ入りました。

6.IMAXレーザー

画像6

6回目は新宿にてIMAXレーザーを鑑賞。追加料金は600円。IMAXレーザーを最後に持ってきたのは、もちろんここが最高の環境であると予想していたからである。しかしPREMIUM THEATERを観た後では、残念な結果に終わってしまった。音が曇って聞こえるのだ、IMAXレーザーは12Chのサラウンドスピーカーが備わっているというのに…。そして、大きいスクリーンはやはり圧巻なのだが、映像の上下が暗いのがとても気になった。また、実際のスクリーンサイズが明記されていないため正確な比較はできないものの、TCXも健闘していることにも気づく。IMAXレーザーのスクリーンは縦が長い。それはIMAX用のカメラの縦横比に合わせているからである。裏を返すと、一般的な映画の縦横比では上下の余白がとても大きいということである。日本の映画でこのIMAXのスクリーンを最大限活用できるような映画はおそらくないだろう。TCXは一般的な縦横比(おそらく21:9?)であるため大きいスクリーンいっぱいに映像が映し出されるので、TCXでも正直満足できる。だが、IMAXの上映前のカウントダウンの映像で一気にIMAXの世界に入り込むあの感じはやっぱり印象に残るものがあり、映像の大きさ自体が圧巻なのはIMAXで間違いないだろう。

次にレーザーとデジタルがどうなのかという話だ。おそらく、アニメーション映像では大差がないと思われる。レーザーの強みは4Kであるものの、アニメーションは変わらないのかもしれない。ぼやけているところはぼやけていた。また、レーザーの方がコントラストが強いはずだが、観てそれがわかるほどではなかった。レーザーとデジタルを横に並べてみると全然違うのかもしれないけれど。

今までは大満足していたIMAXであったが、PREMIUM THEATERというラスボスの登場でその存在が霞んでしまった。

まとめ

こうして私なりにTOHOシネマズの最強シアターに結論を出した。
PREMIUM THEATERこそが至高だ…!!
もう一度この体験を味わいたくて7回目の鑑賞へ。場所はもちろん日比谷のスクリーン1・PREMIUM THEATERだ。やはり圧倒的だった。

そして、映画の内容も。過去のエヴァ作品のクオリティもさることながら、シンエヴァの完成度には目を見張るものがあった。特に、今作のなかでは心情の変化がたくさん描かれるが、それぞれの表情の描き方や、声優さんの魂の吹き込ませ方などには大いに心を揺さぶられ、何度見ても薄れることはなかった。

また、私の気持ちを代弁してくれている内容の公式ツイートを目にした。

本当にこの通りだと思う。様々なアニメを観るようになり、好きだと思える作品との出会いも重ねてきたものの、エヴァンゲリオンほど私の心に侵入してきたものとはまだ出会っていない。それは、エヴァ世代をはじめ、多くの人が感じていることなんだと思う。同じ時代をこの作品と生きることができたことが幸せだった。本当に終わってしまったけど、名作は永遠。これからも心の中にあり続けるのだろう。

そして、素晴らしい作品を素晴らしい環境で観ることを叶えてくれた制作陣とTOHOシネマズはじめ各劇場の関係者の方々には感謝の思いでいっぱいだ。外出するにも気を遣う難しいご時世で、ストリーミングサービスなどで手軽に映画を観ることができるようになってきたが、映画館だから得られる感動というものを忘れないように、これからも積極的に足を運ぶようにしていきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?